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ナチスの育んだ優生学のスポンサーとなっていたのは、アメリカのロックフェラーやハリマンなどの一族であった。

2017-02-11 17:26:26 | 国際
ナチ・コネクション
シュテファン・キュール著
明石書店


 1883年、イギリスの科学者フランシス・ゴルトンが「優生学(eugenics)」という言葉を作り出した。チャールズ・ダーウィンはゴルトンの従兄である。優生学の土台には優秀な遺伝形質が生存を勝ち抜くと唱える、ダーウィンの進化論が存在する。
 「優生思想」とは、劣等な子孫の誕生を抑制し優秀な子孫を増やすことにより、単に一個人の健康ではなく一社会あるいは一民族全体の健康を計ろうとする思想を指す。ゆえに「優生学」は「民族衛生学」とも呼ばれる。優生思想とは生物の遺伝構造を改良する事で人類の進歩を促そうとする科学的社会改良運動であり、本質は「障害の有無や人種等を基準に人の優劣を定め、優秀な者にのみ存在価値を認める」ということである。
 維新の衆議院議員候補となった長谷川豊の発言は優生思想的なものであり、一個人の意志に留まらず、意図的な世論誘導が目的である。

 1905年ベルリンに世界最初の優生学会「民族衛生学協会」が誕生し、イギリスを発祥とした優生学は、ドイツやアメリカにも伝搬した。1927年ベルリン=ダーレムに「カイザー・ヴィルヘルム人類学・優生学・人類遺伝学研究所」が設立された。1928年、研究所を新築するために「ロックフェラー財団」は32万5千ドルを寄贈した。ナチスがドイツ科学を支配してからもなお、「ロックフェラー財団」はドイツの優生学者に資金援助を続けた。ナチス政権下、1939年から1941年8月までに、約7万人の障害者が「生きるに値しない生命」として、抹殺された。

 優生思想はアウシュビッツ強制収容所に代表される大虐殺に結びつき、ヨーゼフ・メンゲレ博士らの科学者を人体実験に駆り立てた。日本においても石井四郎中将率いる731部隊の人体実験が有名である。第二次大戦後、それらの研究結果は米国が引き継いだとされている。ヨーゼフ・メンゲレや石井四郎が戦犯に問われなかったのは米国の意向によるものである。

 ナチスの育んだ優生学のスポンサーとなっていたのは、アメリカのロックフェラーやハリマンなどの一族であった。ダーウィンの思想トーマス・マルサスは非白人種や“劣等な”白人種を、家畜のようにえり分けることを提唱していた。マルサスは、経済学者仲間のジョン・スチュアート・ミルとともに、「金髪碧眼のアーリア人種は、この世界へと贈られた神からの賜物である」と述べている。
 巨大企業群を形成する財閥にとって、優生学の思想は都合が良い。金融や戦争を通じての収奪行為を正統化できる。世界規模で構成される搾取構造を是認させるための学問である優生学の存在は、財閥が財閥で有り続ける思想的背景となりえるものなのである。


備考
ナチス・ドイツの「優生政策」の実態
http://inri.client.jp/hexagon/floorA6F_hb/a6fhb700.html
ナチスとアメリカの「優生思想」のつながり
http://inri.client.jp/hexagon/floorA6F_hc/a6fhc550.html
優生思想の本質
http://www.geocities.jp/wan_ojim/sub4c.htm

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