社会学の北田氏によるバブル後の日本の社会を論じた評論のその後を詳述した論評。
前作を読んでいないし、かなり学術的な用語等が見られるので、読解できたかどうかは判りませんが読んだなりの感想を書き込んでおきます。
序章では、ネット右翼が台頭した原因について、左翼や左派が間違った方向にいってしまったからという風に受け止めました。その理由の一つにオタクが虚構としりながらも、自分の好きな物に没入し、全てを相対化できたので自分等を批判するものより優位に立てたから、と書いてあります。この序章からいきなり凄く難しいので覚悟して読んでください。
次は、上野氏の移民否定論に対する反論で、上野氏の論によれば、移民が増えると犯罪が増えるという事になるけれど、統計等を見ると必ずしもそうではない、外国の人の受け入れ体制が整っていないので、経済的困窮者として犯罪に走らざるを得ない状況になっていて、それは日本人の経済的困窮者にも当てはまると書いてあります。わたしも所謂貧困層であまり自慢できない経済状況ですが、その中で遣り繰りしており、あまり犯罪等(万引きとか)は考えません。倫理的理由というより捕まったら何されても文句が言えないのが怖いので、という理由ですが・・・。その後も上野氏への追及が続き、かなり北田氏が怒ってらっしゃるのが判ります(失言を超えた!とか)。もう日本は成長は望めないという諦念にも様々なデータを駆使して反論されております。
次は前の章で批判された上野氏との対談で、参加型のデモの重要性、フェミニズム運動の発言を批判した言論がバッシングされた事への提言、未だに男性優位で物事が進んでいる(らしい)日本の現状、ジェンダー論等を話あわれております。この辺もかなり微妙な問題を詳細に論じておりますので、十分読解できたか保証はできませんが、兎に角諦めてしまうのはよくないという事らしいです。
次はまた上野氏の40年に渡る活動の検証、批評に相応しい文体とは何か、を糸井氏との絡みで論考されております。ここでは転向の問題を論じている様ですが、ここもかなり難しく、十分理解できたかよく判りませんが、一度掲げた理想から降りたり、転向する事は許されないと断じている様です。
次は、三浦雅士氏との対談で、「現代思想」「ユリイカ」等の雑誌を創刊した経緯、途中で論壇の人がアイドル化した事等が対話されております。日本の場合、戦後に共産主義が流行ったり、ニューエイジ・ブーム、最近のサンデル教授の本とか新しい思潮がミーハーっぽく流行りやすいと聞きますし、私もそういう感じで本書を読んでいるので、あまり人の事はとやかく言えませんが、それで他人よりよく色々知っているとか序章の「アイロニカルな没入」と同じにならない様にしております。
次は、東京の団地や鉄道の沿線で発展した文化を、橋本健二氏と原武史氏と論じてらっしゃいます。これによると、この東京の地政学が日本の縮図になるとの事で興味深く読ませて頂きました。東京だけでもこれだけ経済格差があるのかと驚きます。色々なタイプの政治家や文化人もこの中に含まれているそうで、いかに地政学的分布図が国の理解に繋がるかが判ります(というか判ったつもりですが・・・)。
次はブレイディみかこ氏との往復書簡ですが、先に出た北田氏と松尾氏とブレイディ氏との鼎談「そろそろ左派は経済について語ろう」と内容は重複しております。やはりここでも経済について語るかが、とりもなおさずきちんと食事ができるかの話なので、もっと積極的に語るべきだと読み取りました。私もそう思います。
次が、「リベラル」という言葉の原義と実際の意味と今現在日本で使われている語との差異を検証してらっしゃいます。これによると「保守」と「リベラル」があまり単純に色分け出来る言葉ではなく、多様性のある言葉だという事が判ります。ヴェトナム戦争を激化させたのが民主党のケネディで終結させたのが共和党のニクソン、奴隷制を反対したのが共和党で擁護したのが民主党と、簡単に識別出来る物ではなく、かなり複雑な意味合いがあると書いてあります。はっきり言ってかなり微妙な問題なので、詳しくは本書を精読して頂きたいです。
次はディアローグで、11人の識者に本書で取り上げた様々な問題を話あってらっしゃいます。元首相、元党首の政治家、政治評論家、経済学者、社会活動家、文学者、障がい者サポーター、元PKO関連の仕事をされていた方に、天皇の事、野党のすべき事、経済がすべき事、武力行使の事、安全保障の事、文壇のすべき事、等、興味深い問題が語られております。
その後、後書きで現状を総括されておりますが、北田氏が何故今本書を世に問うたかが判りますが、もう時間がないので急ぐ必要があるという主旨の文章に何か恐ろしい物を感じました。また、日本がいい方向に行ってくれる事を期待したいです(というか、私もそうしないといけないのですが)。
