考察:BABYMETAL④/BABYMETALはいつまで続くのか?そのカギを握るもの | たろの超趣味的雑文日記〜本と映画と音楽とBABYMETALその他諸々

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2014年12月31日 Text by たろ a.k.a. TAROMETAL

2014年はBABYMETAL大躍進の年だったと言える。3月の日本武道館2Daysを皮切りに、ワールドツアーでは巨大メタルフェスにも参戦するなど、間違いなく今年最も世界で活躍した日本人アーティストだったと言えよう。その特異極まりない存在感によってヘヴィ・メタルの新たな可能性を強烈に切り開いた1年だったとも言える。


photo by Ted Jensen

ますます進化し巨大化するBABYMETAL。

来年はどうなるんだろう、と思いをはせる。

日本でのツアーはあるのだろうか。

再びワールドツアーに出るのだろうか。出るとしたら、今度はどこに行き、誰と同じステージに立つのだろう。

そして、ふと思う。

BABYMETALは、いつまで続くのだろう、と。

ファンとしては、もちろん末長く活躍してほしいと思う。でも、BABYMETALは「太く、短く」を地で行くんじゃないかという思いが、頭の片隅にあるのも事実。

鍵は2つあると思う。

1つ目は、3人の年齢だ。

今のBABYMETALの世界観やコンセプトを維持するとしたら、あと2~3年が限界なのではないかと思う。ステージの演出(というかダンス)にしろ歌詞にしろ、今のBABYMETALは3人が10代半ばの「少女」だから成立している側面が多分にあるからだ(”ド・キ・ド・キ☆モーニング”や”4の歌”がその代表例だろうか)。

何もかもが今のままでありながら、SU-METALが20歳、YUIMETALとMOAMETALが18歳、という布陣は正直想像しがたい。その年齢でBABYMETALを継続するには、コンセプトを含めたBABYMETALというパッケージを3人の年齢に見合うようにアップデートする必要があると思うのだ。

BABYMETALが結成されたきっかけは、プロデューサーのKOBAMETALが若き日の(といっても今でも十分若いのだが)SU-METALの歌声に惚れ込んだことがきっかけだ。彼女にメタルを歌わせたい、という思いが出発点なのだ。そのSU-METALを中心に、「彼女の周りで戯れる天使たち」としてイメージされたのがYUIMETALとMOAMETAL。これがBABYMETAL結成時のコンセプトだ。

それから4年が経ち、13歳と11歳だった3人の少女たちは17歳と15歳になった。外見も変われば声質も変わる。3人が表現するイメージも、この4年でだいぶ変わったはずだ(MVを見れば一目瞭然)。3人が成長してBABYMETALの元々のコンセプトの枠組みに収まりきれなくなった時に、はたしてKOBAMETALがBABYMETALのコンセプトをアップデートさせることができるかどうか。彼は元々が柔軟な思考の持ち主のようだから、たぶん大丈夫だとは思うのだが。

2つ目の鍵は、3人の意思だ。

これは、彼女たちのアーティストとしての立ち位置の問題だ。現在、BABYMETALの舵取りをしているのはプロデューサーであるKOBAMETALである。彼の意思がいわば「キツネ様のお告げ」となり、BABYMETALを動かしているのだ。

その意味では、乱暴な言い方をすればSU-METALもYUIMETALもMOAMETALもBABYMETALの活動においては完全に「受け身」であり、与えられた役割をこなしているにすぎない。もちろん、多少は自分たちの意思が反映される場面はあるだろう。しかし、そもそも17歳と15歳の少女達が意思表示するのは容易なことではないのも事実。受け身になるのは半ば仕方のない側面がある。

この「受け身」の状態からいかに脱却し、BABYMETALを自分たちの手で操れるようになれるか。100%掌握することは無理にしても、50%で構わない。少しでも自分たちの意思でBABYMETALの舵を取れるようになることが、BABYMETAL存続の鍵になると思う。バンドでも、ソロ・アーティストでも、長きにわたって世界の一線級で活躍している人たちは自分の意思で自分自身、あるいは自分のバンドの方向性を決定していることが多いからだ。自分という商品をしっかりとセルフ・プロデュースすることができているのだ。

その意味では、先日のNHK特番「BABYMETAL現象~世界が熱狂する理由~」での3人の様子はとても重要な意味を含んでいたと思う。特にSU-METAL。彼女は番組の中で「BABYMETALはアイドルでもメタルでもない。BABYMETAL」「BABYMETALというオンリー・ワンのジャンルを作りたい」などと発言していたが、彼女の言動のそこかしこに「BABYMETALをこうしたい」という強い意思が明確に感じられた。「オンリー・ワンの存在を目指す」という趣旨の発言は今までにも度々聞かれたが、この番組での発言にはいつもと異なる雰囲気があったように感じた。表面上は似たような言葉かもしれない。しかしその内側には、SU-METALなりの覚悟と決意が潜んでいたように思えてならない。

YUIMETALとMOAMETALもしかり。YUIMETALは同番組で「もっともっとライブをしてBABYMETALを広めていきたい」と静かな語り口ながらもBABYMETALのさらなる拡大に闘志を燃やしているし、MOAMETALも「ライブをするごとにどんどん違う自分たちを見つけられるのがBABYMETAL」「自分が知らない自分をどんどん見つけていけたらいい」とBABYMTETALの成長に自ら期待している。

3人とも自分なりのスタンスでBABYMETALを捉え、理解し、「BABYMETALとしてこうしていきたい」というビジョンを以前よりも具体的に描けているのではないか。

BABYMETALは続くだろうかという不安は、私の心の中にはまだ根強くある。しかし先の番組でのSU-METALの発言と3人の様子を目の当たりにして、その不安が多少なりともぬぐい去られたのも事実だ。

そう、3人はまだまだ成長過程にある。今年のワールド・ツアーのような素晴らしい経験を重ねることで彼女たちはもっともっと成長し、近い将来きっと自分たちの意思でBABYMETALの舵取りをできるようになるに違いない。