遊爺雑記帳

ブログを始めてはや○年。三日坊主にしては長続きしています。平和で美しい日本が滅びることがないことを願ってやみません。

英・メイ首相来日 ブレグジットの英国と日本の新たな関係は

2017-09-01 23:58:58 | EEZ 全般
 英・メイ首相が8月30日から9月1日、訪日され、安倍首相の京都でのおもてなしを皮切りに、天皇陛下との面会、護衛艦「いずも」の視察、NSCへの参加など、幅広く精力的な日程をこなされました。
 キャメロン前首相時代は、日本でのG7時に、安倍首相が世界経済の危機への対応を唱えるのに反論したり、チャールズ皇太子の訪日が実現されたものの、日本の後に中国に財界人の大団体を同行し訪問、その後、習近平訪英時にはエリザベス女王に馬車で迎えに行かせたり、原発購入契約を交わしたり、AIIBへは、欧州勢の先陣を切って参加し、他国の参加の雪崩現象を引き起こすといった、対中隷属姿勢でしたが、メイ首相は、原発発注に関して中国企業の持ち分が全体の50%を超えないようきつい縛りをかけて、今年2月に7月の訪中を予定しながらも中国からの正式招待がいまだに届かない状況で、今回の来日では、空母の南シナ海覇権を合意するといった風向きで、キャメロン時代とは方向が異なっています。
 大国・英国の首相が来日され、しかも内容が、ブレグジット対応の経済にとどまらず、安全保障問題にも踏み込んだ、両国関係の歴史的転換に繋がる可能性があるというのに、テレビのワイドショーでは、全くといっいいほど取り上げられず、主要紙でも、9月1日現在で、社説で取り上げたのは産経 1紙だけといった状況です。
 さすがに刑事告発された籠池を取り上げることは稀になりましたが、いまだに加計問題は取り上げるメディア。こんな大事な世界情勢にも関わる重要イベントをほとんど取り上げない惨状です。余談ですが、米国で最も信頼する報道は、英国のエコノミストとの調査結果が出たとの報道がありました。日本でも、ピント外れな報道や、報道しない自由が闊歩している現状では、同様に国内の偏向メディアが見捨てられる時がくるのは、これからのネット社会では、近々に生じると予感されられます。

  
メイ首相、日本重視へ変化 日英首脳「蜜月」ムード (産経新聞) - Yahoo!ニュース
 英空母、南シナ海派遣へ 日英首脳、北非難の声明 (産経新聞) - Yahoo!ニュース
 
日英首脳会談 海洋国家の絆を強めたい (9/1 産経 【主張】)

 
安倍晋三首相は来日した英国のメイ首相と会談し、安全保障や経済分野での協力をうたった日英共同宣言を発表した。
 日本の頭上に弾道ミサイルを発射した北朝鮮への対処について圧力強化や中国の役割など、時間をかけて語り合ったのは有意義だった。
 
日本と英国は、法の支配や自由、民主主義といった普遍的価値観を共有する。それぞれが同盟関係にある米国とともに、国際秩序の維持に努めるべきだ

 その必要性は、英国の欧州連合(EU)離脱があっても変わるものではあるまい。

 
両国は「航行の自由」の大切さを知る、アジアと欧州の海洋国家同士である。中国の一方的な海洋進出に歯止めをかけるため、英国の協力も促したい。


 メイ氏は滞在中、海上自衛隊横須賀基地の海自艦船を訪れたほか、安倍首相のはからいで国家安全保障会議(NSC)の特別会合にも出席した。
 緊密な関係をアピールした安倍首相の狙いは妥当だ。それ自体が
北朝鮮への圧力となる。中国と同様、力ずくの現状変更を躊躇(ちゅうちょ)しないロシアへの牽制(けんせい)にもなろう

