レビュー/BABYMETALの「TRILOGY」の見どころはここだ! | たろの超趣味的雑文日記〜本と映画と音楽とBABYMETALその他諸々

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2016年9月8日 Text by たろ a.k.a. TAROO-METAL

 

2015年に行われたBABYMETALの日本国内3大アリーナ・ライブを収録した「TRILOGY - METAL RESISTANCE EPISODE III - APOCARYPSE」は,ファンにとってはまさに聖典と言える充実の内容だ。THE ONE限定だけではなく一般向けにも廉価版を発売すればいいのにと思うが,そこはBABYMETAL。大衆におもねることは一切なく,相変わらずの「上から目線」なのであった。

 

THE ONE限定なので一般的にはほとんど話題にはならないであろうこの映像作品の凄みは,さいたまスーパーアリーナ,幕張メッセ,横浜アリーナでの単独ライブ3本を1つのパッケージにしたことに尽きる。なんという贅沢。さらに大判の美麗なフォト・ブックも付いており,そこには2015年のワールド・ツアーのハイライト的シーンがもれなく収められているので,Blu-rayを観るのとはまた違った視点からBABYMETALの2015年を振り返ることができる。
 

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というわけで,各ライブの見どころを3点ずつセレクトしてみた。

 

■さいたまスーパーアリーナ/2015年1月10日
新年早々,寒風吹きすさぶ中,寒さにひたすら耐えて物販の待機列に並んでいたことを今でも鮮明に思い出す。とにかく寒かった。この「新春キツネ祭り」最大の見どころは,①3人が帰還する冒頭の演出,②"悪夢の輪舞曲"における神秘的で幻想的な演出,③RoRでの「かかってこいや!」の3つだ。

 

見どころ①/感動のオープニング
2014年に初めてのワールド・ツアーを敢行したBABYMETAL。3人が棺に入って欧州発宇宙経由で日本に帰還する様を演出したオープニングは実に感動的だ。天空から舞い降りた棺がステージに降り立ち,その中から3人が1人ずつ順番に紹介されながらステージ上に姿を現す様子を目にした時,感動のあまりはからずも泣きそうになってしまったことを告白しておく。

 

2014年3月に棺に入って日本武道館から欧州へと武者修行の旅に出た3人が,その10ヶ月後に再び棺に入って日本に帰還するというベタな展開。このベッタリ感もBABYMETALの魅力なのだ。

 

見どころ②/幻想的な演出が光る"悪夢の輪舞曲"
「新春キツネ祭り」のステージ・セットはとても豪華だった。巨大な寺院をモチーフにした背景の建物はそのまま巨大なLEDスクリーンと化し,3人の姿を鮮明に映し出す。ステージ左右には太鼓橋と小さな出島。そしてステージ中央には客席へと伸びる長い橋がかかっていて,その先には小ぶりなラウンド・ステージが。

 

"悪夢の輪舞曲"ではSU-METALを乗せたこの巨大な橋が天井付近まで引き上げられるという圧巻の演出。高々と釣り上げられた橋の両サイドから場内に向かって放たれる照明の光が神秘的な世界を作り出し,しかもその光が波打つように動くので雰囲気はいっそう幻想的になる。この曲が持つダークでファンタジックな世界観に見事にマッチした演出だ。

 

見どころ③/SU-METALの「かかってこいや!」
ライブの最後を飾る"Road of Resistance"の終盤でSU-METALが「かかってこいや!」と絶叫したシーンは半ば伝説だ。この煽りがシナリオに沿ったものだったのか,それとも自然発生したものかは今でも「Only The FOX GOD knows.」だが,ステージ上でスイッチが入るとSU-METALは「かかってこい!」という強い気持ちになるようだから,この時の絶叫はほぼ確実に本人の意志によるアドリブだったのだと思う。当時会場でその叫びを聴いた時は一瞬何が起こったのか分からず,気のせいかと思ってしまったくらい唐突で予想外の出来事だった。このシーンは何度観てもカッコ良くて背筋がゾクゾクしてしまう。

 

