『KERRANG!』に掲載されたBABYMETAL「洗礼の義」のライブレポを全文意訳! | たろの超趣味的雑文日記〜本と映画と音楽とBABYMETALその他諸々

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2018年1月28日 Text by たろ a.k.a. TAROO-METAL

『KERRANG! 1702』(2017年12月20日発売)に掲載されていた「BABYMETAL LEGEND - S - BAPTISM XX」のライブ・レポートを意訳してみた。例によって読みやすさ重視なので,かなりの意訳である上におそらく誤訳もあると思うが,そこは素人の訳ゆえ,大目に見ていただければ幸いである。


画像=KERRANG!のTwitterより
 

日本のメタル・アイコンがBABYMETAL史上最もスペクタクルなショウでSU-METALの誕生日を祝福

大切な誕生日にふさわしい完璧な贈り物は何だろう? iPhone X? ポニー? それとも二日酔い? どんな暮らしぶりであるにせよ,フードをかぶった修道士の集団と,自分の死を告げる演奏をするコープス・ペイントを施したメタル・ミュージシャンたちによって,闇の中に照らされた高さ30フィートの十字架に磔にされることはまずないだろう。その後,十字架から降ろされ,14,000人の信者たちを前にして神となって天に昇っていくなどということは,なおさらあり得そうにない。

しかしながら,彼女たち――問題の「彼女たち」がBABYMETALのことならば――は日本において異なったやり方でそれをやり遂げた。成人して多数の大人の仲間入りを果たすことは,日本ではとても大きな意味を持つ。最近では出席者は減りつつあるが,成人の日の式典は18歳ではなく20歳で行われる。BABYMETALのリード・ボーカリストであるSU-METALこと中元すず香はこの年齢に達し,バンドは彼女の生まれ故郷である広島で,想像しうるかぎり最もスペクタクルなやり方で,二夜にわたってSU-METALの成人を祝おうとしていた。彼女たちはこの誕生日会を「LEGEND - S - BAPTISM XX」と呼ぶことに決めた。違和感はない。

ショウは理想的な環境では始まらなかった。初日の公演が始まる数時間前,体調不良のためYUIMETALが出演見合わせという告知がなされたのだ。延期も検討されたが,日本中から,そして日本国外からも多くのファンが集結しているという理由により,ライブは決行するとの決断が下された。「残念ながらYUIMETALは出演できないが,SU-METALとMOAMETAL,そして全スタッフは,ライブのために来てくれたすべてのファンとTHE ONEとして一つになることを願っている」との公式声明がショウの前に発表された。

「THE ONE」とはBABYMETALのファンクラブのことで,初日の公演はTHE ONEメンバー限定なのだ。限定とはいえ参戦希望者は非常に多かったため,チケットは抽選制。大きなグリーン・アリーナに二晩で14,000人が参戦したが,チケットの抽選申込はその5倍だった。両日とも,チケットを入手できなかったファンがロビーの扉に文字どおり耳を押しつけて,聞こえるものはなんでも聴こうとしていた。

その一方で,ゴールデン・チケットを握りしめた幸運な者たちの行列は,呪術的な模様が刻印されたそろいのローブを全員が身にまとい,それによく似合う金属製のお守りとマスクを身につけていた。そのマスクは,変色したベニスの仮面舞踏会用のそれとオプティマス・プライムを足して2で割ったようなデザインだ。それらのアイテムは正直言って奇妙に思えたのだが,そう感じたのも,THE ONEが儀式の一部であることと,それらが参拝者一人ひとりに与えられた三種の神器であると説明されるまでのこと。

2日目の夜は一般枠もあったがドレス・コードは同じだ。BABYMETALのライブはロックン・ロールであると同時に演劇であり,自由気ままに振る舞う機会は厳しく制限されている。しかしその結果は間違いなくスペクタクルだ。ライブは,地球上の人々が絶望に打ちひしがれていると説明する巨大な紙芝居とナレーションで始まった。幸いなことに,20XX年になるとキツネ様の目から光が放たれ,希望を復活させるために新たな女神が姿を現わすという。すると巨大なキツネ様の口からSU-METALがスモークに包まれて登場。ローブを身にまとい杖を携えたその姿は,ロブ・ハルフォード(JUDAS PRIEST)の孫娘のようだ。

SU-METALは6つの巨大なキツネの頭で囲まれた小さなステージの上に立っていた。そのステージには大きな鎖が取り付けられており,キツネの頭がをした6体の巨大な人型の者たちが,その鎖でステージを引っ張っていく(数字の6と,獰猛なキツネはBABYMETALの特徴だ)。向かう先は会場の反対側にあるステージだ。そこにたどり着いたSU-METALが杖を突き出すと,火花が飛び散り,爆発が起きた。頭がキツネの人型をした者たちは巨大なドラムを打ち鳴らし始め,叙事詩的なファンタジー戦争映画のサウンド・トラックのようなリズムを紡ぎ出す。それは,どんなバンドをも死に追いやってしまうようなイントロだった。

