「韓国銀行(韓銀)は今すぐ金利を引き下げることも上げることもできない。金利を引き上げることができるくらいに年内に経済が回復できれば一番いいが…」
16日、米連邦準備制度(連準、Fed)が基準金利を0.25%引き上げた中、今年末の韓米基準金利の逆転現象が現れかねないという予測が出たとき、韓銀の関係者がした話だ。これは韓銀が直面したジレンマを端的に示している。連準が2019年まで毎年三回ずつ段階的な金利引き上げを実施するという明確な青写真を提示したが、1300兆ウォン(約130兆円)を超える家計負債に押されて底を這っている景気に足を引っ張られた韓銀は、事実上選択肢がない。
韓銀は昨年6月以降、政策金利を1.25%水準で「長期凍結」中だ。「消費の絶壁」という言葉に代表される国内景気の低迷を考えれば、金利を引き下げて景気浮揚に取り組むのが合致する方向だ。しかし、過度な家計負債に足を引っ張られた状況で、このカードを使うことは難しい状況だ。家計負債のソフトランディングを誘導するためには、金利を漸進的に引き上げる必要がある。韓銀は現在の景気低迷と家計負債の間でジレンマに陥っている。
ここに米国基準金利引き上げ要因まで重なった。韓米間の金利差が0.25%ポイントまで狭まっており、年末には逆転する可能性もある。国内外の金利が逆転すれば、外国人投資資金が流出してしまう危険がある。
しかし、韓銀は今回の米国の金利引き上げの影響は大きくないものと見て、直ちに米国に同調して金利を引き上げることはしないという意思を明らかにした。チャン・ビョンファ韓銀副総裁はこの日開かれた通貨金融対策会議の直後、「今回の金利引き上げは十分に予想されていたもので、金融市場の変動性が高まる懸念は大きくない」とし、「米国が金利を引き上げたからといって、韓国銀行が基準金利を機械的に引き上げることはない」と話した。
現代経済研究院のホン・ジュンピョ研究委員は「現在、韓国の外貨保有額が史上最大である上、短期外債の割合も小さく外貨健全性に優れているため、内外金利が逆転したとしても急激な外国人資金の流出が発生することはない」としながらも、「結局は韓銀の通貨政策は金利引き下げよりも引き上げ側に動くしかなく、その時期は年末か来年年明けごろになると予想される」と話した。さらに「その時まで金融当局と協力して、社会的脆弱階層に対する所得支援、ノンバンクからの借り入れを低利融資に乗り換えられる案など、家計負債対策作りが先行されなければならない」と付け加えた。