WOWOWまたしてもGJ!間近で見たBABYMETAL東京ドーム公演の見どころ | たろの超趣味的雑文日記〜本と映画と音楽とBABYMETALその他諸々

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趣味的なことを中心に,いろいろと思ったことを徒然なるままに語ります。映画/本/スポーツ/世の中/旅行/音楽(ヘヴィ・メタル)/BABYMETALなど。

2017年1月6日 Text by たろ a.k.a. TAROO-METAL

 

WOWOWで2016年12月18日に放送された「RED NIGHT」と2017年1月1日に放送された「BLACK NIGHT」の感想を書いてみた。両日とも実際に参戦したライブなのだが,何しろドームは巨大。3人の表情や立ち居振る舞いをその場で細かく観察することは難しかったので,落ち着いて映像を見ていると改めていろいろと気づくことがある。

 

これはライブ直後にも感じたことでライプ・レポートにも書いたのだが,全体的な感想としては,2日目の「BLACK NIGHT」の方がBABYMETALらしさが存分に発揮されていて良かったと思う。これはひとえに放送された曲の構成に理由がある。慣れ親しんだ1stアルバムの曲が1日目の「RED NIGHT」は10曲中3曲,「BLACK NIGHT」は9曲中6曲だった。ライブ当日の実際のセット・リストでも「RED〜」は13曲中5曲,「BLACK〜」は12曲中8曲が1stアルバムの曲だったので,もともと2日目の方が「1stアルバム率」は高い。放送でもその流れを忠実に踏襲していたのだ。

 

「RED NIGHT」はドーム公演初日でしかも2ndの曲が多く,さらに初披露の曲もあったから3人にのしかかるプレッシャーが大きかったであろうことは想像に難くない。どことなく「よそ行き」の雰囲気が感じられるような気がするのも仕方ないだろう。それに対して「BLACK NIGHT」で見られるのは,そのような緊張感から解放され,伸び伸びと自由奔放に荒ぶる「いつも通りの」BABYMETALの姿。馴染みの曲が多い方が自然体でパフォーマンスできるのは至極当然のことと言えるだろう。

 

さて,ここからは「RED NIGHT」と「BLACK NIGHT」それぞれの見どころ(個人的ハイライト)を挙げてみたい。

 

【RED NIGHT】
1.荒ぶる"Amore - 蒼星 -"
当日会場で見聴きした時には分からなかったが,改めて落ち着いて鑑賞するとそのあまりの「ほとばしる激情」に唖然とする。ウェンブリー公演のパフォーマンスを映像作品で観た時にも「この曲がこれほどまでに荒々しいとは」と感じたが,ドームの"Amore - 蒼星 -"はその比ではない。神々の演奏も荒ぶっているし,SU-METALのパフォーマンスも尋常ではない迫力だ。彼女にしては珍しく歌声にわずかながらビブラートがかかったようになっている部分が何箇所かある。これはビブラートではなくて,身体の内側からみなぎるパワーか何かに押されて声が震えているのだと感じた。少なくとも意図的に効かせて歌ったのではないと思う。

 

美しく疾走するだけの曲ではない。力強くそして荒々しい「メタル」としての新たな魅力がこれでもかと発揮されているのが東京ドーム版の"Amore - 蒼星 -"だ。巨大セットの頂点に立って熱唱するSU-METALの姿は文字通り「歌の女神」のような神々しさに満ちており,壮大なスケール感が強烈に感じられるのも魅力だ。

 

2.超絶ダンスに悶絶の"Tales of The Destinies"
世界初公開となった超絶プログレ・メタルがついにそのベールを脱いだ。複雑極まりない曲ゆえ求められる演奏スキルはとんでもないレベルだと思われるが,やはりそこは「神」。まるでCDを聴いているかのような完璧な演奏であった。そして何よりも驚異的だったのは3人のダンス。「プログレッシヴ・メタルに振り付けをつけて踊る」という,常識的に考えれば万人が「ありえない!」と考える荒技を,3人はいとも簡単に(一見するとだが)やってのけてしまった。よく見ると踵でリズム(カウント)を取っているシーンもあり,かなり集中して踊っている様子が伺える。

