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【 全滅!アベ原発輸出計画、英国で 】

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日立はウェールズの160億ポンド(約2兆2,200億円)の原子力発電所の計画のキャンセルを決定
日立は2,780億円の損失を計上する見込み・英国は電力供給計画に大誤算

アダム・ヴォーン/ ガーディアン  2019年1月11日

      

日本のコングロマリット・日立は、ウェールズにある総工費160億ポンド(約2兆2,200億円)の原子力発電所の建設計画から撤退することが確実視されており、英国の野心的な原子力ルネッサンス計画が灰燼に帰す可能性が出てきました。

       

日本経済新聞によると、同社と英国政府、そして日本政府の間で行われた資金調達に関する協議が、来週行われる日立の取締役会で主要議題にされることになるだろうと見られています。

日立は英国のアングルシー島で計画されているウィルファ原子力発電所に、これまですでに約20億ポンド(約2,780億円)を費やしました。

         

わずか2か月前にももう一つの日本の巨大企業・東芝が、暗礁に乗り上げていたプロジェクトの譲渡先を見つけることができず、カンブリア原子力発電所建設計画を放棄しました。

        

日立による撤退は、汚染著しい石炭火力発電所や老朽化した原子炉を新型原子炉に交換するという英国の計画に大きな打撃を与えることになり、洋上風力発電などの他の思い切った代替案を検討するよう内閣に対する圧力が強まることになるでしょう。

その事は一方で原子力発電技術を世界に輸出するという日本の希望の終焉を象徴する出来事となりました。

         

日立、英国政府、日本政府はウィルファ原子力発電所から供給される電力の保証価格と、計画に対し英国政府が50億ポンド以上になる可能性のある株式の公開価格について交渉してきました。
協議は結局のところ「すべての関係者にとって有効な解決策を見つけるのは難しい」ことを証明するものだと業界関係者が証言しました。

         

電力労働組合は、カンブリア、ウィルファと短期間に立て続けに建設計画が中止される見込みとなったことは極めて憂慮すべき事態であり、英国政府と原子力発電との関わりについて「警鐘を鳴らすべきである」と述べました。

       

日立側はまだ最終決定はしていないと述べています。
「日立はホライゾン・プロジェクトの一時中止の可能性と一私企業としての経済的合理性の観点からの財務的影響を現在検証していますが、現時点で正式な決定は行われていません。」

しかしながら、「一時中止の可能性」という表現が使われたことで、撤退も選択肢の中に含まれているということが初めて公式に確認されることになりました。

この計画に携わる英国の子会社ホライゾン原子力発電は、「噂や憶測についてはコメントできない。」と述べています。

        

しかし複数の内部関係者が次のように証言しました。
「日立には深刻な内部対立があり、今回の事業が必要とする資金量が巨額にすぎる上極めて危険だと主張する日本の資本家側の主張が通ることになりました。」
彼らはさらにEU離脱によって英国経済の先行きが不当目である点に言及し、このことが最終的に計画を断念するもう一つの原因になったと指摘しました。

       

現状について事業・電力・産業戦略局は次のように述べています。
「ウィルファ原子力発電所を建設することにより消費者と納税者に恩恵が行き渡るようにするため、双方にとって合意可能な契約内容をつくるため日立と交渉中です。」

           

交渉の行き詰まりの主な原因は、日本政府が英国内の複数の原発建設を機能させるためにこれ以上の資金提供はできないとしていることが原因であると考えられています。
これに対し、日立と英国政府の負担は「あまりにも大きすぎる」と考えられています。

安倍晋三首相は、1月10日のテレサ・メイ英国首相との2回にわたる協議に3時間以上費やしたものの、問題となっている原発の今後についての議論はなかったと主張しました。

           

日立はウィルファ原子力発電所建設計画の一連の事業り特別償却により、致命的ではないにしても巨額の損失を被ることになるでしょう。
2012年にドイツの公益事業会社であるE.ONとRWEからプロジェクトを購入するために支払った7億ポンドを含め、これまでこの計画には約20億ポンド(約2,780億円)を費やしています。

         

影の内閣(英国野党の仮内閣)のエネルギー省担当大臣のレベッカ・ロングベイリー氏は、ウィルファ原子力発電所建設がキャンセルされる見込みは北ウェールズの経済と雇用にとって非常に憂慮すべき事態であり、
「特に2018年にムーアサイド原子力発電所建設計画が崩壊した現在、英国のエネルギー安全保障に重大な悪影響を及ぼし得る」
と語り、次のように付け加えました。
「今週日本の安倍首相の英国訪問の際、日立のウィルファ原子力発電所建設計画について何らかの話をしたのであれば、テレサ・メイ首相はその内容について国民に包み隠さず話をする必要があります。」

          

プロスペクト・ユニオンの上級副書記長であるスー・ファーンズ氏が次のように語りました。
「新原子力発電計画は英国のエネルギー安全保障にとって高度に戦略的重要性を持つものです。英国政府はムーアサイド、ウィルファと立て続けにプロジェクトを失敗させることによって、エネルギー安全保障の危機に陥ることを回避しなければなりません。」

           

ウェールズの地方政府は、英国首相官邸にウィルファ・プロジェクトを再び機能させるよう要請していると表明しました。
「これは、ノースウェールズ、ウェールズ、そしてアングルシーに大きな経済的利益をもたらす可能性のある重要なプロジェクトです。」
地方政府のスポークスマンがこう語りました。

          

一方、原子力発電に詳しい評論家たちは、この計画の崩壊は英国にとって災害ではなく、政策転換の機会であると指摘しました。

グリーンピース英国のチーフ・サイエンティストであるダグ・パー氏が次のように語りました。
「私たちは時代遅れで取り扱いが非常に困難なテクノロジーに頼りすぎていたのかもしれません。しかしこれで改めて考え直し、良い決断をするチャンスが与えられることになりました。」

         

核軍縮キャンペーン(CND)の代理事務局長であるサラ・メディ・ジョーンズ氏が次のように語りました。
「洋上風力発電のコストは原子力発電よりはるかに安く、清潔で実現可能な代替案が存在することは明らかです。賢明な選択の実現のためには、政治的決断が必要です。」

          

たった1ヵ所、サマセットにあるEDFエナジー社のヒンクリーポイントC新原子力発電所のみに青信号が点灯し、建設が始まりました。
一方、フランス企業EDFと中国企業CGNは、ともにさらに多くの原子力発電所を建設したい考えです。

         

https://www.theguardian.com/environment/2019/jan/11/hitachi-cancel-plans-nuclear-power-station-angelsey-wales
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