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2017.08.25

これからは個性の時代!ラーメン官僚が選ぶオンリーワンラーメンの優良店10選

豚骨・鶏ガラ・野菜から採った出汁に醤油ダレを加えた褐色のスープ、黄色味を帯びた中華麺、チャーシュー・メンマ・ナルト・ネギなどのトッピング。

かつて、そのようなステレオタイプなイメージが存在したラーメンは、2000年以降、確かに一定の進化を遂げた。
しかしながら、現在でもなお、「二郎インスパイア系」「家系」「豚骨魚介」「鶏白湯」といった大きなジャンルは、厳然と存在する。

大多数の店舗が提供するラーメンは、それが同一ジャンルの枠内に属するものであれば、どの店舗を選択しようと、味はほぼ変わらない。例えば、家系ラーメンを提供する店であれば、「A」という店を選ぼうが、「B」という店を選ぼうが、口にできる味はほとんど同じだ。(もちろん、例外はあるが)
そんな状況ではマンネリ化は避けられず、放置しておけば「ラーメン離れ」といった現象すら引き起こしかねない。

というわけで、今回は、そのような状況を打開するための一助とすべく、店主の個性が冴えわたるオンリーワンな味が体験できる店舗を厳選し、10軒、紹介させていただくこととしたい。店に足を運んでいただき、新たなラーメンの可能性を感じていただければ、うれしい限りだ。

記事配信:じゃらんニュース

1.【東京・都立大学】史上初!『あの小宮』は、元弟子の師匠への敬愛の情が具現化された店舗

2000年代半ば以降、都内ラーメンシーンをけん引してきた『つけ麺TETSU』の創業者・小宮氏。同氏の元部下たちが、本年8月11日、同時に2軒の新店を立ち上げた。それが、『中華そばあの小宮』と『豚骨麺あの小宮』だ。

8月11日は、小宮氏がラーメン職人の道を歩み始めた記念日。そんな特別な日をオープン日に選び、屋号に師である「小宮」の名を採用。店舗は、都立大学駅の効果を挟んでほぼ対照となる場所に立地。
まさに、『あの小宮』は2軒でワンセットだ。

前者では淡麗タイプの「中華そば」、後者では純豚骨ベースの「らーめん」を提供。

メニュー名/中華そば
メニュー名/中華そば
メニュー名/らーめん
メニュー名/らーめん

「中華そば」は、豚・鶏から採った出汁に、苦味とエグ味を徹底的に取り除いたウルメ煮干しを丁寧に折り重ねたスープが、食べ手を恍惚の境地へと誘う。「らーめん」は、開発に当たり、九州のみならず、和歌山の豚骨醤油ラーメンなども入念にリサーチ。純豚骨スープであるにもかかわらず、四季のごとく変遷する重層的なうま味を表現することに成功。

■中華そばあの小宮、豚骨麺あの小宮
(両店ともに)
[TEL]03-5726-9115
[住所]東京都目黒区中根1-5-1
[営業時間]11:30~15:00、17:30~23:00
[定休日]無休

2.【千葉・京成大久保】『JINRIKISEN』で、「竹岡式」と「勝タン」のフュージョンを満喫

千葉県内でも指折りのラーメン激戦区・京成大久保エリア。京成大久保駅から徒歩圏内に、不動の人気を誇る『ラーメン二郎京成大久保店』をはじめ、名だたる実力店が軒を連ねる。

そんな京成大久保エリアにおいても、今、ひときわ異彩を放つ話題店が、本年3月にオープンした『房総式ラーメンJINRIKISEN』だ。

豚骨・鶏・昆布・煮干し・香味野菜などから採った出汁に、ラー油で辛みを施したオリジナルラーメンを「房総式」と名付け、醤油、味噌、カレーの3種類を用意。房総半島が誇る2大ご当地麺「竹岡式」と「勝浦タンタンメン」のエッセンスを、両者の長所を活かし切るような形でフュージョンさせる。

中でもイチ押しなのが、「カレー」。ベースのスープに溶け込んだ自家製ラー油と、オールスパイス・カルダモン・クミンなどの香辛料をフル活用したカレーの辛みと薫りが、音叉のように舌上で共鳴。

メニュー名/房総式ラーメン(カレー・小辛)
メニュー名/房総式ラーメン(カレー・小辛)