 

ブレイク・パートでジャズっぽいピアノのメロディが流れた時のYUIMETALとSU-METALのダンスが印象的だ(まるでチャップリンみたいだと思うのは私だけだろうか)。極め付けはSU-METAL。YUIMETALとMOAMETALほどではないにしろ,それなりの激しさでいつも通りに踊りながら,この難解な曲を歌いきってしまうのだから開いた口が塞がらない。

 

3.鬼神のごとく楽器を弾き倒す神々
CMIYCのイントロへと繋がる神バンドのソロ・タイム。ここで披露されたのは「いつもの,あのフレーズ」ではなかった。藤岡神と大村神がのっけからものすごいペースで弾きまくる様を目にして呆気にとられ,そのアグレッシブな空気を引き継いだBOH神と青山神のまさに鬼神の如き攻撃的なパフォーマンスに魂を抜かれた。いつもはBABYMETALの3人を後方からどっしりと支える神々が,その神級のスキルを惜しげもなく披露した至福の瞬間だった。

 

4.会場が大きいほど映える"KARATE"
この曲はもともとスケールが大きくてサビもキャッチーな本格派。そのドラマ性が最も際立っていたのが,雨の中で披露された「DOWNLOAD FESTIVAL UK 2016」でのパフォーマンスだった。この時の"KARATE"がドラマティックだったのは,「雨の中のDOWNLOAD。しかもアウェイ」という嫌でもドラマティックになってしまう環境があったからこそだろう。その意味では,純粋にパフォーマンスで勝負できた東京ドームにおける"KARATE"は,この曲のメッセージ性とこの時のBABYMETALの力量が最大限発揮された出色のパフォーマンスだったと思う。会場が大きくなればなるほどコール&エスポンスも盛大になり,この曲が持っているドラマ性もますます強く大きくなる印象を受けた。「心折られても〜」と低音を効かせて朗々と歌い上げるSU-METALの歌唱にも注目だ。

 

これら以外にも見どころはたくさんある。たとえばRoRには「嬉し涙を拭うMOAMETAL」という秀逸なエピソードがあるし,それに続く"ヤバッ!"のダンスは何度観てもやっぱり見入ってしまう(あのダンスを回転するステージ上で踊るのだ!)。"いいね!"のブレイク・ダウンの様子にいたってはまるで宗教だ。とにかく見どころが多すぎて困る。

 

【BLACK NIGHT】
1.至高の域にまで昇華した"紅月-アカツキ-"
この素晴らしさには脱帽するしかない。ドームならではの派手な演出を差し引いても,おそらく過去最高レベルのパフォーマンス。安定感抜群の歌声とSU-METALの全身から放たれる圧倒的なオーラは従来の比ではない。

 

「ライブを重ねるごとに進化・成長する」というのはもはや「BABYMETALあるある」だが,明らかに新次元に突入した感がある。冒頭のアカペラ・パートでビブラートを効かせて歌っていることなどはその象徴。ここだけではなく随所にちょっとだけ効かせて歌っており,その効果もあって全体的な表現力が格段にアップした印象を受ける。

 

紅の騎士が歌う「哀しき愛の物語」は東京ドームでさらにドラマティックに仕上がった。この曲が持つ美しさと切なさも数段レベル・アップ。どこまで感動的な曲になるのだろう。

 

2."META!メタ太郎"が作り出す濃密な一体感と高揚感
当日会場で一番感激した曲だが,映像を観てもその思いは変わらない。55,000人が一体となったシンガロングは何度観ても鳥肌モノ。3人より300人,300人より3,000人。3,000人より,30,000人より,55,000人による大合唱の方が魂が震えるに決まってる。血湧き肉躍る勇壮なバイキング・メタル,ここに極まれり。大きな会場になればなるほど魅力が高まるライブ向けの名曲であることが証明された。2ndアルバムがリリースされた当初は,この曲がここまでライブ映えする曲だとは想像すらできなかった。

 

