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「このままでは社会の分断も」外国人への日本語教育を求める署名活動が本格化

外国人労働者の受け入れ拡大を控え、外国人への日本語教育の充実を求める法律の早期成立を求める署名活動が本格化している。

4月1日から外国人労働者の受け入れが拡がることを控え、外国人への日本語教育の充実を求める法律を早くつくるよう求める署名運動が立ち上がっている。

日本には約260万人の外国人が暮らしている。政府は4月からの入管法改正で、今後5年間で34万人の労働者をさらに受け入れる方針だ。

入管法は議論が生煮えのまま改正され、外国人の受け皿作りや社会への統合を視野に入れた制度の整備はほとんど手つかずのままだ。そこで「せめて日本語教育に関わる部分だけでも」と、1月28日に始まる国会での法律の成立を求めている。

呼びかけているのは、日本語教育関係者や研究者らでつくる「日本語教育の推進に関する法律の早期成立を要望する会」。

呼びかけ人代表を務める武蔵野大学の神吉宇一准教授によると、すでに超党派の「日本語教育推進議員連盟」(河村建夫会長)による議員立法のかたちで「日本語教育の推進に関する法律案」が作られている。


雇用者にも日本語教育の機会提供求める

この法案は、1月28日に始まる国会に上程される見通しだが、可決まで進むかどうかは不透明な情勢だ。そこで、早期の成立を求める呼びかけが始まった。

法案は、外国人やその子どもたち、そしてさまざまな事情で日本語の不自由な日本国籍者への日本語教育を、政府や地方自治体が主体的に取り組むことを求めている。

また、外国人の雇用者に対しても、外国人従業員やその家族に、日本語を学ぶ機会を提供するよう求めている。

あわせて、海外での日本語教育の充実や、海外在住邦人の子どもたちへの日本語教育の充実も求める。

神吉さんは「現状の日本語教育は、現場の『善意』やボランティアに頼っている。それには限界があり、法律による公的な位置づけが必要だ」と指摘する。

「制度を作らなければ社会の分断が」

日本にはすでに、大勢の日系南米人が、事実上の外国人労働者として働き、暮らしている。だが、日本語教育を受ける機会がなかったり、不十分だったりしたまま、20年経っても自分の名前が書けない大人や、中途半端な語学力のまま学校を卒業する子どもたちが珍しくない。

「外国人の多くは集住するので、そのコミュニティの中では日本語ができなくても生活できるし、職場でも例えば工場などでは、通訳が1人いればなんとかなる状態が続いてきた」という。

外国人と地元社会の接点づくりを

「しかし、これからさらに多様な国籍の外国人が増えていった場合、地元社会と関わりを持てないまま集住が進めば、社会の分断にもつながりかねない」と、神吉さんは危惧する。「公的な位置づけのもとで日本語教室ができれば、そこが外国人と地域の日本人の接点ともなる」

問題は、外国人労働者の受け入れ拡大を政府側に求めて2018年末の国会で実現させた産業界の関心が、「負担をできる限り負わず、安い労働力を利用したい」という点に留まっているところだ。

「雇用者に日本語教育機会の提供を求める点などで、党内調整で難しい面もあると聞く。できる限り多くの署名を集め、法案の早期成立につなげたい」という。

署名はchange.orgとgoogle formで受け付けている。これらをまとめたサイトがここだ。

2月5日に開かれる日本語教育推進議連に署名を提出し、早期成立を促したいという。10万人が目標だが、1月24日夕現在で5600人ほどに留まっている。神吉さんは「1人でも多くの関心と署名を」と呼びかけている。

また、Twitterでも「#すべての人に日本語を」のハッシュタグが立ち上がっている。