裏門から入って直ぐの左手に、スモークツリー(別名:ケムリノキ・ハグマノキ)があります。これは自宅で鉢栽培していたものを、地植えにしたものです。 その時の鉢に同居していたアキノタムラソウが、元気に生長し、花をつけています。
もう少し先の右側には、同じように鉢植えだったハマボウHibiscus hamabo も地植えしましたが、そこにもアキノタムラソウが同居していたと見え、花をつけています。 どちらも道沿いにあるので、お気づきでしょうか?
スモークツリーCotinus coggygriaってどんなの?・・・と、初めて聞かれる方も多いと思います。 和名ではケムリノキとかハグマノキと呼ばれ、近頃では、庭で植栽されシンボルツリーになっているのを目にするようになりました。気をつけてみれば街中でも見つかることでしょう。 園に植栽して2年目なので、今年辺りはそろそろ・・・と心待ちしています。
下の写真は、自宅で開花した時の花です。当にケムリノキの名前がピッタリだと思えませんか?園でも今年は花芽がつくのではないかと楽しみにしています。
その木の根元で薄紫色の小さな花をつけているのが、アキノタムラソウSalvia japonicaです。
学名のサルビア・ジャポニカからお分かりのとうり、日本が原産のサルビアの仲間です。 開花の時期や、形態の違いで、この仲間には、ハルノタムラソウ、ナツノタムラソウ、アキノタムラソウなどの種類があります。 その中では、アキノタムラソウが一番よく知られています。
本州、四国、九州の山野に普通に生える多年草で、 草丈は30~60cmほどになります。 茎はシソ科特有の四角形で、葉はまばらに対生し、長い柄がある葉は、3~7の小葉に分かれています。
花は、20cm程ある長い穂に6月頃から咲き始め夏の終わりごろまでと花期は長く、下から順に1cmほどの薄紫色の唇花形の花をつけます。
一つの節に花葉5,6個、輪生につき、花びらの表面に、柔毛が生えているのが特徴です。
花の先に突き出ているのは雌しべ。
下向きに黒く出ているのは雄しべ。
霜が降りる頃になると、葉色が紫色となるので、多紫草(たむらそう)と呼ばれるようになったという説があります。
田村草と書かれているのは、キク科のタムラソウです。
星薬科大学の故 伊澤 一男名誉教授の著書『薬草カラー大事典』では、中国では乾燥させた全草は、肝機能の改善に民間薬として用いられているとあります。
中国では、心筋梗塞や狭心症の特効薬として用いられる丹参(たんじん)という生薬がありますが、これはシソ科のタンジンという植物の根を用いられています。 血液をさらさらにし、血管の流れをよくするという作用があり、中医学や漢方で、古くから用いられています。
タンジンはアキノタムラソウによく似ていますので、今後研究され、薬理作用や薬効がはっきりするかもしれません。 そう思えば、何でもかでも雑草だと、一括りにするのは、勿体ないかもしれませんね。