地方局のアナウンサーから史上最年少の36歳で福岡市長に就任。
逆風のスタートから、いかにして福岡を「最強」と言われる都市に改革していったのか?

就任から8年、2018年11月の市長選では28万票以上を獲得し、
前回の市長選(2014年)に続いて史上最多得票を更新した。

しかし、そこに至るまでの道のりは、第1回の記事のとおり、決して平坦なものではなかったという。
ゼロからのスタート。自身の発信力を高めていくために活用したのは、個人のSNSだった。

博多駅前道路陥没事故の復旧や、熊本地震の際のSNS活用方法をはじめとした取り組みで注目を集める高島市長は、まさしく福岡市の【経営】者だ。そんな彼の仕事論・人生論が詰まった、初の著書『福岡市を経営する』(ダイヤモンド社)から、その一部を再編集して特別公開する。
<構成:竹村俊助(WORDS)、編集部、著者写真撮影:北嶋幸作>

福岡市長による災害時のFacebookとTwitter発信福岡市長・高島氏による災害時のFacebookとTwitter発信。
時には写真も添えて、シンプルにわかりやすく

言葉をそぎ落としてシンプルに

  私がこれまでの市長と違うのは、文章ではなく、視覚的な説明を重視していることです。また、無駄な言葉をそぎ落としてシンプルに説明することも大切にしています。枝葉の部分は極力そぎ落とします。

 私はFacebookを使って個人としても発信しています。すると、一部からは、そういうのは市のFacebookでやればいいじゃないかという意見も出ます。なぜ、私が市の公式SNSだけではなく私個人のSNSでも発信するのか。それには理由があります。

 市として発信するときは「正確な情報を、過不足なく、どの世代の人にもわかるように」すべて網羅しなければいけません。しかし、そうなると、実は発信力は弱くなってしまうのです。こういう場合はこう、もしこうなったらこうという、詳細が多くなればなるほど、伝播力はなくなっていく。

 しばしば発信力はキャラクターが大切だと言われますが、私はそうではないと思っています。高島市長は元キャスターで顔が知られているから発信力がある、というわけではありません。もちろん知名度があればなおいいでしょうが、顔が売れていることと発信力があることは別の話です。

 逆に言うと、どんな人であっても発信力を上げることはできる。そのポイントは「いかにシンプルに言うか」につきます。シンプルさこそが、発信力を上げる鍵なのです。