ワールド・ツアー絶好調記念☆BABYMETALの1stアルバムを今さらながら全力レビュー!! | たろの超趣味的雑文日記〜本と映画と音楽とBABYMETALその他諸々

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趣味的なことを中心に,いろいろと思ったことを徒然なるままに語ります。映画/本/スポーツ/世の中/旅行/音楽(ヘヴィ・メタル)/BABYMETALなど。

BABYMETAL / BABYMETAL
2014年2月26日発売
Producer: KOBAMETAL
Exective Producer: CHIBAMETAL,KOBAMETAL



【収録曲】
①BABYMETAL DEATH ②メギツネ ③ギミチョコ!! ④いいね! ⑤紅月ーアカツキー ⑥ド・キ・ド・キ☆モーニング ⑦おねだり大作戦 ⑧4の歌 ⑨ウ・キ・ウ・キ★ミッドナイト ⑩Catch me if you can ⑪悪夢の輪舞曲 ⑫ヘドバンギャー!! ⑬イジメ、ダメ、ゼッタイ

※「初回生産限定盤」および「BABYMETAL WORLD TOUR 2014 限定ステッカー・ジャケット仕様」には,ミュージック・クリップとライブ映像が収録されたDVDが付いている。

<MUSIC CLIP>
①ド・キ・ド・キ☆モーニング ②いいね! ③ヘドバンギャー!! ④イジメ、ダメ、ゼッタイ ⑤メギツネ
<LIVE MUSIC CLIP>
①ギミチョコ!!(from LEGEND “1997” SU-METAL聖誕祭 at 幕張メッセイベントホール Dec/21/2013)
<LIVE FROM SUMMER SONIC 2013>
①BABYMETAL DEATH ②メギツネ ③Catch me if you can ④ヘドバンギャー!!

【アルバム総評】

記念すべきBABYMETALの1stアルバム。

収録されているのは過去のライブで披露されたおなじみの曲ばかり。雑誌のインタビューでメンバー自らが言うように,BABYMETALの名刺代わりの1枚だ。

2011年10月のインディーズ・デビューから2014年3月の日本武道館公演までを「メタル・レジスタンス 第1章」と表現するならば,このアルバムはまさにその時期のBABYMETALのすべてを詰め込んだ作品だと言える。販促用ポスターに記された「ファーストにしてベストアルバム」というコピーに偽りはない。

「BABYMETAL」は海外でも人気を博し,iTunesチャートではアメリカ,イギリス,ドイツの3カ国のメタル・アルバム・チャートで1位を獲得。ロック・アルバム・チャートでも,アメリカ,イギリス,オーストラリア,カナダ,アイルランド,スウェーデンの6カ国でトップ10入りを果たした。

全米ビルボード・チャートでも3月22付の総合チャート「The Billboard 200」で187位にランクイン。日本人最年少記録を更新した。さらに「Heatseekers Albums」で20位,「World Albums」で2位,「Hard Rock Albums」で12位,「Top Rock Albums」で50位,「Independent Albums」で34位と合計6部門でチャート・インするという快挙を成し遂げた。

また,イギリスのオフィシャル・チャートでは「Top 40 Rock & Metal Albums」と「Top 40 Independent Albums」にランク・インしている。

ちなみに日本ではiTunesのロック・アルバム・チャートでトップ10入り。オリコン週間ランキングでは初登場4位を記録した。

各曲の解説は以下に記すが,アルバムの全体像としてもしかすると賛否両論あるかもしれないことを1つ指摘しておく。それは,サウンドが曲によってバラバラで,アルバム全体としての統一感に欠ける,ということだ。

このアルバムに収録されている13曲中,シングルとしてリリースされているものは10曲。つまり大部分が既発曲なのだ。アルバム制作に際して全曲をレコーディングしているわけではないので,曲のテイストはそれぞれの曲ごとにまちまちの状態。つまり洗練されて重厚感あるサウンドに仕上がっている曲もあれば,それに比べれば軽くて薄いアレンジの曲もある,といった具合なのだ。

曲による差が如実に現れているのは3人の声。BABYMETALがデビューした2011年からアルバムがリリースされた2013年までの3年間で,SU-METALは13歳から16歳になり,YUIMETALとMOAMETALは11歳から14歳になった。3人はまさに成長期真っ只中にあったわけで,容姿はもちろんのこと,声の変化も著しい。

