ビジネスモデルに深刻な課題ある地銀を検査=金融行政方針

ビジネスモデルに深刻な課題ある地銀を検査=金融行政方針
 11月10日、金融庁は、今事務年度(7月―2018年6月)の「金融行政方針」を公表し、ビジネスモデルの持続可能性に深刻な課題がある地方銀行を対象に検査を行ない、早急な対応を促すことを盛り込んだ。写真は金融庁の看板、2014年8月都内で撮影(2017年 ロイター/Toru Hanai)
[東京 10日 ロイター] - 金融庁は10日、今事務年度(7月―2018年6月)の「金融行政方針」を公表し、ビジネスモデルの持続可能性に深刻な課題がある地方銀行を対象に検査を行ない、早急な対応を促すことを盛り込んだ。
金融行政方針は、金融庁が1年間に行なう金融機関への検査・監督の指針や、法改正や市場行政を担う企画部門での取り組みなどをまとめ、年に1回公表される。
金融庁は今年10月、前事務年度の取り組みをまとめた「金融リポート」で、人口減少や低金利で地銀の本業の収益が、同庁の想定を上回るスピードで悪化していると指摘した。
今回の金融行政方針では、地銀のガバナンス体制が形式的になっているかどうかなど実態把握を行なうことも明記。社外取締役による経営陣へのけん制機能などについても調査する。
金融庁は2016年、地銀の取り組みを定量的に評価するためのベンチマークを策定。各地銀に公表を求めた。
ベンチマークは、金融機関が関わった創業件数など各行共通で公表を義務づける項目と、銀行が選べる項目で構成されているが、今事務年度はベンチマークを発展させる形で地銀に共通適用する指標群を策定する。
顧客企業への支援や担保・保証にこだわらない融資といった取り組みが、統一基準で客観的に評価できる仕組みづくりを進める。
また、長崎県や新潟県での有力地銀同士の統合について、公正取引委員会の審査が長期化していることを踏まえ、地銀の健全性維持と地域への適切な金融サービスの両立をいかに図るか、有識者を交えて検討する。
早期警戒制度や早期是正措置、金融機能強化法といった金融システム維持のための諸制度についても、運用に改善の余地がないか議論を進める。
一方、フィンテックの進展を背景に、金融庁は銀行、証券、保険など金融機関の業態別になっていた法体系を改め、決済や送金などサービスごとに参入企業の規制を検討し、新規参入しやすくする。
金融審議会に研究会を新設し、新たな法体系への議論を始める。検討課題が多岐にわたるため、結論が出るまでに複数年かかる見通しだという。

和田崇彦 編集:田巻一彦

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