「ジンパ」というイベントがあります。
北海道では定番です。
屋外でジンギスカンをやって飲み食いする、それが「ジンパ」、すなわちジンギスカンパーティーです。
屋外で飲んで食べるイベントは楽しいです。BBQでウェーイするチャラさも捨てがたいものですが、そんな量産型のお楽しみから一歩抜け出して北海道の人のようにジンギスカンパーティーをするのが夢だったのです。だっておいしいじゃん。
つまり、北海道の人じゃなくてもおいしくて楽しい「ジンパ」はできるんです。
「ジンパ」は簡単。おいしい。楽しい。
今回はそれを証明します。
まずはビギナー向けの「ジンパ」手順をご紹介。そのあとにジンギスカンパーティーピーポー「ジンパリピ」として役立ちそうな世間話をフォローしていきます。
ジンパの手順1/5:会場をつくる
用意したのはこちら。まずは食材。
- 通販で買えるジンギスカンのセット(肉と簡易ジンギ鍋のセット)
- 家でカットしてきた野菜(たまねぎ、もやし、にんじん、なす、ピーマン)
- お酒(未成年者はダメよ)
そしてツール類。
- カセットガスコンロ
- アウトドア用のあれこれ(敷物、テーブル、紙皿、コップ、トングなど)
これらの装備を持って、気の合う仲間たちとBBQできる公園や自宅の庭に集まりましょう。
ジンパの手順2/5:焼き始める
コンロに火をつけます。
ジンギ鍋のフチのくぼみに野菜を入れます。
ジンパの手順3/5:肉を焼く
ジンギ鍋の中央部、ドーム状に盛り上がったところに肉を並べます。
ジンパの手順4/5:タレを注ぐ
肉のつけダレをダダーっと注ぎます。
なんでかというと、このタレで野菜が煮られるんです。
ジンパの手順5/5:完成
肉が焼きあがります。
乾杯して食べます。レッツ、ジンギスカンパーリー!
ここまで30分かからない早さ。もちろん旨さもハンパないです。
簡単。おいしい。楽しい。早い。
以上、簡単ではありますがビギナー向けの「ジンパ」指南です。事実、簡単すぎてこんなんで十分なんですよ。
簡易ジンギスカン鍋は肉と一緒に通販でゲット
さてここからはアドバイザーを入れての「ジンパ」解説となります。
パーティーは終わりませんよ。
「ジンパ」初心者の自分だけでちゃんと「ジンパ」を完遂できるか不安なので招聘した「ジンパ」アドバイザーは北海道出身であり、世界的な編み師の203gow(ニイマルサンゴウ)さんです。
「へんなあみもの」を編む著名なアーティストです。北海道の大自然のなかで育ち、幼いころから実家の庭で「ジンパ」三昧の限りを尽くしてきた経験の持ち主でもあります。
彼女が持っているのは簡易ジンギスカン鍋。
「北海道の家庭ではジンギスカン鍋の常備はマスト」なんて話もありますが、内地(北海道弁で本州のこと)のご家庭ではまず無いアイテムです。
ちなみにこれは我が家のジンギスカン鍋。フッ素樹脂加工で焦げ付きにくいところが自慢です。とはいえ、よほどのジンギスカンファンでもない限り不要な装備であることは否めないところ。
そこで、初心者におすすめなのが通販のジンギセットなわけです。タレ漬けの肉と簡易鍋がセットになっているものです。使い捨てのアルミ製ジンギ鍋は「ジンパ」ビギナーに最適です。
初心者向けのタレ漬け肉
タレ漬けのジンギスカン肉は本州の人や初心者向け。「ジンパ」ビギナーにおすすめなんです。
203gow「北海道ではタレに漬けてない肉を使うことが多いと思います。ふつうの焼肉みたいに、焼いた肉にタレをつけて食べる。でも煙が出て匂いが強いんです。ですから、都会のふつうのお家ではタレ漬けの肉がいいと思います。ジンギスカンを全国に広めようってことで、食べやすいタレ漬け肉を作っている面もあるようです」
タレで野菜を煮るというのもタレ漬け肉だからこそのメソッド。ジンギタレの染みこんだ野菜は抜群のおいしさです。ジャガイモやナスなど、あえて味の吸収がいい野菜を使うのもアリなのでお好みでどうぞ。
「タレ漬けは邪道」という流派もありますので、今回は「こういうのもあるんだよ」ってことで納得していただきたいです。
「ジンパ」のおとも、塩むすび
そして203gowさんのおすすめ「ジンパ」装備がおにぎり。しかも具なしの塩むすびが良いといいます。
203gow「焼肉のときに食べる、タレのしみた白ご飯がおいしいのと同じ理由です」
うどんを入れてシメる
さて宴もたけなわ。ジンギ鍋のふちにはタレが煮つまっております。
ここにうどんを入れてシメます。「ジンパ」のシメで煮込みうどんができるのです。
アウトドアレジャーで楽しい麺モノもいける。しかもワンプレートで。
203gow「うどんを入れるのもタレ漬け肉使用派に特有のやり方で、北海道ではあまりやらないですね」
本場とは違うメソッドだけど、タレを吸ったうどんが実にうまいんだこれが。
あとは好きなだけ飲んだり食ったりしゃべったり昼寝したりすればよろしい。
アウトドア飯は楽しい
この日、飲む気まんまんでやってきた203gowさんはスパークリングワインとつまみのオリーブを持参。スパークリングワインなのはコルクスクリューがいらないから、という合理的な理由。
酔いがほどよく回ったところで、
編み物のキノコによって場末のBBQ公園がメルヘンな雰囲気に!
203gowさんはこういう作品をこしらえるアーティストです。
北海道の牧場における「ジンパ」のスタイル
203gowさんの実家は自営業。そこでの「ジンパ」は、庭先で火を起こして、スライスされて売っている羊肉をジンギ鍋のドームのてっぺんにドカッと塊のままでのせるんだそうです。
そして、働いている人たちが大量のラムやマトンを焼けた先からガツガツ食べるという爽快なものだったとのこと。
あ、これも編み物の作品です。
本州の人がBBQをしたり、山形宮城岩手の人が血で血を洗う芋煮会をしたり、秋田県の人が「なべっこ」をしたりするように、北海道の人はいつでも気軽に「ジンパ」をします。
夏休みも「ジンパ」、花見も「ジンパ」です。桜が咲いてなくても公園に集まってジンギスカン焼いて酒を飲んでいるとのこと。
缶切りや着火用ライターの編み物に見覚えがある人もいるでしょう。アレをつくったのはこの人です。
203gow「鵜飼いってさ、鵜が鮎を飲み込む時にキュッとシメるので鮎が新鮮なままなのよね」
川っぺりに座り、岐阜に住んでた時に長良川の鵜飼いを見たっていう話をする203gowさん。すでに話に脈絡がありません。
ほかにも、編み物以外のいろんな話をしたはずですが、よく覚えてません。なぜだろう……。