マイナンバーで動き出す「資産課税強化」
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2016年1月にスタートする社会保障と税の共通番号制度(マイナンバー)導入後、配布されるICカード「個人番号カード」のイメージ見本(左)。国民一人ひとりに12桁の番号が割り振られ、顔写真が付くので身分証として使えるほか、健康保険証(右)と一体化することなどが検討されている=2015年5月29日、東京都中央区【時事通信社】

磯山友幸
 来年1月からのマイナンバー制度の開始に向けて、国民ひとりひとりに「マイナンバー(個人番号)」を通知する作業が始まった。10月5日時点の住民票所在地宛てに12ケタのマイナンバーを記載した「通知カード」が、10月中旬から順次、簡易書留で郵送される。

 マイナンバー法が成立したのは2013年5月24日。年金などの社会保障と納税を1つの個人番号で管理する制度とされ、これに災害対策を合わせた3分野で利用されることになっていた。国民の利便性が高まる点を強調していたのだ。

 ところが、である。今年9月3日、衆議院本会議でマイナンバー法の改正案が可決成立したのだ。まだマイナンバーの実際の運用が始まっていないというのに、その利用範囲を広げる法律が通ったのである。具体的には、個人の預金口座情報とマイナンバーを結び付けたり、メタボ健診や予防接種の履歴情報などをマイナンバーと結び付けることが可能になった。

 9月3日といえば、安全保障関連法案に大多数の国民の関心が向いていた時期。8月30日には主催者発表で12万人が国会周辺に押し寄せていた。そんな最中に改正法は自民党、公明党だけでなく、民主党などの賛成も得て成立していたのだ。

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