このような曲によるばらつきを,リアルタイムに変化し成長しつつある3人の記録だと前向きに解釈するか,それとも「統一感がない」と切って捨ててしまうのか。おそらく人によって受け止め方はさまざまだろう。どちらがいいという問題でもない。ただ,既成概念の枠組みにとらわれないことがベビーメタルの魅力なのだとすれば,このばらつきもまた「らしさ」なのかもしれない。個人的にはそう思う。

なお,この1stアルバムはリリース当初「初回生産限定盤」と「通常盤」の2種類がリリースされた。その後当然のことながら限定盤は入手不可能な状況にあったのだが,BABYMETAL初のワールド・ツアーを記念して,初回生産限定盤のアンコール・プレスが決定。2014年7月30日に「BABYMETAL WORLD TOUR 2014 限定ステッカー・ジャケット仕様」がリリースされた(下の写真の左が初回生産限定盤,右がWORLD TOUR 2014限定ステッカー・ジャケット仕様)。

 

【各曲レビュー】

01:BABYMETAL DEATH
Lyric & Music: KITSUNE of METAL GOD

ライブではオープニングを飾ることが多い,BABYMETALの代表曲。メジャー・シングル第2弾「メギツネ」の初回生産限定盤にカップリング曲として収録されている。

歌詞は皆無に等しく,自己紹介を兼ねた「SU-METAL DEATH!」「YUIMETAL DEATH!」「MOAMETAL DEATH!」「BABYMETAL DEATH!」という4種類のセリフ的なもののみ。あとはデス・ヴォイス(本人たちではない)による「DEATH!」の連呼だ。

冒頭はギター,ベース,ドラムが渾然一体となって6連符のリズムを刻むが,これは明らかにMETALLICAの「ONE」へのオマージュ。その後の展開は凶悪なスラッシュ/デスメタルそのもので,スピーディかつアグレッシブ,ダークでブルータルなことこの上なし。

さらに「DEATH! DEATH!」と連呼される終盤のアジテーションは絶品のひと言で,悪魔的な雰囲気さえ漂わせる(まさにEVIL!)。この曲のオープニングとエンディングをライブで体感すると鳥肌が立つこと間違いなし。


02:メギツネ
Lyric: MK-METAL,NORiMETAL
Music: NORiMETAL

2013年6月19日にリリースされたメジャー・シングル第2弾。

「和メタル」「祭りメタル」という言葉が似合う,いかにも和風なテイストが前面に押し出されたメタル曲。琴(ほぼ確実に本物ではない)の調べで幕を開ける冒頭部分と,日本人なら誰もが知っていると言ってもいい「さくらさくら」をモチーフにした中間部分が象徴的。タイトルが示す通り「女狐」がテーマで,「女の情念」「大和撫子」がキー・ワード。歌詞を読むといかにも日本的な世界観がより一層際立つ。

そのようなわけで雰囲気は実に日本的だが,サウンドは質実剛健で華やかなメタルそのもの。特にキーボードがよいアクセントになっている。疾走感と重厚感にあふれるサウンドが心地よい。Vo.のSU-METALの歌い方にも演歌を意識していると思われる節があるが,それがまた和のテイストを増強させている。「さくらさくら」の中間部になると曲がスローダウンするなど,構成も凝っている。

YouTubeで公開されているMVを見るとダンスの激しさがよくわかる。YUIMETALとMOMETALへの負担も大きいと思われる。


03:ギミチョコ!!
Lyric: MK-METAL,KxBxMETAL
Music: TAKESHI UEDA

YouTubeにアップされたライブMVの再生回数が1,200万回を超えている名曲(この記事を執筆している7月下旬の時点で)。ダンスも独特で,日本よりもむしろ海外での人気が高い曲だ。

ポップな歌詞(チョコレートを食べたい!でも太りたくない!)とキャッチーなメロディ,きらびやかなサウンドが印象的だが,実はBPMはBABYMETALの楽曲の中でも最速の部類に属する。ドラムスはいかにもスラッシュ・メタル的なツービートをえげつなく叩き出しており,完成度の高いJ-POPとスラッシュ・メタルが信じがたい高さで融合した素晴らしい曲だ。

ちなみに2014年7月初旬にスタートした初のワールド・ツアーでは,中間部でコール&レスポンスが導入された(ライブでのMCが一切ないBABYMETALでは珍しいことである)。ツアー直前の6月下旬にBABYMETAL APOCAPYPSE WEB会員限定で行われたTSUTAYA O-EASTでのライブでも同様のコール&レスポンスが試みられたが,いきなりのことだったのでオーディエンスの反応は正直中途半端だった。しかし英仏独米ではすべての会場で大成功。


