LINEの「Clova」を進化させる─誰もが使いたくなる50以上の新機能を実現する戦略チームの舞台裏

AIアシスタント「Clova」を搭載したスマートスピーカーを展開中のLINE。2017年8月に「Clova WAVE」を先行販売し、そして同年12月には第2弾となる「Clova Frends」を発売した。後者はLINEキャラクターのブラウン、サリーをモチーフにした可愛らしいフォルムが人気を集め、ガジェット好きだけでなく若年層、ファミリー層にもユーザーを広げている。

LINEで活躍する若手ビジネスパーソンにインタビューするシリーズ第2回は、LINEのClova事業に携わり、パートナー企業との連携推進、プラットフォームの拡張を担う2人に、日々の仕事ぶりややりがい、醍醐味、そしてClovaで目指したいことについて語っていただいた。

誰もが使いたくなるスキルを備えた、魅力あるスマートスピーカーへ

現在スマートスピーカー分野では、Amazonの「Alexa」やGoogleの「Google home」など、競合各社がしのぎを削っているが、よりユーザーにとって使いやすく、魅力的なスキル(機能)を「Clova」に搭載することが差別化につながる。そのためのアライアンス戦略全般を担っているのが、太田千晶さんと澤渡隆寛さんだ。

太田さんは、Clova事業の立ち上げ期である2016年12月からプロジェクトに参画し、Clovaに搭載されている外部パートナーとのコンテンツ契約のほぼすべてを担当した。

LINE 株式会社 Clovaアライアンスチーム 太田千晶さん

インターネット系メディア企業で営業、企画、新規事業開発などを手掛けた後、2015年3月にLINEに転職。飲食予約サービスの新規立ち上げ、ビジネスプラットフォームのオープン化におけるアライアンスなど新規事業開発を中心に手掛け、2016年12月よりClova事業の立ち上げに参画。現在はClovaのパートナー企業とのアライアンスやビルトインスキルのパートナー交渉、契約締結などを手掛ける。

「前職では主に新規事業立ち上げを経験。『圧倒的なユーザー数を抱える会社で、新しい事業を立ち上げてみたい』と考え、3年前にLINEに転職してきました。入社後は、飲食予約サービスの新規立ち上げ、ビジネスプラットフォームのオープン化におけるアライアンスなどを担当していましたが、2016年末にClova事業の社内公募があり、すかさず手を挙げました。

公募内容は、AIを使った新規プロジェクトというぐらいのざっくりしたものであり、Clovaという名称も決まっていませんでしたが、未来的なサービスに魅力と可能性を感じたのです」

スマートスピーカーは、最初に搭載されるコンテンツが肝心。どんなコンテンツを入れるべきか皆で何度も話し合い、社内調査も参考にしながら優先順位をつけ、コンテンツプロバイダ1件1件に交渉に走った。まだ世の中にない製品のため、何が目的で、どんなことができるものなのか一から説明して回ったという。

「2017年6月のLINE CONFERENCEでデモをすることが決まっていたので、パートナー企業にアプローチしつつ技術部門と連携を取り、必死に準備を進める日々でした。

あまりに怒涛過ぎて、そのころの記憶があまりないのですが(笑)、明確に覚えているのは開発初期段階で、Clovaが初めて天気を答えたときの喜び。オフィスでClovaに『今日の天気は?』と聞いて答えが返ってきた瞬間、皆でわーーーっと歓声を上げたことを覚えています。

音声認識レベルは、今とは比べ物にならないほど低かったですが、今後の道筋が見えたことが本当に嬉しかったですね」

一方の澤渡さんは、今年2月にLINEに入社したばかり。前職のインターネット広告会社で、スマホのサードパーティアプリマーケットの新規事業を立ち上げた経験があり、BtoBでの事業開発やアライアンス締結に携わることも多かった。

その経験が丸ごとClovaで活かせそうだ」と感じたのが転職のきっかけだが、もともと無類のガジェット好き。AI分野にも以前から興味を持っており、迷わずLINEの門を叩いた。

LINE 株式会社 Clovaアライアンスチーム 澤渡隆寛さん

2011年にインターネット広告会社に入社し、新規事業、ビジネス開発、サービス開発、動画広告の商品企画・セールスなどに従事。2018年2月にLINEに入社し、Clovaのスキルアライアンス、スキル開発提案、パートナーマネジメント、オープンプラットフォーム企画などを手掛ける。

