夜の歌 (エルガー)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

夜の歌』(よるのうた、: Chanson de Nuit作品15-1は、エドワード・エルガーが作曲したヴァイオリンピアノのための楽曲。後に作曲者自身の手によって管弦楽編曲された。1889年から1890年頃に作曲されたことはほぼ確実であろうと考えられているが、初版の年は1897年である[1]

この曲と対を成す『朝の歌』作品15-2とはしばしば比較され、本作の方が出来がよい曲であるとされる。曲はウスターシャー・フィルハーモニック協会管弦楽団で第1ヴァイオリンを弾いていたFrank Ehrke医師に献呈された。

原曲版と管弦楽版が最も知られるが、他に作曲者自身によるチェロとピアノ、ヴィオラとピアノのための編曲がある。またエルガーの友人であったハーバート・ブリュワーによるオルガン版も存在する。

楽曲構成[編集]

アンダンテ 4/4拍子 ト長調

ピアノが奏でる落ち着いた和音の伴奏に乗り、ヴァイオリンが息の長い旋律を奏でる(譜例)。

譜例


\relative c' { \key g \major \time 4/4
 d2._\markup { \dynamic p \italic { espress. e sostenuto } }(\downbow b4--)\upbow g2 a b2~( b8 c)\< b-- a-- d2\> g,\! g' fis8( e) fis-- g-- a2.( a,4--) a8\cresc( b)\! d-- fis-- b4. b8-- b2.(\upbow cis4)
 }

演奏時間は約3分半。

管弦楽版[編集]

管弦楽編曲版の初版は1899年に出版された。『朝の歌』とともに1901年9月14日クイーンズ・ホール英語版において、ヘンリー・ウッド指揮するプロムナード・コンサートで初演された[2]

楽器編成はフルートオーボエクラリネット2、ファゴットホルン2、ハープ弦五部。『朝の歌』も同じ編成となっている。

脚注[編集]

出典

  1. ^ Kennedy, Portrait of Elgar, p. 283
  2. ^ Young, Elgar, O.M., p. 405

参考文献[編集]

  • Kennedy, Michael (1987). Portrait of Elgar (Third ed.). Oxford: Clarendon Press. ISBN 0-19-284017-7 
  • Young, Percy M. (1973). Elgar O.M.: a study of a musician. London: Collins. OCLC 869820 
  • 楽譜, Elgar: Chanson de Matin, Novello & Co., London, 1897, 1899.

外部リンク[編集]