個人的な感想ですが、今44歳なので本書で言われているロスト・ジェネレーション直撃世代に当たる様ですが、私的にはあまり搾取された、騙された、こき使われたという意識はないし、昔から色々我慢させられてきた性か、あるだけで遣り繰りしよう(例えば金に困ったら一日一食にするとか)としてきたので、そんなに酷い状況ではなかった様な感慨を持っているのですが、もしかしたらそういう風に思いこまされている可能性もなきにしもあらずに感じたのも真実です。この辺は人によって乖離があると思うので、他の方の意見もお聞きしたいです。能力主義(メリトクラシー)の社会になってから自分の才能の無さ、無能・低脳と悲観して自ら死を選ぶ方が多いそうですが、私もある会社で働く事になりその前に一か月実習しないといけないので働いたら、あまり向いてなかったので、採用を辞退して、結局短期のバイトみたいに(しかもタダ働き)で終わった経験があって悲観しましたが、あまり死のうとは考えませんでしけど、日本の場合、責任を執るのに今だに自ら死ぬのが潔いというイメージがあるのか、死ぬ方が多いというのもなんだかなぁと思います。
かなり専門用語が使われていて、ある程度は理解したつもりですが、全体を完全に読解出来たかも疑問ですが(北田さん、間違って解釈している所があったらすいません)、一応読んでおいた方がいい社会論だと思います。かなりの精読が必要ですが是非ご一読を。
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終わらない「失われた20年」 (筑摩選書) 単行本(ソフトカバー) – 2018/6/13
北田 暁大
(著)
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● 若くなくなったというだけで、忘れられてよい世代など存在しない、してはならない
「脱成長」を優しげに語り、
ロスジェネなど経済的に困窮した人々を放置する左派知識人たち。
いまなお猛威をふるうネトウヨ的世界観・政治。
希望はどこに?
隘路を突破すべく、「日本型ニューディール」を立ち上げよ!
人びとの切実なニーズをすくい取り、
精緻な設計図を携えたソーシャル・リベラリズムを起動せよ!
ネトウヨ化した政治と決別するための、渾身の書!
〔目 次〕
序章 嗤う日本の「ナショナリズム」・その後――終わらない「失われた二〇年」
第I部 社会的シニシズム=脱成長派と対峙する
第1章 脱成長派は優し気な仮面を被ったトランピアンである――上野千鶴子氏の「移民論」と日本特殊性論の左派的転用
第2章 政治的シニシズムの超え方――上野千鶴子氏との対話
第3章 上野千鶴子・消費社会と一五年安保のあいだ――転向を許されない思想をめぐって
第II部 消費社会論の神話とデフレ社会の呪縛
第4章 思想の「消費」を捉え返す――三浦雅士氏との対話
第5章 東京の政治学/社会学――格差・都市・団地コミューン 橋本健二×原武史×北田暁大
第6章 デフレ社会に抗うために――ブレイディみかこ氏との往復書簡
第7章 日本型リベラルとは何であり、何でないのか――「革新」との連続と断絶
第III部 情況へ――11 DIALOGUES
#1 「社会党」の20年 ゲスト・村山富市氏
#2 社会的資本への投資を ゲスト・姜尚中氏
#3 Save the 中年! ゲスト・雨宮処凛氏
#4 権力の新しい「分散」へ ゲスト・河野洋平氏
#5 天皇――したたかな「空虚」な中心 ゲスト・原武史氏
#6 経済学のリアリズムへ ゲスト・金子勝氏
#7 文壇・論壇の消長 ゲスト・小森陽一氏
#8 「既得権層」男性の没落 ゲスト・杉田俊介氏
#9 「平和主義」の現在 ゲスト・伊勢崎賢治氏
#10 野党に求められるもの ゲスト・井上寿一氏
#11 本気でマルクスに戻ろう ゲスト・萱野稔人氏
おわりに
〔著者紹介〕
北田暁大(きただ・あきひろ)
1971年生まれ。東京大学大学院情報学環教授。社会学、メディア論を専攻。博士(社会情報学)。著書に『広告の誕生――近代メディア文化の歴史社会学』(岩波現代文庫)、『責任と正義――リベラリズムの居場所』(勁草書房)、『嗤う日本の「ナショナリズム」』(NHKブックス)、『増補 広告都市・東京――その誕生と死』(ちくま学芸文庫)、共著に『リベラル再起動のために』(毎日新聞出版)、『現代ニッポン論壇事情――社会批評の30年史』(イースト新書)、『そろそろ左派は〈経済〉を語ろう――レフト3・0の政治経済学』(亜紀書房)などがある。
「脱成長」を優しげに語り、
ロスジェネなど経済的に困窮した人々を放置する左派知識人たち。
いまなお猛威をふるうネトウヨ的世界観・政治。
希望はどこに?
隘路を突破すべく、「日本型ニューディール」を立ち上げよ!
