スーツの製造販売を手掛けるAOKIホールディングスは2018年11月14日、サブスクリプション型スーツレンタル「suitsbox」終了を利用者向けへ案内し始めた。開始から約半年での撤退となる。9月から申し込み多数による品不足を理由に新規会員の受け付けを停止していたが、再開を迎えることなく終了した。

 AOKIホールディングス子会社でファッション事業のAOKIは18年10月に中村宏明前社長が辞任し、諏訪健治氏に社長の座を明け渡している。関係者によれば「社長交代後に新規事業の見直しが入った」という。suitsboxもその対象となったようだ。

 suitsboxのWebサイトのトップページには「現在の事業環境及びサービスの利用状況を鑑み、シェアリングサービスsuitsboxの営業を終了させていただくこととなりました」と、サービス終了の理由を記載している。同サービスは月額7800円(税別)からでスーツ、シャツ、ネクタイのセットを借りられるサービス。普段着ているスーツのサイズや、好みのスーツを登録することで、スタイリストが選んだスーツが届く。借りたスーツを返却することで、月1回まで他のスーツに交換できる。

 AOKIにとってsuitsboxは既存店の売り上げ減少を補うためのEC戦略における意欲的な一手となるはずだった。AOKIの19年3月期第2四半期のファッション事業の売上高は、前年同期比で3.6%減となる446億4400万円。総利益は4.3%減の263億7200万円と振るわない。若者のスーツ離れや働く服装の自由化などが既存事業を直撃。既存店の減収の他、不採算店舗の撤退による売上減が響いている。

 厳しい競争環境に置かれたなかで、ECによる活路を開くべくsuitsboxは開発された。「所有」から「使用」へと移り変わる消費トレンドに対応することで、新規顧客を獲得する目算だった。クラウドファンディングの「Makuake」を活用して、事前に“顧客内定者”を集めるなど周到にサービス開発を進めたものの、あっけない幕切れとなった。

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