トッピングとして200gもの鶏肉を盛り付ける太っ腹ぶりも、同店ならではだ。

■房総式ラーメンJINRIKISEN
[TEL]0474-89-5436
[住所]千葉県習志野市大久保1-16-18プラザグレミオ1F
[営業時間]11:00~15:00(LO:14:45)、17:00~21:00(LO:20:45)
[定休日]日曜

3.【埼玉・加須】「鶏」と「貝」。『麺屋心羽』は、1軒で最先端の味を2種類提供する技巧派

オープンは、今年の7月。茨城県・古河市の超実力店『麺堂稲葉』で研鑽を重ねた店主が、満を持して独立したというニュースは、瞬く間に、関東在住のラーメン好きの間を駆け巡った。
『麺屋心羽』は、埼玉県北では珍しい塩ラーメン専門店。加えて、鶏と貝という、ここ数年、高い人気を維持し続けている素材を採用。加えて、修業先が茨城の超名門となれば、話題にならないはずがない。
提供するラーメンのクオリティの高さも、特筆に値する。

メニュー名/鶏塩拉麺
メニュー名/鶏塩拉麺

とりわけ、「鶏塩拉麺」は、あえて塩ダレに円みを持たせ、鶏出汁のコクと切れ味を際立たせたスープが、今期の埼玉ナンバーワンと断言できるほどの出来映え。鶏と塩の滋味が喉元でふわりと膨らみ、淡い余韻を残しつつ消えゆくサマからは、日本文化が誇る「侘び・寂び」さえ漂う。
麺も絶品。スープを巧みに引き立てながら、自身の魅力をもさりげなくアピールする『磯屋商店』の太ストレート麺は、まさに「このスープにしてこの麺あり」だ。

■麺屋心羽
[TEL]なし
[住所]埼玉県加須市下樋遣川6866-3
[営業時間]月曜:17:30~20:00
火曜~土曜:11:00~14:00、17:30~20:00        
[定休日]日曜

4.【神奈川・港南台】和食ひとすじ。『海居人』の店主が紡ぐ、出汁の魅力が凝縮された1杯

「これまでずっと、和食ひと筋でやってきました。そんなある日、なにげなくラーメンを作ってみたんですが、これが想像していたよりもずっと難しい。創り甲斐のある料理だなと心底惚れ込み、今では研究三昧の毎日です」と笑う店主。

店主が目指すのは、1杯の丼に、和食の伝統と技を華麗に落とし込むこと。単一の素材の特徴が浮き彫りとなったビビッドな味わいではなく、複数の素材が折り重なる際に生まれる輻輳的な味わいを志向する。

そんな考え方が、余すところなく表現された1杯が、同店の基本メニュー「醤油らぁめん」だ。

メニュー名/醤油らぁめん
メニュー名/醤油らぁめん

昆布・サバ節を大量に炊き込んだ魚介出汁と、鶏ガラ・モミジ・手羽先をじっくりと煮込んだ鶏出汁を提供する直前にブレンド。

ふくよかな鶏の風味を大切に守りながらも、昆布・サバの和味を極限まで引き立たせたスープは、序盤こそ穏やかな滑り出しながら、中盤以降、体感可能なうま味が質・量ともに飛躍的に増幅。まるで、甘露の雫をいただいているかのような感覚が、食べ手に鮮烈な印象を刻み込む。

■味香房 海居人(かいと)
[TEL]045-831-7576
[住所]神奈川県横浜市港南区港南台4-3-1ビーバービル1F
[営業時間]月曜・水曜・金曜:11:30~14:00(LO:13:45)、17:00~22:00(LO:21:30)
火曜・木曜・土曜:17:00~22:00(LO:21:30)
[定休日]日曜

5.【東京・代々木】新潟の2大ご当地麺が奇跡のフュージョン!『我武者羅』の新機軸に要注目 

都内有数の実力店として知られる『我武者羅』。同グループの店主・蓮沼氏は、新潟県のご出身。幡ヶ谷に1号店を開業した当初から、故郷のラーメンの普及に粉骨砕身してきた。

8月21日にオープンした『生姜醤油専門我武者羅 代々木店』においても、その意志は貫徹される。

同店のレギュラーメニューは、長岡のご当地ラーメンを再現した「生姜醤油(あっさり)」と、「生姜醤油」に独自のアレンジを施した「背脂生姜醤油(こってり)」。中でも特におススメしたいのが、「背脂生姜醤油(こってり)」だ。

メニュー名/ラーメン背脂生姜醤油
メニュー名/ラーメン(背脂生姜醤油)

