「東京医大、男子・現役生の優遇明白」第三者委報告
歴代3学長の責任認定
東京医科大の入試不正を巡り、同大が29日に公表した第三者委員会(委員長・那須弘平弁護士)の最終報告書は不正の背景に、男子や現役生を優先させたいとする学長らの考えがあったと指摘し、「主な責任は歴代3人の学長にある」と総括した。
女子や多浪生らを一律に不利にする得点操作は2006年度から。第三者委は伊東洋・元学長が職員に指示したと認定。これを受け継いだ臼井正彦前理事長、鈴木衛前学長の責任も重大だとし、得点操作の背景に「女性より男性、浪人生より現役生や1浪生が入学者として好ましいという思想があることは明白」と結論づけた。
最終報告書はこうした考えを醸成した要因として、経営上の都合があったと分析。付属病院の運営のため、結婚や出産で離職する可能性がある女子学生の数を抑えたいとの認識が学内で共有されていた。
第三者委が理事や主任教授らにアンケートしたところ「現在の労働環境だと女性が継続して働くことは難しい」「男性の数がある程度保持されることが望ましい」など、得点操作に一定の理解を示す回答が複数あった。
最終報告書は省庁の年内の通常業務が終了した翌日の29日夜、ホームページに掲載しただけ。寄付金と合否の関連性、入試問題漏洩の可能性など新たな疑惑も浮上したが、東京医大が記者会見する予定はないという。文部科学省は年明けに改めて説明を求めるとみられる。
最終報告書によると、13~16年度の医学科入試では109人が合格ラインを上回りながら、不合格になっていた。13年度の看護学科一般入試では国会議員の依頼を受けて補欠合格したケースもあった。