 EUとの間で複雑な離脱交渉を抱える
メイ氏が、国際会議への出席や、近隣国への立ち寄りもない訪問先として、日本を選んだことに注目しておきたい


 英国には製造業を中心に多数の日本企業が進出している。
日本の産業界の懸念を和らげる狙い
もあっただろう。
 英国のEU離脱交渉は入り口で難航しており、離脱後の英・EU関係の先行きも不透明である。日本企業の不安は拭えない。経済の混乱回避のため最大限の努力を求めたい。
 
EU離脱後の英国外交の柱に、対日関係を据える
ことも想定しておいた方がよかろう。
 英国は、国連安全保障理事会の常任理事国である。自らのネットワークによる、高い情報収集能力を誇っている。
 関係緊密化で日本が得る利益は少なくない。対テロの取り組みも参考になろう。
 
キャメロン前政権は中国重視の姿勢が顕著だった
。政権が代わることで、外交方針は不変なものではない。
 だが、
海洋国家など多くの共通項を考えれば、対英関係は長期的にみて極めて重要だ。

 おもてなしの外交辞令的歓迎の見方ではなく、第三者的な立場からの冷静な見方は以下。
 
メイ英首相、「日本を安心させる」使命を帯び来日 EU離脱控えた英国の焦りと期待 | NewSphere
 
アメリカの衰退見据え「日英同盟」の再構築を 英首相メイと安倍首相の握手 | 木村正人 | コラム | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト 2017年09月01日(金)15時00分

 [ロンドン発]英首相テリーザ・メイが8月30日から9月1日まで訪日し、安倍晋三首相と会談した。核・ミサイル開発を急ピッチで進める北朝鮮とイギリスの欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)が主要議題となったが、隠れた焦点が日英の安全保障協力である。アメリカの衰退が顕著になる中、「日英同盟」を再構築し、第三極・欧州の一角をなすイギリスと深い絆を結ぶことは日本にとって焦眉の課題
だった。

■日英関係を強める好機
最近の英首相訪日は2008年のゴードン・ブラウン(北海道洞爺湖サミット)、12年のデービット・キャメロン(日本から帰国後にチベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世と面会して対中関係が悪化)、16年のキャメロン(伊勢志摩サミット)。
日本でG7(先進7カ国)首脳会議が開催されるか、中国との関係がまずくなっている時でない限り、イギリスの首相は日本にやって来ない


メイは「英中黄金時代」を仕掛けた前財務相ジョージ・オズボーンをパージし、原発発注に関して中国企業の持ち分が全体の50%を超えないようきつい縛りをかけたため、中国の国家主席、習近平から完全に睨まれた。ブレグジット後の貿易相手として日本より中国の方がもっと重要なのだが、7月末の訪中を予定していた中国からは待てど暮らせど、お呼びがかからない


英中関係はさておき、日本にとっては好機到来。安倍首相は共同声明で「日英両国は自由、民主主義、人権、法の支配といった基本的な価値を共有するグローバル戦略的パートナー」「アジアと欧州におけるアメリカに最も近い同盟国」であることを確認。合同軍事演習、国連PKO(平和維持活動)協力のほか、防衛装備・技術移転の推進、国家安全保障会議(NSC)局長レベルの対話を進めることで合意した。

さらには2019年のラグビーワールドカップや20年の東京五輪・パラリンピックに向け、日本の警察庁と英内務省のパートナーシップを結び、テロ対策、サイバーセキュリティーで政府間協力を強化するとうたった。
国内に分離・独立問題を抱えるイギリスはテロ対策の長い歴史と経験があり、世界トップレベルのシギント(電子情報の収集)能力を誇る。平和な日本はこの分野でイギリスに学ぶところは多い


北朝鮮の朝鮮労働党委員長、金正恩は、米大統領ドナルド・トランプがテキサス州南部の洪水対策に追われ、習近平が秋の党大会を控える間隙をついて、核・ミサイル実験を強行し、「核兵器保有国」としての地位を既成事実化する狙いがある。北朝鮮が米全土を攻撃できる核ミサイルを保有するのは早ければ来年という分析もある。

