今年は動画広告が勝負所! 〜2016年ネット広告のトレンドワードとクリエイティブ戦略〜

●過去コラム

【連載コラム第1回】媒体技術で考えるネット広告 〜2016年ネット広告のトレンドキーワードとクリエイティブ戦略〜
http://goo.gl/qXKp6A

【連載コラム第2回】インフィード広告の成功の鍵 〜2016年ネット広告のトレンドワードとクリエイティブ戦略〜
http://goo.gl/vf1xou

動画元年

動画元年

国内の動画広告市場は、昨年2015年の506億円から160%増の800億円に達する見込みです(オンラインビデオ総研の調べ)。中でもスマホでの伸張が著しく、172%増の234億円⇒403億円と急激な伸びを見せています。

グラフのような市場の変化に対して、弊社の広告事業でも様々な動画専門の子会社や事業部が立ち上がっています。YouTuberのキャスティングやコンテンツ開発を強みとする渋谷クリップクリエイトや動画広告の専門子会社のサイバーブル、調査機関のオンラインビデオ総研、動画広告のメディアプランニングや運用モデルの研究・開発組織Online Video Studio、などなど。

今年のはじめに弊社の藤田が『動画元年』というタイトルのブログ記事(http://ameblo.jp/shibuya/entry-12112940236.html)を投稿しましたが、社内を見渡しても、まさに「今年は動画が勝負所」という空気に溢れています。

動画広告の活用とそのクリエイティブプランニング

近年、様々な媒体で動画広告のメニューが開発・販売されていますが、第一回、第二回の記事でも記載しましたように、その広告効果を追求するなら、それぞれの媒体のアルゴリズムや特性を無視することはできません。Facebookやtwitter、Youtubeなど、それぞれの媒体で思想が違い、動画広告に対する考え方も評価の方法も異なるからです。

ここでその詳細な説明をすることは避けますが、「それぞれの媒体の思想を理解し、目的によって媒体を使い分け、媒体ごと・ユーザーごとに表現を最適化する」というのは、ネット広告のプランニングの基本なのです。

レスポンスを獲得するための動画広告のクリエイティブとは?

レスポンスを獲得するための動画広告のクリエイティブとは?

動画広告と一言で言っても様々な活用方法がありますが、ここでは「通販」や「eコマース」などのレスポンスを目的とした動画広告のクリエイティブメソッドを一部ご紹介したいと思います。

① クリエイティブ検証ロジック「PVP」
レスポンスを目的として動画広告を活用する場合、前提として重要なのは「検証可能であること」です。テキスト・画像・レイアウト・デコレーションで構成されるスタティック(静的)広告と違って、動画広告ではその検証項目が多様で複雑です。

・尺(秒数)
・アスペクト比(画面比率)
・コンテンツ(内容や順序、特に初動と止めの部分が重要)
・フレームデコレーション
・エフェクト
・媒体特有の遷移アクション(Call To Action等)

など

これらは効果に影響を及ぼす変数として、「クリエイティブレバー」と呼び、「どの要素(変数)が効果に対して影響が大きいか」「どの要素(変数)をどう使えばどう効果に影響を与えるか」など、それらのレバーをどうコントロールしていくべきかを仮説立て、検証を行っていきます。

少し複雑な言い方をしましたが、簡単に言えば、「動画が再生される前のサムネイル1枚をどうするか」「動画の秒数をどうするか」という微妙なコントロールをするだけで効果が大きく変わる、だからそれをきちんと検証しよう、ということですね。実際に、横型の動画広告を縦型に編集しただけでCTRが170%以上改善したという例もありますから、それらのレバーを適切に整理し、コントロールしていくことは非常に大切なのです。

弊社では、これらのレバーのコントロールを素早く、且つ正確に実行するために、運用初期の段階で重要な検証項目を洗い出し、仮説検証のストーリーを設計するプログラム「PVP(Performance Video Program)」を提供しています。


② 大量生成を実現するプラットフォーム「TAIRYO(タイリョウ)」
また、前回の記事でも書きましたように、運用型広告では高速・大量にクリエイティブを運用していく必要もあります。それは動画広告においても同じです。スタティックと違って動画はその変数も複雑ですから、どうやって高速・大量制作を実現するか、非常に頭を悩ませました。国内外の動画自動生成ツールやクラウドサービスなども検討しましたが、効果を追求する上では不十分なものも多く、自前で開発するしかないと結論づけました。

なお、月間3,000本の動画広告クリエイティブの大量生成を実現するプラットフォーム「TAIRYO(タイリョウ)」を提供開始しています。(https://www.cyberagent.co.jp/newsinfo/press/detail/id=11710

「PVP」などの科学的な研究から得られたクリエイティブレバーのコントロールナレッジと制作プロセスの効率化によって、従来の約10倍のスピードで高品質な動画クリエイティブを提供できる体制を実現しています。

現状、言語化・コントロール可能なクリエイティブレバーは60項目程度ですが、これらのクリエイティブレバーをさらに細分化し、そのコントロールと広告効果との相関をモニタリングしていくことで、将来的には誰でも簡易に動画が制作できるプラットフォームや、オーディエンスデータやAI(人工知能)と連動させた高品質なクリエイティブの自動生成ツールの開発にも取り組んでいく計画です。

動画クリエイティブの「これから」は機械と人間の技の融合

「PVP」や「TAIRYO」などの科学的でテクニカルなクリエイティブアプローチは、一方で自動化不可能な人の手とアイデアを明確に定義していくことにもつながると考えています。

弊社では、科学的でテクニカルなクリエイティブの開発・研究と同時に、人の手でしか実現できない最先端の表現技術やアイデアの研究・実行のための「TEAM:HAND MADE」というユニットを編成しています。TV局のディレクターやCMプランナー、テクニカルディレクターなどが在籍し、映画やアニメなどの最高品質なクリエイティブを開発するスキルと「TAIRYO」や「PVP」などの科学的なアプローチで得られた知見と技術を融合させながら、人を動かす新しいクリエイティブを発想し、それを提供する取り組みを進めています。

動画広告を中心に、市場にどんな変化を作っていけるか。この一年は非常に楽しみですね。
(今回はちょっと弊社のPR的な内容が多くなってしまいましたが、それくらい力を入れて取り組んでいるということで、ご容赦ください。笑)