ところで「TRILOGY」に収録されている「新春キツネ祭り」はリマスター版だ。既発の「LEGEND "2015" 〜新春キツネ祭り〜」(THE ONE限定)と比較すると,音質が明らかに向上していることが分かる。音圧が上がって迫力が増し,音像もよりクリアになったと思う。

 

■幕張メッセ/2015年6月21日
6月の幕張メッセは蒸し暑かった。夕方には雨が降り出し,木陰で雨をしのぎながら入場待機していたことも今となれば懐かしい思い出だ。見どころは①2.5万人オール・スタンディングの観客が作り出す異様な空間,②入魂の"ヘドバンギャー!!",③初披露となった"ヤバッ!"でのYUIMETALのダンス,の3つだ。

 

見どころ①/圧巻の2.5万人オール・スタンディング
会場は幕張メッセ展示ホール1〜3のブチ抜き。映像を観れば一目瞭然だが,2.5万人もの人がその広大なワン・フロアに整然と詰め込まれている様は異様としか言いようがない。これほどの大集団が曲に合わせてシンクロし,会場全体がうねるように波打つ光景は壮大かつ圧巻。ライブの最後を飾るRoRで発生する巨大サークルと拳を振り上げての大合唱を目にすると今でも鳥肌が立つ。この日の隠れたMVPは2.5万人の観客だ。

 

見どころ②/15曲目の"ヘドバンギャー!!"
大観衆を相手に一歩も引けをとらないBABYMETALのパフォーマンスは相変わらず素晴らしいが,とりわけ15曲目(最後から2番目)の"ヘドバンギャー!!"がものすごい迫力だと思う。この曲がもともと持っている攻撃的な力強さが,いつにも増してスケール・アップしている感じだ。

 

当時実際に会場にいた時には分からなかったのだが,全編を通して冷静に映像作品として観ていると,ステージ上で3人が発する熱量はこの曲になって明らかに増加していることに気づく。全身汗まみれになりながらこの曲を歌い踊る3人の姿は「これぞBABYMETAL」という凄みを含んだオーラを発し,観る者の目を釘付けにする。実にライブ映えする曲だなあと改めて実感した。

 

見どころ③/"ヤバッ!"におけるYUIMETALの超絶ダンス
このライブで初めて披露された"ヤバッ!"だが,YUIMETALのダンスが明らかにヤバイ。このライブの他に12月の横浜アリーナ,2016年4月のウェンブリー公演と計3本の"ヤバッ!"を公式映像で観ることができるが,初披露となった幕張は全体としては初々しさを感じさせるパフォーマンスではあるものの,YUIMETALのダンスという点ではこの時が最高のクオリティかもしれない。

 

とにかくYUIMETALの動きがもはや1人だけ異次元。右腕と左腕を交互に前方に突き出す時の肩の入れ方がヤバイ。手足の軌道の美しさと「止め」の動作がヤバイ。ブレない体幹もヤバければ,曲に合わせて腰を振る時のリズム感もヤバイ。何から何まで正確無比。初めてのパフォーマンスということで,いつも以上に気合が入っていたせいかもしれないし,練習に練習を重ねた成果を100%出し切って踊ろうと極限まで集中していたからかもしれない。あるいは単に初めてで緊張していたからかもしれない。理由は不明だが,とにかくこの時のYUIMETALの動きを見ればそれが明らかにヤバイことは分かっていただけると思う。

 

■横浜アリーナ/2015年12月13日
収録されているのは2日目。私が参戦したのは1日目だったので,2日目のライブをフルに観れることが実は何よりもありがたい。見どころは①豪華なステージ・セット,②初披露となった"KARATE",そして③ゴンドラに乗っての"THE ONE"の3つだ。

 

見どころ①/豪華なステージ・セットと演出
すでにWOWOWで一部が放送されてはいたが,改めて全編通して観て感じるのは,このライブのスケールの大きさと完成度の高さ。IRON MAIDENの「POWERSLAVE」を彷彿とさせる巨大なスフィンクスのようなキツネ像は,目からレーザービームを放ち,口からは大量のスモークを放出する。その様を見ているだけでも圧倒されるのに,最後の曲では3人を乗せたゴンドラが会場内を一周するという感動の演出。最初から最後まで目を離せないパフォーマンスは圧巻のひと言だ。