人びとの切実なニーズをすくい取り、
精緻な設計図を携えたソーシャル・リベラリズムを起動せよ!
ネトウヨ化した政治と決別するための、渾身の書!
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序章 嗤う日本の「ナショナリズム」・その後――終わらない「失われた二〇年」
第I部 社会的シニシズム=脱成長派と対峙する
第1章 脱成長派は優し気な仮面を被ったトランピアンである――上野千鶴子氏の「移民論」と日本特殊性論の左派的転用
第2章 政治的シニシズムの超え方――上野千鶴子氏との対話
第3章 上野千鶴子・消費社会と一五年安保のあいだ――転向を許されない思想をめぐって
第II部 消費社会論の神話とデフレ社会の呪縛
第4章 思想の「消費」を捉え返す――三浦雅士氏との対話
第5章 東京の政治学/社会学――格差・都市・団地コミューン 橋本健二×原武史×北田暁大
第6章 デフレ社会に抗うために――ブレイディみかこ氏との往復書簡
第7章 日本型リベラルとは何であり、何でないのか――「革新」との連続と断絶
第III部 情況へ――11 DIALOGUES
#1 「社会党」の20年 ゲスト・村山富市氏
#2 社会的資本への投資を ゲスト・姜尚中氏
#3 Save the 中年! ゲスト・雨宮処凛氏
#4 権力の新しい「分散」へ ゲスト・河野洋平氏
#5 天皇――したたかな「空虚」な中心 ゲスト・原武史氏
#6 経済学のリアリズムへ ゲスト・金子勝氏
#7 文壇・論壇の消長 ゲスト・小森陽一氏
#8 「既得権層」男性の没落 ゲスト・杉田俊介氏
#9 「平和主義」の現在 ゲスト・伊勢崎賢治氏
#10 野党に求められるもの ゲスト・井上寿一氏
#11 本気でマルクスに戻ろう ゲスト・萱野稔人氏
おわりに
〔著者紹介〕
北田暁大(きただ・あきひろ)
1971年生まれ。東京大学大学院情報学環教授。社会学、メディア論を専攻。博士(社会情報学)。著書に『広告の誕生――近代メディア文化の歴史社会学』(岩波現代文庫)、『責任と正義――リベラリズムの居場所』(勁草書房)、『嗤う日本の「ナショナリズム」』(NHKブックス)、『増補 広告都市・東京――その誕生と死』(ちくま学芸文庫)、共著に『リベラル再起動のために』(毎日新聞出版)、『現代ニッポン論壇事情――社会批評の30年史』(イースト新書)、『そろそろ左派は〈経済〉を語ろう――レフト3・0の政治経済学』(亜紀書房)などがある。
- 本の長さ336ページ
- 言語日本語
- 出版社筑摩書房
- 発売日2018/6/13
- 寸法13.3 x 2.4 x 18.9 cm
- ISBN-104480016694
- ISBN-13978-4480016690
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登録情報
- 出版社 : 筑摩書房 (2018/6/13)
- 発売日 : 2018/6/13
- 言語 : 日本語
- 単行本(ソフトカバー) : 336ページ
- ISBN-10 : 4480016694
- ISBN-13 : 978-4480016690
- 寸法 : 13.3 x 2.4 x 18.9 cm
- Amazon 売れ筋ランキング: - 344,821位本 (本の売れ筋ランキングを見る)
- - 3,509位社会一般関連書籍
- - 4,528位その他の思想・社会の本
- カスタマーレビュー:
著者について
著者をフォローして、新作のアップデートや改善されたおすすめを入手してください。
【自己紹介】1971年神奈川県生まれ。東京大学情報学環教授(社会学、メディア史)。博士(社会情報学)。東京大学文学部社会学科、同大学大学院人文社会系研究科修士課程修了、博士課程退学。東京大学社会情報研究所助手、筑波大学社会学系講師、東京大学社会情報研究所助教授、同大学情報学環准教授を経て現職。現在は、アメリカ社会調査史を中心に、調査という社会的行為の歴史をたどり返している。ドイツの戦時期にも手を付けないとといけないとびびっています。最新刊は『社会制作の方法』勁草書房。なんとか春までには有斐閣から社会学の教科書(というか講義録)を出したいと思っています。
著者の本をもっと発見したり、よく似た著者を見つけたり、著者のブログを読んだりしましょう
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トップレビュー
上位レビュー、対象国: 日本
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2018年6月16日に日本でレビュー済み
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2018年9月22日に日本でレビュー済み
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老人向きでない文章です
分かり切ったことも丁寧に書いていただくと助かります
でもボケ防止と思い懸命に読んでいます