04:いいね!
Lyric: 中田カオス
Music: Mish-Mosh

2012年3月7日にリリースされた2ndシングル。ほぼダンスミュージックと言っていい曲だが,中間部分で展開される「メタル以外の何物でもない」わずか数十秒のブレーク・パートの存在が,この曲をメタル曲として成立させている。ライブではこのブレーク・パートでコール&レスポンスが繰り広げられ,会場全体の一体感が極限まで高まる。

ダンスミュージックからヘヴィ・メタルへと転調するだけでなく,ラップ風のパートも挟み込まれているので,実はかなり複雑な要素を持ち合わせた曲だ。ライブではダンスにも注目。メンバー自らがステージ上でのパフォーマンスを楽しんでいる様子がよくわかる。


05:紅月-アカツキ-
Lyric: NAKAMETAL,TSUBOMETAL
Music: TSUBOMETAL

メジャーシングル第2弾「メギツネ」(通常版)のカップリング曲。SU-METALのソロ曲で,ライブではこの曲の時,YUIMETALとMOAMETALは登場しない。BABYMETALの曲の中でも1,2位を争う人気がある。

美しいメロディ・ラインと疾走感あふれる展開は,明らかにX JAPANの「紅」や「Silent Jelousy」へのオマージュだ。凄絶とさえ言えるSU-METALの歌唱とあいまって,神々しささえ感じさせる仕上がりになっている。特にライブでは見る者の胸に迫る迫力が感じられ,涙を流す者も多数いる。

2014年3月の日本武道館公演から,アカペラ調の歌い出しの後で「紅月だー!」と叫ぶようになったが,これもX JAPANの「紅だー!」へのオマージュであることは明らか。


06:ド・キ・ド・キ☆モーニング
Lyric: ナカメタル
Music: のりぞー,村カワ基成

2011年10月24日に発売された,BABYMETALの記念すべきデビュー曲。メンバー全員が倒れているジャケット写真が衝撃的。メタルとはいえ,「重音部」というコンセプトで基本はアイドルのグループがデビューするというのに,全員が倒れていて顔が見えないジャケット写真・・・・こんなことが今までにあっただろうか。

MVを見てもメタルというよりはJ-POP風のかわいらしい雰囲気が強調されており,主軸はメタルではなくJ-POPにあることは明らか。それでも重厚なギターサウンドとソリッドなリズムが,この曲が単なるJ-POPではないことを物語る。

「アイドルとメタルの融合」を目指して活動を開始したBABYMETALの異質性を見事に表している曲だ。

ちなみにYouTubeで公開されたMVに注目が集まり,そのあまりに個性的な曲と世界観に「なんじゃこりゃー!」と文字通り世界が驚愕し,日本よりも海外での評価が高まったのは有名な話。


07:おねだり大作戦
Lyric: 中田カオス,RYU-METAL,FUJI-METAL
Music: TEAM-K

BABYMETALからSU-METALが欠けたYUIMETALとMOAMETALのユニットはBLACK BABYMETALと呼ばれるが,これはそのBLACK BABYMETALの曲。メジャー・シングル第2弾「メギツネ」の初回生産限定盤に収録されている。

「年頃の娘が父親をたぶらかす」という歌詞世界は(乱暴な言い方だけれど)かなり特異。それを素直に「かわいい」と受け入れるだけの度量があるかどうかが問われるかもしれない。その点で嫌いな人は嫌いな曲かもしれないが,曲そのものはノリのいいダンサンブルな曲。ザクザクとリフを刻むギター・サウンドがいかにもメタルな雰囲気を醸し出しているので,個人的には大好きだ。

例によって展開はめまぐるしい。クールなラップ調で始まったかと思えばJ-POP風に切り替わり,あげくの果てにはおそらくこの曲を初めて聴く人の大半が驚愕するであろう,中盤での「買って!買って!~」「ちょうだい!ちょうだい!~」の連呼・・・。音だけを聴くとバカバカしくなるかもしれないが,このシーンはライブでは異様な盛り上がりを見せるから不思議だ。

話はそれるが,この曲のキモはYUIMETALとMOAMETALの童女性にあると思う。民謡や童話に出てくる小さな女の子が,まるで無邪気にはしゃいでいるような雰囲気。2人の声の特徴がそんな空気を作っていることは明らかだ(それはこの曲に限ったことでないのだが)。しかし成長期を迎えつつある小さな女の子が醸し出す,そんな無邪気で無垢な空気は,いつまでも変わらず続くものではない。今やその2人は童女と呼べる年齢ではなく,少女になった。2人の少女が描くBLACK BABYMETALの世界は,この曲がレコーディングされた時とは明らかに異なるのだ。


