考察:BABYMETAL⑥/BABYMETALが放つ強烈なメッセージ性 | たろの超趣味的雑文日記〜本と映画と音楽とBABYMETALその他諸々

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2016年1月17日 Text by たろ a.k.a. TAROO-METAL

BABYMETALのパフォーマンスは観る者に何かを訴える。

「楽曲が素晴らしい」「3人がカワイイ」「ダンスがキレキレ」「SU-METALの歌がうますぎる」などなどBABYMETALの魅力を数え上げればキリがないが、BABYMETALという存在そのものが放つ「メッセージ性」も間違いなく魅力の一つだと思う。

このメッセージ性というのは、たとえばBABYMETALの代表曲である"イジメ、ダメ、ゼッタイ"や"Road Of Resistance"の歌詞が持っている文字どおりのメッセージ性を指すだけではない。「メタルとアイドルの融合」「BABYMETALというジャンルを作る」「オンリー・ワンの存在になる」といった、BABYMETALが結成当初から折に触れて掲げてきた様々なメッセージを含めて、BABYMETALという存在そのものが私たちに訴えかけるモノを指すのだ。

それは「ひたむきさ」「真摯さ」「有言実行の精神」と言い換えてもいいかもしれない。迷うことなく己の信じる道を突き進むBABYMETALの姿勢そのものが、強烈なメッセージを放つ。

だから、BABYMETALの渾身のパフォーマンスをライブ会場で実際に体験した人は、ほぼ例外なくそこから「何か」を感じ取る。そしてその「何か」は確実にその人の魂を根っこから揺さぶり、感動をもたらす。「この感動を誰かに伝えたい!共有したい!」と強烈に思わせる。

BABYMETALが放つこのメッセージ性の根底にあるものは、いったい何なのだろう。

それはおそらく「思いを届ける」という姿勢だ。

そう、これはBABYMETALの「母体」であるさくら学院のメンバーがしばしば口にするフレーズである。彼女たちの「日誌」を読むと、「思いを届ける」という趣旨の発言が頻繁に出てくることに気づく。中学卒業と同時にグループも卒業しなければならないという「期間限定」のグループゆえ、中3のメンバーは同学年の仲間や後輩、そしてファンに対して様々な「思い」を託す。先輩の「思い」を託された後輩たちも数年後には卒業を迎え、代々受け継いできた「思い」に自身のそれを重ねて、また後輩・ファンへと「思い」のバトンを引き継いでゆく。

さくら学院のことは人並みにしか知らない私でも、彼女たちの「思い」や「絆」の伝統については知っている。それくらい、メンバーにとって「思いを届ける」ことは大切なことなのだ。

BABYMETALには、いや、より正確を期すならば、さくら学院の卒業生であるSU-METAL、YUIMETAL、MOAMETALの3人には、「思いを届ける」というさくら学院のメンタリティがしっかりと根付いているのだろう。だからこそ、BABYMETALの一挙手一投足は見る者の心を動かさずにはいられないメッセージ性を色濃く帯びる。

BABYMETALのように「思いを届ける」というピュアな思想を持ったメタル・アーティストの存在を、私は知らない。「ファンが喜ぶ音楽を届けたい」というアーティストはいるだろう。だが「思いを届けたい」と願うアーティストは、ほとんど存在しないのではないか。

「思いを届ける」というこの姿勢と、その姿勢から放たれるメッセージ性。これもまたBABYMETALのオリジナリティであり、ユニークさであり、強烈な魅力なのである。


画像=BABYMETAL公式Twitterから(https://pbs.twimg.com/media/CPG1gsYU8AEA0v1.jpg)