公共交通事業者にWi-Fi整備を努力義務化 訪日客獲得へ法改正案提出へ

 訪日外国人旅行者の受け入れ態勢強化に向け、政府が鉄道などの公共交通事業者に対して、地方における公衆無線LAN「Wi-Fi(ワイファイ)」整備や決済環境の整備などを努力義務化することが15日、分かった。訪日客の旅行形態が団体客から個人客へとシフトする中、訪日リピーター獲得には、地方での移動や滞在時における快適性を向上させる必要があると判断した。

 22日に召集される通常国会に提出される「外国人観光旅客の旅行の容易化等の促進による国際観光の振興に関する法律」(外客容易化法)の改正案で、事業者の努力義務に関する規定に追加項目を盛り込む。改正案は会期前半に提出。委員会審議を経て、3月末までの成立を目指す。

 現行の外客容易化法では公共交通事業者の努力義務範囲が駅名などの多言語表記に限られていたが、改正案ではワイファイ整備▽ICカードなどの決済環境整備▽トイレの洋式化▽周遊バスの整備などにも拡充する方向。政府は平成30年度予算案で整備費として約96億円を計上している。

 また改正案では、国際観光旅客税(仮称)の使途を(1)快適に旅行できる環境の整備(2)日本の魅力に関する情報発信(3)地域滞在の満足度向上の3分野とする昨年12月の政府決定を明文化するほか、広域的な地方周遊を促進するため、地方の観光計画策定主体を都道府県から広域的な協議会へ変更することなども定める。

 訪日客数は29年が過去最多の2869万人となるなど順調な伸びを見せる一方、観光庁の調査では、訪日客からワイファイ環境の不足や公共交通機関の利用のしにくさなどへの不満の声も出ている。政府は32年に4千万人という訪日客数の政府目標達成に向け、地方を含む訪日旅行の快適性を向上させていく。

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