ユーグレナ、航空機燃料の実証工場着工
ミドリムシを使った製品を手掛けるユーグレナは1日、航空機燃料の実証工場の起工式を開いた。航空機向けのバイオ燃料では国内初の工場となる。2020年の東京五輪・パラリンピックまでにミドリムシ由来の燃料を飛行機に搭載し、商業飛行の実現を目指す。
同日、横浜市で開いた起工式で出雲充社長は「ここで失敗すれば再挑戦する機会は回ってこない。計画遅延や事故がないように最善を尽くす。すでに設計と並行して資材調達や人材集めもできており、遅れはない」と強調した。18年10月末に完成し、19年中にフル稼働させる予定だ。
工場の建設を担う千代田化工建設は5月末にユーグレナへの3億円出資を決めた。「エネルギーと環境の調和を目指すという当社の理念と一致しており、今回の工場建設以外でも幅広く協業していきたい」(千代田化工の長坂勝雄副社長)としている。
この工場ではディーゼル燃料も精製。いすゞ自動車とバイオディーゼル燃料の実用化に向けて共同研究を進めている。いすゞの奥山理志執行役員は「環境に優しい車を目指すなかで、燃費だけではなく新しい燃料も必要になってくる」と期待を寄せる。
実証事業を踏まえ、2020年以降の商用化を目指すが、課題はコストだ。実証事業で生産できる燃料のコストは1リットル1000円以上で、石油由来燃料の10倍超。全日本空輸の高田直人取締役執行役員は「燃料代が上がれば顧客の負担増にもなりかねない。コスト面も実証事業で検証していきたい」と述べた。
工場は旭硝子の京浜工場内の敷地を借りて建設する。設備投資額は58億円。年間125キロリットルの生産能力となる見通し。