 

スケールの大きさでは「新春キツネ祭り」のセットに軍配が上がるかもしれない。しかし「メタルのライブっぽい仕掛け」という点では,この横アリ公演の方が勝るだろう。2016年4月のウェンブリー公演のステージ・セットが横アリ公演とほぼ同じ造りだったことも踏まえれば,横アリのセットが総合的に完成度が高かったという判断はあながち間違ってはいないと思う。

 

見どころ②/"KARATE"初披露
横浜アリーナで初披露となった"KARATE"についても触れないわけにはいかない。曲紹介の紙芝居が流れた時に場内から笑いが起きたことを昨日のことのように思い出す。その内容から当時は"シュウゾウ"と呼ばれていたっけなあ……。それはさておき,肝心のパフォーマンスは今と比べると段違い。全体的にこなれてなくて,一つひとつのアクションもどこか慎重で大きくない。随所に初々しさがにじみ出ているのが新鮮だ。それは当たり前のことではあるが,ライブを重ねることで曲を自分たちのものにしていくというBABYMETALの流儀を改めて感じさせられる。

 

見どころ③/ゴンドラに乗って場内を一周
横浜アリーナで初披露されたもう1つの曲は"THE ONE"。ただでさえスケールが大きくて美しいこの曲をゴンドラに乗って場内一周しながら歌うのだから,感動の度合いは問答無用で倍加する。特に終盤,「ラ〜ララララ〜♫」のコーラスに始まり,そこから3人を乗せたゴンドラが天高く光の中へと消えゆくラストまでの流れは,壮大なカタルシスを伴っていて感涙必至。

 

ちなみに私が参戦した1日目では"THE ONE"がまさかのオープニング・ナンバーとなった。ゴンドラも登場したが場内を一周することはなく,ステージの頭上に釣られたまま。意表を突かれて唖然呆然としたままあっという間に"THE ONE"は終わってしまった。はたしてこのレアなライブは公式映像化されるのだろうか。

 

【収録曲】
DISC 1 「LEGEND"2015" 〜新春キツネ祭り〜」
10th January 2015 at SAITAMA SUPER ARENA

1. メギツネ
2. いいね!
3. あわだまフィーバー
4. 紅月 - アカツキ -
5. おねだり大作戦
6. Catch me if you can
7. ウ・キ・ウ・キ★ミッドナイト
8. 4の歌
9. 悪夢の輪舞曲
10. ヘドバンギャー!!
11. ギミチョコ!!
12. イジメ、ダメ、ゼッタイ
13. BABYMETAL DEATH
14. ド・キ・ド・キ☆モーニング
15. Road of Resistance

 

DISC 2 「BABYMETAL WORLD TOUR 2015 〜巨大天下一メタル武道会〜」
21st June 2015 at MAKUHARI MESSE

1. BABYMETAL DEATH
2. ギミチョコ!!
3. ド・キ・ド・キ☆モーニング
4. ウ・キ・ウ・キ★ミッドナイト
5. あわだまフィーバー
6. Catch me if you can
7. おねだり大作戦
8. 紅月 - アカツキ -
9. 悪夢の輪舞曲
10. 4の歌
11. ヤバッ!
12. いいね!
13. メギツネ
14. イジメ、ダメ、ゼッタイ
15. ヘドバンギャー!!
16. Road of Resistance

 

DISC 3 「BABYMETAL WORLD TOUR 2015 in JAPAN - THE FINAL CHAPTER OF TRILOGY -」
13th December 2015 at YOKOHAMA ARENA

1. BABYMETAL DEATH
2. ギミチョコ!!
3. いいね!
4. あわだまフィーバー
5. Catch me if you can
6. ウ・キ・ウ・キ★ミッドナイト
7. ド・キ・ド・キ☆モーニング
8. 悪夢の輪舞曲
9. おねだり大作戦
10. KARATE
11. ヤバッ!
12. メギツネ
13. イジメ、ダメ、ゼッタイ
14. ヘドバンギャー!!
15. Road of Resistance
16. THE ONE