調べを奏でる神バンドは素性を明かさないが,彼らは圧倒的に弾き倒す。それがDragonForce的な“イジメ、ダメ、ゼッタイ”のような爆速チューンであろうと,“メギツネ”のようなダンス・メタルてあろうと,METALLICA以上にMETALLICAしてるリフがある“BABYMETAL DEATH”であろうとも。フロントに立つ少女たちは絶対的中心だが,神バンドというターボ・エンジンがなかったら,全てが滞り失敗するだろう。

観客も自分の役割を果たしていた。ここは日本なので,曲が終わると賞賛の大歓声に続いて陶酔感に満ちた沈黙が訪れる。しかし,観客もまた振り付けされているかのような瞬間もある。“ド・キ・ド・キ☆モーニング”ではみんな正しいポイントでジャンプするし,“META!メタ太郎”では「ウォ~オ~」と大合唱,“Road of Resistance”になると6つのサークル・ピットが発生した。

ステージ上のバンドのパフォーマンスはいつものように実に驚くべきものだった。SU-METALがリード・ヴォーカルの大半を担う一方で,疲れ知らずのMOAMETALは基本的に2人分を踊り,歌う。“KARATE”では空手の所作があり,“紅月-アカツキ-“の戦いの場面では側転も飛び出し,SU-METALの成長と過去の自分との戦いを表すためにMOAMETALが昔の衣装に身を包む。ピアノとストリングスから始まり壮大で印象的なスラッシュのようなソロへと移行する“No Rain, No Rainbow”でキツネ頭の戦士たちが戻ってくると,20フィートの焼きイカリングができるくらいのパイロが炸裂した。

しかしながら,最高の瞬間は最後になって訪れる。私たちのヒロインが神秘的な支柱と火柱の真ん中で生贄として捧げられると,”BABYMETAL DEATH”の熱狂は度合いを増した。だがまだ終わらない。救世主がいかにして新たな女神として生まれ変わり,希望を背負って天へと昇るのかを語るナレーションが続く。「キツネ様の目を通して希望の光は光り輝く」。7,000人のマスクから放たれる光と波動によって闇は貫かれるのだ。それは,THE ONEの最終幕の始まりを告げる素晴らしい瞬間だった。

「This is our song, this is our dream」MOAMETALとアリーナを横切りながら,SU-METALが歌う。今度は意匠を凝らした金色のローブと頭飾りを身につけていた。二人はステージ最上部へと登る。その前には壁が口を開けており,階段が中へと続いている。BABYMETALは光に包まれてその中へと登って行き,そして神となった。

こうしてBABYMETALの今回の物語は終わりを告げた。控えめなやり方でやったことがないバンドなので演劇のようなものを予想したかもしれないが,今回の二夜のショウは最も狂気じみた想像力が生み出しうるどんなものをもはるかに超えていた。そんな圧倒的勝利の後,彼女たちがどうなるかはキツネ様のみぞ知るわけだが,今やバンドには女神がいる。「DOWNLOAD 2018」に登場する時には完全なる神以上のものを期待しよう。

<STAR SHOUT! SU-METAL>

――誕生日おめでとうございます! 今回のショウを特別なものにするために何をしたかったですか?

「広島で生まれ育ったことがどれほど誇らしいことかと考えながらライブに臨みました。今までの貴重な経験から学んで得たものを見せたいと思っていました。ライブ中は,自分が将来どんな大人になりたいかということも表現したかったんです」

――今回は生まれ故郷で行われるBABYMETALとして初めてのライブでした。やはり特別でしたか?

「もちろんです。様々な経験を重ねてアイティーストとしても一人の人間としても自信を持てたと感じられるようになるまでは,故郷には戻らないと決めていたんです。広島でライブをするという目標を達成できたことは,本当に信じられません。たくさんのファンの方々が広島滞在中に広島の象徴的な場所を訪れることができたと聞いて,そのこともとても嬉しかったです」

――BABYMETALの次章はどうなるんでしょう?

「広島のライブでのエンディングは,救世主が生まれ変わって新たなリーダーとなり,歌とともに失われてしまった光を灯して,世界を一つにするというストーリーなんです。BABYMETALの未来については「Only the Fox God knows」ですが,私たちはBABYMETALとしてこれから出会うすべての人たちに光を灯す救世主のようなリーダーになりたいですね。そして私たちのライブを通じて世界中の様々な人たちにエネルギーと前向きな気持を与えられたらいいなって思います」

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