同メニューは、新潟を代表するご当地麺「長岡生姜醤油」と「燕三条背脂煮干」をフュージョンさせたもの。
際限なく広がる背脂の甘みを、キレのある生姜の辛みが引き締める。互いの個性が、正の相乗効果をもたらし、背脂たっぷりでありながらゴクゴクと飲めるスープに仕上がっている。

具に岩海苔を配し、磯の香りで食べ手の胃袋を臨戦態勢へと誘導するギミックも面白い。

■生姜醤油専門我武者羅 代々木店
[TEL]03-3341-4100
[住所]東京都渋谷区千駄ヶ谷5-29-7
[営業時間]11:00~16:00、18:00~22:00
[定休日]日曜

6.【千葉・勝田台】まさに神!激レアアイテムが搭載された『篤々』の「特製煮干しソバ」を是非一度

和食の世界で10年間腕を磨いた店主。その技術を最大限活かした「煮干しソバ」を提供する人気店が、こちらの『中華ソバ篤々』だ。

店主は、永福町大勝軒系の実力店と偶然出会い、煮干しラーメンの魅力の虜に。ラーメン職人の道に進むことを決意し、2016年9月、念願の自店を構えるに至った。現在、店主がオマージュするのは、東京・調布の名店『中華そばしば田』の「煮干しそば」だという。

同店で、私が強くオススメしたいのが「特製煮干しソバ」。

『中華ソバ篤々』の特製煮干しソバ
メニュー名/特製煮干しソバ

大海の滋味に満ちあふれたカタクチイワシに、独特の和味を放つサンマ節をブレンドし、4時間かけて煮込むスープは、幾重ものうま味が寸分の過不足もなく舌上で調和。スープの一滴一滴が、食べ手の頬を緩ませる。

「特製」メニューには、板海苔とともに、レアアイテム「たたみイワシ」がトッピングされる。そのままかじっても良し、スープに浸して「ニボ度(煮干し感)」を上昇させるのも良し。食べ方の選択肢を劇的に広げる万能選手だ。

■中華ソバ篤々
[TEL]非公開
[住所]千葉県八千代市勝田台1-5-27
[営業時間]11:00~14:30、18:00~20:00
[定休日]月曜(祝日の場合は営業)

7.【神奈川・元住吉】次の一手はカレーラーメン!『麺屋さすらい』のチャレンジスピリットに感服

2016年12月に鳴り物入りでオープンし、鶏ガラ・鶏節ベースの淡麗塩ラーメンを提供してきた『ナルトもメンマもないけれど。』。

そんな同店が今般、営業形態を大幅リニューアル。

『ナルトもメンマもないけれど。』としての営業を土日の昼に限定。平日は、屋号を『麺屋さすらい』に変え、終日、「咖喱らーめん」をイチ押しメニューとして提供するという決断を下した。

メニュー名/咖喱らーめん
メニュー名/咖喱らーめん

淡麗ラーメンの人気店が、提供メニューの主力をカレーラーメンへとシフトさせる。それだけでも、相当稀有な事態だが、手掛ける「咖喱らーめん」が、香辛料をバリバリに利かせた超本格派であることも、驚きに拍車を掛ける。

「商品化する際に、カレー南蛮のようにだけはならないよう心掛けました」と店主。多種多様なスパイスが口の中で大きな塊と化し、辛み一辺倒ではない奥深い味わいを構築。「とにかく、スパイスが好きなんです。一度、こんなラーメンを作ってみたかった」。満面の笑顔に誘われるように、ペロリと完食してしまった。

■麺屋さすらい
[TEL]なし
[住所]神奈川県川崎市中原区木月住吉町4-19フローラル1F
[営業時間]11:00~15:00、18:00~21:00
[定休日]土曜・日曜・月曜

8.【東京・祖師ヶ谷大蔵】がっつり系麻婆麺をご所望ならココで決まり!『辛っとろ麻婆麺あかずきん』

引き続きご紹介するのは、昨年9月、煮干し専門店からリニューアルを果たした『辛っとろ麻婆麺あかずきん』。

同店は、西馬込の人気店『麺処鳴声』の2ndブランド。『鳴声』のフラッグシップメニューは担々麺であり、辛系ラーメンの創作を得意とすることで知られる。そのような実情にかんがみれば、今般のリニューアルは、全くもって正鵠を射たものだ。

『あかずきん』の不動の看板メニューは、「辛とろ麻婆麺」。

メニュー名/辛とろ麻婆麺(レベル1)
メニュー名/辛とろ麻婆麺(レベル1)

