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夕日の美術館へ―石狩・厚田アートの旅(7)

2018年08月20日 09時16分35秒 | ギャラリー、美術館への道順
(承前)

 7月29日の続き。
 この日の最後のお目当ては「夕日の美術館」。

 札幌市の中心部にある老舗の画廊で、おもに道内ゆかりの画家の作品をセカンダリーで扱っている北海道画廊が運営している施設。
 収蔵しているのは道内の画家が大半。日本の美術史に大文字で残るような人でなくても、良い絵を描いてきた作家は多い。そういう人の作品を次代に伝えていく、貴重な存在だと思う。





 中央バス「望来坂下」から約1.2キロ、徒歩15分。

 ただし「売り物」である、夕日が沈んだあとにバスの便はない。



 大半の人は自家用車で行くと思うので、あらためて道順を書いておく。
 札幌からだと、国道231号をひたすら北上し、石狩市厚田区望来もうらい市街地に入ったあたりで、正利冠川まさりかっぷがわを渡る。
 その橋のたもとに
「夕日の美術館」
という看板が出ているので、そこを左折して、丘陵の中の道を、道なりに進んでいく。


 こんな感じ。
 ちいさなお店などもあるが、基本的には原野。
 そういう道を1キロほど走ると、海を望む斜面に別荘がぽつりぽつりとたち並んでいる。

 「夕日の美術館」はその中にある。地図やカーナビゲーションの種類によっては、旧称の「ほっかいどう望来絵画館」になっているかもしれない。

 筆者が訪れたのは3年ぶりだが、行って驚いた。そして、再訪してよかったと思った。
 かなり展示替えがなされていたからである。
 管理人の本田さんによると、オーナーの北海道画廊の人が時折やって来て、絵をかけ替えていくとのこと。

 また、前回のときは、半分近くの絵に、作者名などの札がついていなかったが、今回はほぼ全作品が、誰の手になるものか明記されていた。

 最上階(天井裏)の長谷哲也展示室は、前回とほとんど変わっていなかった。
 ただ、水谷のぼるの彫刻が前回もあったかどうかは、記憶が定かでない。

 それ以外の1、2階に展示されていた作品の作者を順不同で列記すると、次のとおり(記載漏れがあるかもしれず、ご容赦を)。

菊地又男 中本昭平 佐々木敏光 亀山良雄 小杉行男
福岡幸一 木島務 豊田満 本田明二 小松清
岸葉子 鶴田昌子 原義行 白石陽一 原田富弥
伊東将大 北岡文雄 平沢貞章 東武彦 本間武男
金野宏治 草刈喜一郎 藤野千鶴子 小野洲一 長谷川三雄
白崎幸子 森田哲隆 中野邦昭 二部黎 国松登
中村善策 森本三郎 豊島輝彦 高橋英生 米谷雄平
山岸正巳 田辺三重松 八木伸子 八木保治 中谷龍一
西村喜久子 田中針水 木村富秋 (青木淳子)

 
 佐々木敏光さんの小品コーナーもあった。彼は、北海道画廊での個展以外、ほとんど作品を発表しない。

 こうしてみると、日本画あり洋画あり、抽象画も彫刻もありで、戦後の道内画壇で欠かせない顔ぶれのかなりの部分をカバーしている。
 とくに菊地又男「北国の眼」(100号)は、彼の大作は美術館でもほとんど所蔵していないので、貴重な作品だと思う。

 原義行「お前もひとりか」は、くらい部屋の中で男が猫に話しかけているという絵柄で、やや情緒的な感じもするが、孤独感がひしひしと迫ってきて、忘れがたい印象を残す。

 というわけで、また機会があったら、こんどは沈む夕日を見に行きたいものだ。


 5月の連休(3日ごろ)から10月末までの土日祝日のみ開いている。冬は休み。
 入館300円。


□北海道画廊のサイト http://hokkaidogarou.co.jp/mouraikaigakan.html

「夕日の美術館」に行ってきました(2015)


(この項続く) 


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