若者の思考方法を理解したいです
分かり切ったことも丁寧に書いていただくと助かります
でもボケ防止と思い懸命に読んでいます
若者の思考方法を理解したいです
2018年11月2日に日本でレビュー済み
Amazonで購入
この本を読んでわかったこと。
1)若者が「保守」化して「維新」や「自民」を支持するなどと思ってきたが、若者にとっては、自分たちを経済的困窮に陥れる社会を変えてくれるような政策を示す両党などが革新であり、それを示せない野党は保守と見なされている。
2)したがって、野党は、もっと経済を重視しなくてはならない。「与党は経済のことだけ考えて、人を大切にしていない」などと威張っていてはだめで、野党こそが、ロストジェネレーションなど貧困にあえぐ人びとを救う経済政策を提案しなければならない。それは、短期的なバラまきではなく、中期的な人的投資でなければならない。
3)「脱原発」と「脱成長」はセットではない。むしろ、「脱原発」は「経済成長」とセットでなければならない。(沖縄では米軍基地がなくなった方が経済が振興する地域的例がある、ことを思い出した)。
1)若者が「保守」化して「維新」や「自民」を支持するなどと思ってきたが、若者にとっては、自分たちを経済的困窮に陥れる社会を変えてくれるような政策を示す両党などが革新であり、それを示せない野党は保守と見なされている。
2)したがって、野党は、もっと経済を重視しなくてはならない。「与党は経済のことだけ考えて、人を大切にしていない」などと威張っていてはだめで、野党こそが、ロストジェネレーションなど貧困にあえぐ人びとを救う経済政策を提案しなければならない。それは、短期的なバラまきではなく、中期的な人的投資でなければならない。
3)「脱原発」と「脱成長」はセットではない。むしろ、「脱原発」は「経済成長」とセットでなければならない。(沖縄では米軍基地がなくなった方が経済が振興する地域的例がある、ことを思い出した)。
2018年7月30日に日本でレビュー済み
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本書の内容は、Amazonの商品説明で丁寧に紹介されているので、あえて触れません。
小生は60~70代「リベラル派」です。 「ジェンダーの平等、多文化主義、歴史意識、バリアフリー、非自己責任論、沖縄基地移転問題、相対的に改憲に慎重な姿勢---これはどれも「革新」から受け継いだ、市民的価値ですが、逆に言うと、「革新」以来の「伝統的」な左派理念なわけです。」(本書258頁)がソックリ当てはまると言ってよいでしょう。著者の批判のとおり、小生は経済問題には無関心、と言うよりも政治が経済を良くするとか、経済を成長させることが出来るとは思っていません。経済については、政治は公正なルールを保つことに力を注げば良いとしてきました。現役時代は職業的に恵まれ、ハイパーインフレのような事がなければ、退職後も、まあそんなに苦労しない程度の年金と蓄えがあるので、経済についての切実感がないのが本音です。
しかしながら、よくよく考えれば、著者の主張は至極当たり前で、そこを押さえていかないと、最終的に民主主義(過誤の修正を可能とする政治体制)を壊して行くことになるのは明白だとは小生も思います。野党としては、現在のコア支持者の希望を代弁するだけでは済まなくなるので、目下のメンバーには、荷が重過ぎるように感じてしまうのが懸念材料です。
小生は60~70代「リベラル派」です。 「ジェンダーの平等、多文化主義、歴史意識、バリアフリー、非自己責任論、沖縄基地移転問題、相対的に改憲に慎重な姿勢---これはどれも「革新」から受け継いだ、市民的価値ですが、逆に言うと、「革新」以来の「伝統的」な左派理念なわけです。」(本書258頁)がソックリ当てはまると言ってよいでしょう。著者の批判のとおり、小生は経済問題には無関心、と言うよりも政治が経済を良くするとか、経済を成長させることが出来るとは思っていません。経済については、政治は公正なルールを保つことに力を注げば良いとしてきました。現役時代は職業的に恵まれ、ハイパーインフレのような事がなければ、退職後も、まあそんなに苦労しない程度の年金と蓄えがあるので、経済についての切実感がないのが本音です。
しかしながら、よくよく考えれば、著者の主張は至極当たり前で、そこを押さえていかないと、最終的に民主主義(過誤の修正を可能とする政治体制)を壊して行くことになるのは明白だとは小生も思います。野党としては、現在のコア支持者の希望を代弁するだけでは済まなくなるので、目下のメンバーには、荷が重過ぎるように感じてしまうのが懸念材料です。
2018年6月14日に日本でレビュー済み
しかし、印象論ではあるが、左翼の内ゲバを現代風に見せつけられている様に感じられた。
2019年1月29日に日本でレビュー済み
上野千鶴子の移民反対論に対してトランプ主義だのマジョリティの道楽だの罵倒しているが筆者は希望的観測しか提出していない。上野が依拠している「ためらいというシニシズム」がろくでもない排外主義なのは事実だが絶望というリアリティがある。これが最大の問題だろう。