08:4の歌
Lyric & Music: BLACK BABYMETAL

作詞・作曲BLACK BABYMETALというある意味サプライズな曲。シンガポール公演で現地を移動する際に時間を持て余した2人が遊びで作った曲が元になっているそうだ。「4の歌」だけに曲の長さも「4分4秒」という徹底ぶり。

これは悪い意味で言っているのではないのだが,歌詞にはほぼ意味がない。「1の次は2・・・・」「幸せの4」「喜びの4」というように,単なる数字遊びを言葉にしただけだ。しかしテンポ良くスピーディーに展開するスラッシュ・サウンドは中毒性が極めて高く,一度聴いたら頭から離れなくなること必至。歌詞は子どものお遊びのようだが,音の方は実は正統派のスラッシュ・メタルなのだ。途中でレゲエ風に転調するのも面白い。

この曲の真価はライブでこそ発揮される。コミカルで可愛らしいダンスは魅力十分。その盛り上がり方は尋常ではない。ワールド・ツアーでは海外のファンもなぜかこの曲を大合唱する。ほとんど意味なんてわからないだろうに(たとえ英訳しようとしても,それすら難しいと思う)。


09:ウ・キ・ウ・キ★ミッドナイト
Lyric: RYU-METAL,FUJI-METAL,中田カオス
Music: TEAM-K

インディーズ第3弾「ヘドバンギャー!!」とのカップリング曲。デビュー曲「ド・キ・ド・キ☆モーニング」と表裏を成すような存在。

歌詞は初期BABYMETALに特有の路線で,日常生活を描いた少女の日記風。ちょっと個性が強いが,アイドルソングの王道を行くような内容だ。それにしても「ゲソ,ゲソ,イカゲソが食べたい。私はスルメ派な・の!」という歌い出だしはある意味驚異的。

歌詞はそんな方向性だが,それでいてサウンドはヘヴィ。特にサビの部分は力強い縦ノリなので,大いに盛り上がる。ライブでは3人のパッフォーマンスも見どころの1つ。間奏部分はダンスミュージック風で,様々な表情を見せるという意味で初期のBABYMETALを象徴する曲と言える。


10:Catch me if you can
Lyric: EDOMETAL
Music: NARASAKI

メジャーシングル第1弾「イジメ,ダメ,ゼッタイ」とのカップリングで,まるでSLIPKNOTのような曲。地を這うようなベースとギターの禍々しい重低音が強烈だ。サウンドの凶暴性ではBABYMETALの中でも随一だろう。それでいて歌詞のテーマは「鬼ごっこ」。このギャップがいかにもBABYMETALらしい。

ライブでは3人の楽しいくも激しいパフォーマンスも見所だ。BABYMETALがライブで神バンドを従えている場合,たいていは神々のソロ・タイムからこの曲のイントロへと続いていく。


11:悪夢の輪舞曲
Lyric & Music: Yuyoyuppe

SU-METALのソロ曲。3拍子のリズムと独特の歌詞がダークでファンタジックな雰囲気を醸し出す。ゴシック・ムード満点だ。

非常にテクニカルな曲で,「ミュージシャンズ・ミュージシャン」と称されるスウェーデンのエクストリーム・メタル・バンドMESHUGGAHのようだ。スピードは抑えられているが,サウンドは非常に重い。SU-METALの歌い方にも他の曲とはちょっと違った所があり,ヴォーカリストとしての表現力の高さ,ポテンシャルの高さを感じさせる。

個人的には,重量感あふれる楽器体の演奏が突如として止まり,エフェクトがかかったヴォーカルとピアノの演奏だけが流れる終盤の15秒程度のパートが好き。


12:ヘドバンギャー!!
Lyric: 江戸メタル,ナカメタル
Music: NARASAKI

2012年7月4日に発売された3rdシングル。BABYMETALの代表曲のひとつ。

そもそもタイトルが象徴的だが,歌詞にもロック用語が出てくる。そのせいもあってメタルというよりはパンク・ロックのようなノリの曲と言える。徹頭徹尾アグレッシブなので,これもライブでは大いに盛り上がる曲だ。特に中盤のギター・ソロ前後のノリが熱い。「泣き虫なヤツはここから消えろ」「邪魔をするヤツは即座に消えうせろ」という歌詞も過激でパンキッシュ。実に良い。