「現在は、Clovaのスキルを増やすべく、パートナー企業の開拓を行っています。幸い、LINEの公式アカウントを利用している企業が急激に増えているため、これらの企業を中心にClovaでできることを考え、アプローチしています。エンドユーザー向けのサービスを行っている企業はすべて対象になり得るので、ユーザーが使いたいと思える魅力的なスキルを一つでも多く拡充することが、今の私のミッションです」

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プラットフォームのオープン化で、新たなユーザー体験の創出を目指す

先日、Clovaに関する大きな動きがあった。6月28日のLINE CONFERENCEで、「Clova」に搭載されるスキルを開発・拡張できる「Clova Extensions Kit」を一般公開することを発表。プラットフォームのオープン化により、「Clova」のスキルをサードパーティの外部企業や開発者が開発できるようになった。

そして、すでに先行開発が進んでいる「Clova Extensions Kit」の初期パートナー34社 50以上のスキルが、順次公開されることも同時発表された。

例えば、東急各線の運行状況を聞ける「東急線アプリ」(パートナー企業名:東京急行電鉄)、おすすめの献立を教えてくれる「Harapeco晩ご飯!」(パートナー企業名:トランスコスモス)、ローソンの店内ラジオが聞ける「ローソンラジオ」(パートナー企業名:ローソン)など。このほか、日本航空、野村證券、ウェザーニューズ、東急ハンズなどさまざまなジャンルの企業が初期パートナーとして名を連ねており、「音声体験の幅」がさらに広がることが期待されている。

これらオープン化の準備やパートナーとの連携も、太田さん、澤渡さんが中心になって行った。

「スキル開発は、自分たちが主導するだけでは限界があります。プラットフォームをさらに拡張するためには、いろいろな企業を巻き込み、参画いただくことが必要不可欠。Clovaで今までにないユーザー体験を得てもらうためには、このような環境を早期に整備し、企業にビジネスの場としての可能性を感じてもらうことが重要だと思っています。幸い、多くの企業に興味を持っていただいており、新しいプラットフォームでさまざまな企業と共創できることにやりがいを感じています」
「競合他社は何年も前にAIに参入していますが、日本市場においては私たちにアドバンテージがあると感じています。Clovaは日本発、アジア発のサービスであり、日本企業との関係性も深いし交渉スピードも速い。そして社内には、いろいろなバックグラウンドを持った社員がいて、かつ皆が同じ方向を向いて『このサービスを大きくしよう、市場を創り出して行こう』という熱い思いで取り組んでいます。もちろん、パートナー企業も同じ思いを持ってくださっている企業ばかり。このような環境で働けることが素直に嬉しいし、モチベーションにもつながっています」

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「生活の中に、当たり前のようにある」存在に

今後、スキル拡充に伴うさらなるプラットフォームの拡張が期待されるClova。太田さん、澤渡さんとも「Clovaをナンバーワンのプラットフォームにしたい」と前を見据える。

「今までさまざまな新規事業に取り組んできましたが、まるで赤ちゃんを育てるかのように一からじっくり関わってきたClovaは、とても思い入れのある事業。これからも多くのパートナー企業を巻き込んで、ユーザーが毎日使いたくなるようなスキルを拡充し、スキルの数と質を高め続けたい。『Clovaを作った』と自信を持って言えるようになるためにも、これからも歩みを止めることなく、努力し続けたいと思っています」
「私も太田さんと思いは同じ。国内ナンバーワンはもちろん、世界に挑戦できるプラットフォームを目指したいと真剣に考えています。そのためには、老若男女、IT好きな人もそうでない人も、誰もが好きなスキルがある状態にすることが大切。アライアンスと並行して、より多くのユーザーに指示されるスキルの開発にも力を注ぎたいですね。そして、ゆくゆくは一家に一台、一人一台と、当たり前のようにClovaが利用される世界を創り出したいと思っています」

2人の自宅には実験も兼ねて、たくさんのスマートスピーカーが置かれている。朝は必ず「ねぇClova、今日の天気は?」から始まるという太田さん、「電気やテレビの点灯はすべてClova任せ」という澤渡さん。「日常の中にClovaが組み込まれていて、もはやなくてはならないものになっている」と話す。

スマートスピーカー市場は、まだ立ち上がったばかりだ。Clovaを「生活の中に、当たり前のようにある存在」にするべく、今日も2人は未来を見据え、走り続けている。
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取材・文:伊藤理子 撮影:刑部友康
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