コンビニのレジ、ロボが会計 ローソンとパナソニック
ローソンとパナソニックは12日、コンビニエンスストアで商品の会計や袋詰めを自動化する無人レジの実用化に乗り出すと発表した。コンビニ店員の仕事量を約1割減らし、来店客も会計の時間を短縮できる。小売業で人手不足感が強まる中、両社は同様の機器の採用をほかの小売企業に幅広く呼びかける。いち早く実用化に取り組んで実績を積み競争力も高める。
来年度、十数店舗で導入
商品が入った買い物カゴをレジに置くとすぐ合計金額が計算され、機械に現金を投入するかクレジットカードを差し込んで支払いをする。会計が済むとカゴの下部が開き、下にセットされた買い物袋に商品が詰められる――。
12日、大阪府守口市の「ローソンパナソニック前店」でローソンとパナソニックが始めた無人レジ「レジロボ」の実証実験の様子を公開した。ローソンの竹増貞信社長は「次世代型コンビニの実現に向けた取り組みの一つになる」と説明する。2017年度後半にまず十数店舗に導入する方向だ。その最大のポイントは電子タグを活用する点にある。
12日に始めた実験では、一つ一つの商品に付いているバーコードを、カゴに取り付けた読み取り機に来店客がかざす仕組みだ。実験の最後の月となる17年2月は、縦約2センチメートル・横7センチメートルの薄い電子タグを使う。店内の延べ7万点の商品に貼り付けた電子タグをレジロボ内で読み取り、素早く精算する。バーコードのように来店客が読み取る必要がない。おでんや鶏の空揚げなどタグを貼れない商品だけ、売り場のバーコードを手作業で読み込む。
機器の開発でパナソニックは工場の自動化技術を活用。形や材質が異なるそれぞれの製品をまとめて袋詰めできるよう金属や樹脂の部品を細かく調整し、卵を割らない、ケーキを倒さないといったローソン側の要求に応えた。電子タグの読み取りでは携帯電話などで培った高周波電波の制御技術を生かした。
実証実験で使い勝手を高め、ローソンは人手不足の解消と来店客の利便性向上の両方を狙う。
最大の壁は高額の電子タグ
ただ実用化にはハードルもある。最大の壁は電子タグの価格だ。現状では1枚10~15円程度とされる。1個100円のおにぎりが並ぶコンビニでは採算が合わない。
このためローソンは競合コンビニも含む小売企業に対し、同じ仕組みの採用を働きかける。業界全体で普及させることでコストを引き下げたい考え。企業向け事業の拡大を図るパナソニックは流通業界への販売拡大につなげる。
米アマゾン・ドット・コムは今月上旬、センサーやカメラ、人工知能(AI)を駆使した「無人コンビニ」に参入する方針を発表、まず米国で数年内に数百店舗開く計画だ。ローソンの竹増社長は「日本でもスマートフォン決済などが普及すれば可能性はある。ただフレンドリーな接客も必要だ」と無人コンビニには否定的だ。
日本にコンビニが誕生してから40年超。新しいコンビニ像を模索する動きはこれからも本格化しそうだ。