その一方でゴシカルな雰囲気も感じさせる。リリースされている曲はSU-METALのヴォーカルをリードに曲が始まるが,ライブではパイプオルガンが荘厳に鳴り響くなか3人がステージ上をゆっくりと歩いて登場するという,ある種儀式的なパフォーマンスとともに曲が始まることも影響しているのかもしれない。

また,歌詞に「15(いちご)の夜」というフレーズが出てくるので,2014年のワールド・ツアー中に催されたYUIMETALとMOAMETALの15才を祝う聖誕祭では,各々が曲の途中からリードボーカルを務めた(フランス公演ではYUIMETAL,ドイツ公演ではMOAMETAL)。


13:イジメ,ダメ,ゼッタイ
Lyric: NAKAMETAL,TSUBOMETAL
Music: KxBxMETAL,TSUBOMETAL,TAKEMETAL

2013年1月9日にリリースされた,BABYMETALのメジャーデビュー曲にして最大の代表曲。ライブでは最後に演奏されることがほとんど。

メッセージ性の強い歌詞と疾走感あふれる王道のメタルサウンドが魅力的。曲の構成も王道だ。静かなピアノの調べで幕を開け,分厚いギターがザクザクとリフを刻み,ツーバス連打で疾走開始。そこにSU-METALのクリアで凜としたハイトーン・ヴォイスが加わり,ツインリードのギターが美しいメロディを紡ぎ出す。ギターソロでは2本のギターによるバトルが繰り広げられる。曲はいったんスローダウンした後,疾走再開。劇的に突き進みつつ,エンディングはフェードアウトではなくズバッと終了。これをメタルと言わずして,何をメタルと言うのか。そう言いたくなるくらい王道の作りである。

YUIMETALとMOAMETALの激しいダンス・パフォーマンスも見もの。MVも良いが,できればライブで見たいところだ。基本的なダンスは変わらないが,細かな部分が毎回進化しているのだ。さらに冒頭でSU-METALが静かに歌い上げるパートが終わって曲が疾走開始する場面では,会場内にはウォール・オブ・デスが発生することが定番となっている。

なお,シングルの初回生産限定盤には「NEMESIS Ver.」が収録されている。これはあのARCH ENEMYのギタリスト(当時)であるChristopher Amottがゲスト参加しているバージョンだ。


【アーティスト紹介】



活動開始は2010年11月。「アイドルとメタルの融合」をテーマに,成長期限定のアイドルグループ「さくら学院」から派生して結成されたクラブ活動ユニット「重音部」としてスタートした。メンバーはSU-METAL(Vocal & Dance),YUIMETAL(Scream & Dance),MOAMETAL(Scream & Dance)の3人。結成当時の年齢は,SU-METALが中1(12歳),YUIMETALとMOAMETALが小5(11歳)だった。

「アイドルとメタルの融合」のコンセプト通り,アイドル的な歌詞のJ-POPと本格的なメタル・サウンドを融合させた独特の曲が人気を博す。METALLICAやX JAPANといったヘヴィ・メタル・バンドへのオマージュを隠すことなく織り込んだ曲や演出も特徴。その結果,若いアイドル・ファンばかりではなく,30代、40代のヘヴィ・メタル・ファンの支持を得ることに成功した。MVは海外のファンにも人気が高く,「ギミチョコ!!」はYouTubeでの再生回数が1,200万回を超えた(原稿執筆時の2014年7月31日時点)。

BABYMETALはヘヴィ・メタルの復権を目指す「METAL RESISTANCE」を展開しており,2013年からは日本国内の大型フェスに積極的に参戦。その第1章は2014年3月の日本武道館公演をもって終了したが,7月からは「METAL RESISTANCE 第2章」として初のワールド・ツアーがスタートした。ちなみに日本武道館公演時の平均年齢は14.7歳で,これは武道館でライブを行った日本人女性アーティストとしての最年少記録。ベビーメタルにはもう1つ最年少記録があり,2012年8月には「サマーソニック2012」に史上最年少で出場した(東京会場)。

楽曲だけでなく激しいダンスも魅力であるため,ライブも人気。初期のライブでは音源再生にリップ・シンクが主流だったが,2013年頃からは生歌といわゆる「神バンド」による生演奏が多用されるようになった。世界レベルのテクニックを誇る国内の一流ミュージシャンを起用した神バンドの存在はBABYMETALのヘヴィ・メタル的側面を強調することとなり,ワールド・ツアーでは特に欧州において完全にヘヴィ・メタル・グループとして認知された。

【参考】

BABYMETAL Official Site


BABYMETAL Official Facebook Page


BABYMETAL Official Twitter Account


BABYMETAL Official YouTube Channnel