草の名

私が栽培している薬草や、道端の草でセルフメディケーションにも使える類の植物を紹介してゆきます。

スベリヒユの出番

2015年07月11日 | 薬草・雑草

雨続きで、たっぷり水分補給できた所為か、コマツヨイグサは大群落に、、ハマスゲ、カラスビシャクも仲間と集って勢いづいて群落をつくっています。

抜いても抜いても生え、いたちごっこ状態です。今までは、地上部だけの草刈りだったので、地中はシードバンクとなっているからでしょう。

ヤブ蚊も待ってましたっ!!とばかりに、まとわりついてきます。

そうそう、“痒い時は スベリヒユ” と思いだして探すと、草陰で、スベリヒユがしっかりとした株になっているではありませんか。いつの間にか、あちこちで拡がり、抜いても抜いても出てくる厄介者とされているスベリヒユです。

ところがスベリヒユは実に有益な植物なのです。

これがスベリヒユです。名前を聞いても思い出せない方でも、写真を見ればお分かりになるでしょう。

今年も宜しくね」と云いながら、早速一枝を折って、そのまま揉んで蚊に刺された箇所に塗りつけると、さっきまでの痒みは嘘のように・・・引きました。

大学の薬用植物園にいた頃の経験です。生薬学の実習に、薬用植物のスケッチがあり、学生たちは、蚊に悩まされながらも、座り込んで懸命に描いていました。あまりの痒がりように見かねて、スベリヒユを採って渡しました。「つぶして、汁を痒いところへ塗ってみて」と。                    

直ぐ実行した彼女は、「どうして?」と驚いていました。

嬉しかったのは、思いもよらぬ彼女からのお礼メッセージを貰ったことでした。メモには、「本当に痒みが止まったときは驚きました。こんな事は授業では教わっていなかったので、ビックリでした。おかげでスケッチを仕上げることが出来ました。有難うございました」と書かれていたのです。

以来痒がっている人を見るとついつい声を掛けてしまうのです。「騙されたと思って、これ塗りつけてみて」って。

この厚みのある生の葉には、痒みを取る成分がコロイド状の形で細胞液(汁液)に溶け込んでいるそうです。汁液はコロイド状で、効果があらわれるのです。 これを商品化しようとした人が、乾燥葉からアルコールエキスにして塗ってみても、効果がなかったそうです。それは、アルコールに溶かした途端にコロイド状が崩れて、薬効が期待出来なったのです。                                                                                      痒いところへ手は届かなかったという話です。

 そんなぁ~、 痒いときは、痒み止めのクスリでしょうに!・・・と云われそうですが、ウソだと思ったら、試してみてください。

 

スベリヒユと見間違う近縁種があります。

それならよく知っているワ。花壇に植えてある花でしょう? と皆さんは仰有います。

こちらは、夏の花壇によく植えられているハナスベリヒユPortulaca oleracea cvsなのです。このcvsとは、Portulaca oleraceaの園芸種であることを示します。

詳しくは、ポーチュラカPortulaca oleracea 'Giganthes' といいます。'Giganthes'は英語のGiantの意味で、スベリヒユの大きいものとでもいう命名でしょう。

花がついていれば一目瞭然ですが、葉茎だけでは見分け難くいでしょう。どちらかと云えばスベリヒユの方は平たく拡がり、葉茎が立ちあがって拡がるのがポーチュラカです。

 

ハーブではスベリヒユを“サマーパースレイン Summer Purslane ”と呼び、鉄分とビタミンCの豊富な葉茎を野菜として、生のままでサラダにしたり、スープや炒め物に利用します。乾燥させた葉は、薬用でもあり、生薬では「馬歯莧(ばしけん)」と呼ばれ、利尿、膀胱炎、肝臓病、肺結核、百日せき、浄血等に用いられます。                                                                   日本でも山形県では「ひょう」と呼ばれ、葉茎を茹でて辛子醤油和えで食べたり、乾燥させて保存食に利用するのが一般的だそうです。私はさっと茹でてからマヨネーズ和えにしてみましたが、想像以上の美味しさでした。未だ試したことはないのですが、ハナスベリヒユも同様、食用になるそうですが、痒み止めになるかどうかは不明です。                                                     雑草扱いされ、厄介者といわれているスベリヒユですが、実は有用な草なのです。

今度目にされたら、是非お試しあれ!!


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