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■いのちのかたち…かもしれない 2018 (8月7~19日、札幌)

2018年08月16日 20時28分14秒 | 展覧会の紹介-複数ジャンル
 札幌圏に住む中堅・ベテランの女性5人による、2度目のグループ展。企画は詩人・美術評論家の柴橋伴夫さん。

 昨年1月の第1回は、瀬川葉子、高橋佳乃子、高橋靖子、日野間尋子、加藤宏子の5氏という顔ぶれだった。
 今回、高橋さんが抜け、彫刻の伊藤幸子さんが加わって、絵画3・彫刻2という構成になった。 

 会場中央に置かれていたのは、伊藤さんの「波に溺れて」。
 石膏に着彩した子ども、あるいは母子の像を作る伊藤さんらしい作品。
 ただし、実際には、おぼれる人というよりも、波に乗る人に見えますが…。

 会場のギャラリー・エッセのブログに、出品者5人のことばが掲載されているので、以下、引用していきます。

想いのかたちをつくりたいと思う。
みえない想いもかたちにしてみたい。
潜めた願いもやさしい風の囁きに降り注ぐ光の眼差しも
静かな眠りをさそう波の呼吸もかたちにしてみたい。
私のつくったかたちにそれぞれに想いをかさねて観てほしい。


 伊藤さんは他に、ブロンズの首の小品「種」「粒」も出品しています。
 

 高橋さんは抽象画家。
 幾何学的な作品ですが、筆を使わず、支持体を傾けて絵の具を流し、色をつけています。

 右から
「バイオレットグレー・2018」
「ウオーターブルー・2018」
「ローズピンクとローズバイオレット・2018」。
 小品は「ローズバイオレット・2018」。

 高橋さんは岩見沢在住。
 生まれは女満別町(現オホーツク管内大空町)で、上渚滑村(現紋別市上渚滑)で育ちました。
 上渚滑は、道内の他の多くの町村と同様、駅があって、農協や役場や学校が、碁盤の目のような市街地に配されていたそうで、いまも碁盤の目の形状をしたマチのほうが落ち着くのだそうです。
 いずれの作品も、そうした高橋さんの気持ちが反映されているようです。

キャンパスを傾斜させ、絵具を流す。
流れに沿って表情を変える線。
作為的にならないよう、タイミングを計りながら繰り返す。
繰り返すことで、いつしか混沌としていたものが単純化され、
遠い過去の記憶が、線と色彩とフォルムと繋がり可視化される。
人は古代からそれぞれの思いの中で、美術と関わり自分を知ることで他者と出会い豊かさを求めてきたと伝えられる。
私が今ここにいつ不思議と、かけがえのない日々を重ねキャンバスに気持ちを託し深めていきたい。




 右は、第2回本郷新記念札幌彫刻賞を受賞するなど活躍めざましい加藤宏子さんの「improvisation XXV」。
 手漉きの紙を使った新作の彫刻。
 波打つような形状をしており、これが台座なしで自立しているというのがすばらしいと思う。


 左は日野間さんの絵画作品。
 1点ずつではなく、まとめて「Works 2018 diary」という題がついている。

 なお、会場入り口にも日野間さんの小品2点がかけられ、題がなかったことから、おそらく出品作まとめてこの「Works 2018 diary」ということなのだろう。
 乾いたストロークがひそかに全面を走る抽象画は、遠い国の霧がたちこめる風景のような深さをたたえているようだ。 

 日野間さんは昨年は、自身がかかわっている障碍者支援施設の人たちが描いた絵の映像を出品していたが、今年は自分の絵に回帰している。

どことなく軽快なイメージの楮(こうぞ)作品ではあるが、制作過程における私の行為を文字に表すと、
「彫る」「削る」「はつる」「穿つ」「切る」
「分ける」「つぶす」「えぐる」「刻む」「溝を入れる」
「とる」「平す」…という動詞が並ぶ。
どちらかというと荒っぽい。
圧倒的に長い時間をこの行為に費やし、そうしてできた作品を私は彫刻と呼ぶ。
表したいイメージがかたちを成すよう、ああでもない、こうでもないといつまでももがいている。


その時の気持ちをのせるように線を描いている。
伸びる方向や長さ、強い弱いは、あるがままに委ねていたいと思う。
画面に拡がっていく線の重なりに、自身の息を聴き、
他者とのつながりや自然とのかかわりを味わっている。

気持ちと表現が、離れていないように…。

初夏。
庭で、映える植物の存在に、行き交う光と風の透明感を表現したい。




 瀬川さんの「始まり」は、青の正方形が12点、壁面にランダムに配置されている。

 ちぎった紙の厚みや触感が、どこか生々しさをもって、時の流れを象徴しているかのようだ。

 瀬川さんは「青のかけら」という小品も出品している。

ボール紙を破いていく。
ちぎれた紙を重ねて貼り合わせた上に彩色する。
その時にできる切れ端の線や、厚みの中にある断層、傷、
ボール紙の黒いコーティングと絵の具が反応するかのように、
あたらしく浮かび上がるかたちや線や明かりのようなもの、
黒色の中からうごめくように、
何かが生まれる始まりの時。
その中に微かな希望を見出したい。
手にとれるサイズになった。
タイトルは「始まり」。


 5人とも、とりたてて奇抜な手法を用いているわけではないのですが、余韻を感じさせ、見る側の思いを引き寄せる作品が多いように思いました。


2018年8月7日(火)~19日(日)午前11時~午後6時(最終日~4時)、月曜休み
GALLERY ESSE(札幌市北区北9西3 ル・ノール北9条)

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・地下鉄南北線「北12条駅」から約400メートル、徒歩5分
・同「さっぽろ駅」から約610メートル、徒歩8分

・JR札幌駅北口の出口から約340メートル、徒歩5分

※モスバーガーの北側の並びです
※「石の蔵ぎゃらりぃはやし」から約370メートル、徒歩5分


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