「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」(建築物省エネ法)で、建築物の販売・賃貸事業者に対して「建築物の省エネ性能の表示」の努力義務が規定された。公表されたガイドラインによると、表示する場合は、第三者機関が認証したのか、自社で評価したのかを明確にして、建築物の設計一次エネルギー※消費量からどの程度削減されたかの「削減率」などを表示することになった。
※一次エネルギーとは、石炭や石油、天然ガス、水力、太陽エネルギーなど自然から直接採取されるエネルギーのこと。
また併せて、販売・賃貸事業者は購入者や賃借人に対して、その表示内容について説明することなども、国土交通省では推奨している。
このガイドラインの第三者認証制度として、「BELS(ベルス)」=建築物省エネルギー性能表示制度(Building-Housing Energy-efficiency Labeling System)が位置づけられ、 省エネ性能に応じて5段階で★表示もされる。BELSは、2014年4月から非住宅の建築物について認証制度を開始しており、2016年4月からは住宅についても対象となる。
BELS評価機関によって評価・認証を受けた建築物は、広告物などにラベルを表示することが可能となり、BELSのウエブサイト(住宅性能評価・表示協会)に掲載し、検索してもらうこともできるようになった。
また、既存の住宅を含む建築物を改修する場合も、所有者が所管行政庁に省エネ基準に適合していることの認定を受ければ、省エネ基準適合認定マーク(e マーク)を表示することができるようになった。
エアコンやテレビなど一部の電化製品には省エネラベルの制度があり、国の基準を達成しているかどうか、省エネ性能が目標値よりどの程度高いかなどが分かるようになっている。筆者も冷蔵庫を買い替えた際には、使用電気量を減らせる省エネ性能の高い(★の数の多い)ものを選んだ。
同じように、住宅でも省エネ性能のラベリング制度を導入していこうというのが、今回の狙いだ。任意の制度ではあるが、新築時などにはBELSを、既存住宅の改修時などにはeマークを活用してもらうことで、住宅などの建築物の省エネ性能を高めていこうとしている。
住宅を購入したり、借りたりする場合に、省エネ性の高い住宅を選びたいと思うなら、新しく導入されたラベルについても理解しておくとよいだろう。