アメリカや韓国に対して金正恩が抑止力としての核を保有するのを中国やロシアはどう考えているのか。中国やロシアにとって安全保障上の最大の利益は米軍がアジアから撤退することだ。米全土を攻撃できる核兵器を北朝鮮が保有することによって米軍はアジアへの前方展開を増すのか、それとも安全な後方に引っ込むのか。

大統領就任早々、戦略的な環太平洋経済連携協定(TPP)から抜けたトランプのことだから在日米軍や在韓米軍について将来は何の保証もない。しかも仕事を失った白人単純労働者の怒りを無用にあおり、アマゾンをはじめテクノロジー企業と対立するトランプ登場と、不毛なブレグジットで、これまでの予想より早く欧米の衰退と米中逆転が起きることを筆者は強く憂慮する。

■米軍をアジアにとどめよ
米軍がアジアから撤退し、日本が中国の核の傘に入ることは考えられない。中国の核の傘に入ることは、自由と民主主義を放棄するのと同じだからだ。
日本としては米軍をアジアに引き止めておくことが安全保障上の最重要課題である。アメリカが悪しき孤立主義への回帰をにおわせる中、日本とイギリスは同盟国としてアメリカを支える必要がある。その要になるのが「日英同盟」の復活
だ。

日本とイギリスは13年、アメリカ以外では初の化学・生物防護技術の共同研究を開始。14年に、航空自衛隊の次期主力戦闘機F35の空対空ミサイル(AAM)技術の共同研究、昨年秋には、航空自衛隊が三沢基地で英戦闘機タイフーンとの共同訓練を実施。今年に入って日英ACSA(物品役務相互提供協定)の署名を行い、着実に日英防衛協力を深めている


メイは31日、海上自衛隊横須賀基地を訪れ、海上自衛隊最大の護衛艦「いずも」に乗艦した。朝日新聞によると、同行した小野寺五典防衛相は戦前の旧日本海軍の巡洋艦「出雲」に触れ、「出雲はイギリスで造って日露戦争で運用した。日露戦争はそのおかげで勝つことができた」とあいさつしたそうだ。当時、日本はイギリスと日英同盟(1902~23年)を結んでいた。

地政学的に中国と離れている
欧州にとって安全保障上の脅威はロシアであって、中国ではない。だから北朝鮮の核・ミサイル開発や中国による南シナ海や東シナ海での海洋進出より、中国との経済関係を優先させがちだ。ブレグジットでEUから離脱するイギリスとの絆を強め、21世紀の「日英同盟」に発展させることは日本の死活問題と言えるだろう。

 メイ首相は、「英中黄金時代」を仕掛けたキャメロン政権の前財務相ジョージ・オズボーンをパージし、原発発注に関して中国企業の持ち分が全体の50%を超えないようきつい縛りをかけたため、中国の国家主席、習近平から完全に睨まれたのだそうですね。
 なので、今年2月に7月の訪中を予定しながらも中国からの正式招待がいまだに届かない状況なのだそうです。
 
英メイ首相、今年中に中国訪問へ EU離脱にらみ関係強化 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

 TPPの加盟国のブルネイには、世界最強と言われるネパール由来のグルカ兵と1個ヘリコプター隊からなる、在ブルネイイギリス陸軍が、1,000名規模で駐屯していて、アジアに足がかりが残っている英国。TPPに参加して、アジアとの経済交流を深めることも可能です。もとより、オーストラリア、ニュージランドは英連邦国の一員です。アジア市場に英国の基盤は残っているのですね。

 21世紀の「日英同盟」を締結しなおして、米、豪、インド、ニュージランドと共に、アジアの自由主義国との連携を深めていけば、中国の覇権拡大の独壇場を牽制できます。
 今回の、メイ首相の来日が、新たな日英関係構築の起爆剤となることを願っています。



 #冒頭の画像は、日露戦争の日本海海戦で活躍した英国製の「いずも」の名を継承した、護衛艦「いずも」を視察するメイ首相と小野寺防衛相
 メイ英首相、護衛艦「いずも」視察 小野寺五典防衛相、英国生まれ“先代”出雲のエピソード披露:イザ!



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