補助なしで箸が立つほど強烈なトロミを宿す麻婆餡が、食べ始めから食べ終わりまで主役(メイン)を張り続ける1杯は、他の一般的な麻婆ラーメンとは一線を画するインパクトを誇る。

味もまた一流。麻婆の辛みとうま味のバランスが的確無比であることは、当然の前提。喉元を通り過ぎる刹那、うま味に含まれるほのかな甘みが心地良い余韻を刻むなど、味の組み立ても、見事に食べ手のツボを押さえている。

■辛っとろ麻婆麺あかずきん
[TEL]03-5429-6313
[住所]東京都世田谷区砧8-6-27
[営業時間]11:00~14:30、16:30~22:30
土曜・日曜・祝日:11:00~ 20:30
[定休日]無休

9.【埼玉・北上尾】濃厚つけダレ×太麺のセオリーを打破!『鋼』のつけ麺で新感覚を満喫

いぶし銀的な存在でありながら、ラーメンのクオリティが高い店舗が目立つ、上尾・北上尾エリア。

変化球トッピングや変わり素材を用いる店が少なく、マニアからの注目度こそ必ずしも高くないこのエリアだが、しっかりとリサーチすれば、作り手のオリジナリティが垣間見える1杯を提供する店舗が随所に佇んでいることに気付く。

ご紹介する『とんこつらーめんつけめん鋼』も、そのような店舗のひとつだ。

こちらの基本メニューはズバリ、「つけ」。

メニュー名/つけ並盛(中)
メニュー名/つけ並盛(中)

動物系素材をじっくりと炊き上げた出汁と、魚介のうま味をくまなく抽出した出汁を合わせたつけダレは、典型的な濃厚動物魚介系に分類されるが、甘辛いカエシを効果的に活用することで、他から一歩抜きん出た仕上がりに。

このつけダレの相棒として太麺ではなく中太麺を選択できるのが、同店ならではの工夫。弾力としなやかさを合わせ持つ麺を箸でガシッと掴み、ザブンとスープに浸す。その麺を力一杯啜り上げるのが、中太麺仕様のつけ麺の醍醐味だ。

■とんこつらーめんつけめん鋼(HAGANE)
[TEL]048-612-7182
[住所]埼玉県上尾市緑丘2-1-1興和緑丘ビル1F
[営業時間]11:00~14:30、18:00~21:30
[定休日]月曜

10.【千葉・県庁前】『らぁめんつけめん粋や』の「醤油らぁめん」は、鶏節の和味を徹底活用

今回の特集のトリを飾るのは、2016年4月、県庁前の地で劇的な復活を遂げた『らぁめんつけめん粋や』。

店を再開するに当たり、職人人生を懸けて他店には真似できない唯一無二の1杯を創作することを誓った店主。新生『粋や』の屋台骨を支える「醤油らぁめん」は、そんな想いの集大成だ。

メニュー名/醤油らぁめん
メニュー名/醤油らぁめん

出汁に使用するのは、正真正銘、鶏のみ。鶏には、定番素材のほか、和味の結晶体ともいうべき「鶏節」を採用。鰹節、サバ節などの魚介を用いることなく、乾物独特の枯れたうま味を表現することに成功している。

出汁にとどまらず、タレにもひと工夫を施す。房総半島のご当地麺である「竹岡ラーメン」のタレに用いられる『宮醤油』を主役に抜擢し、深遠なコクと圧倒的なうま味を兼ね備えたフルボディの味わいを演出。

「鶏節」と「宮醤油」。2つのオンリーワンが口内でせめぎ合い、『粋や』ならではの味が生まれる。ひとたび、この味の虜になったら最後、他店で欲求を満たすことは至難の業だ。

■らぁめんつけめん粋や
[TEL]043-231-7702
[住所]千葉県千葉市中央区都町3-21-4
[営業時間]11:30~23:00
日曜・祝日:11:30~20:00
[定休日]月曜(祝日の場合翌日)

※この記事は2017年8月23日時点での情報です。 

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田中 一明(たなか かずあき)  田中 一明(たなか かずあき)

通称「ラーメン官僚」。ラーメン食べ歩き歴20年以上、実食杯数は11,000杯以上に及ぶ。直近の数年間は、毎年700杯~800杯のラーメンをコンスタントに実食。2016年現在、日本でラーメンシーンの「今」を最もよく知る人物。

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