2ndアルバムの中ではこの曲が一番好きだと言ったSU-METALには,「BLACK NIGHT」でこの曲が披露された時のこの光景が見えていたのだろうか。残念ながら放送ではドームを揺るがした大歓声を完全に再現はされていなかったが,それでもそのさわり程度は感じ取ることができるだろう。

 

3.新煽りの導入で生まれ変わった"メギツネ"
そのお祭りっぽい曲風ゆえもともと観客を煽るのに向いていた曲だが,その煽動力は55,000人が相手でも不変。いや,不変どころではなく増大したと言った方が正しいだろう。SU-METALがキツネ面を手にして不敵な笑みを浮かべつつ「Are you ready〜?」と挑発して始まる中間部の煽りはニュー・バージョン。「ソイヤ!ソイヤ!ソイヤ!ソイヤ!」と観客に歌わせる手法は大正解で,場内は大盛り上がり。ジャンプが禁止されていない会場ならばさらに盛り上がること必至だ。もはや古典に属する曲だが今なお進化中。

 

4.圧倒的迫力と説得力で聴衆をねじ伏せるIDZ
巨大セットと派手な演出の効果もあって,かつてないほどに豪華な印象だ。デビュー以来おそらく最もライブで披露してきたであろう曲ゆえに,言うまでもなくパフォーマンスの安定感は随一。有無を言わさぬ圧倒的な迫力なのに,3人は充実感漂う笑顔で余裕すら感じさせながら歌って踊る。見ている側はもはや諸手を挙げて降参するしかない。

 

もともとこの曲はメタル曲としてのクオリティが高い名曲だが,3人の歌とダンスの力量が増して表現力が格段に向上したことにより,さらに感動を呼び起こす屈指の名曲となったと思う。ドームという大きな舞台がその素晴らしさに拍車をかけている側面もあるだろう。とにもかくにも壮大なカタルシスを感じずにはいられない驚異のエンディングである。

 

というわけで,改めて映像を観た結論としては,㈰紅月-アカツキ-㈪META!メタ太郎㈫メギツネ㈬IDZの4曲が「BLACK NIGHT」の個人的なハイライト。もちろん事実上の本邦初公開となった”Sis.Anger”もインパクト大だし(「気合だ!気合だ!」と叫んでいる時のMOAMETALの表情を見よ!),日本武道館でのアクシデントを思い出さずにはいられないい”ヘドバンギャー!!”も狂信的な盛り上がりが素晴らしいし(しかもSU-METALが「お前らの本気はそんなもんか!」と煽るおまけ付き),カール・オルフの「カルミナ・ブラーナ」をモチーフにした劇的なイントロから神バンド・ソロに続く一連の流れのカッコよさにもしびれるのだが(荒ぶる大村神から目が離せない)……。

 

楽曲のパフォーマンス以外で印象的だったシーンという点でもう1つ付け加えると,実は一番衝撃的でクールだと思ったのは,オープニングで3人が十字架に磔にされて登場するシーン。今までのライブで最もインパクトがあってカッコよかった。YUIMETALとMOAMETALが大人っぽくなってきたからこそ可能な演出だったのだと思う。幼さを感じさせる頃に磔にされたら,かなり違和感があったに違いないだろうから。

 

さらに最後にもう1つだけ。「RED NIGHT」と「BLACK NIGHT」を続けて見ると,SU-METALのヴォーカル・パフォーマンスは「BLACK NIGHT」の方が良いことに気づく(私はそう感じた)。スイッチが入るとギア・チェンジする感じで,歌声に自然とビブラートがかかって力強くなるのだ(もしかしたら単に精も根も尽き果てかけていて声が震えているだけかもしれないが)。

 

【On Air List】
BABYMETAL WORLD TOUR 2016
LEGEND - METAL RESISTANCE - RED NIGHT

01.Road of Resistance
02.ヤバッ!
03.いいね!
04.Amore - 蒼星 -
05.GJ!
06.Catch me if you can
07.ギミチョコ!!
08.KARATE
09.Tales of The Destinies
10.THE ONE

 

BABYMETAL WORLD TOUR 2016
LEGEND - METAL RESISTANCE - BLACK NIGHT

01.BABYMETAL DEATH
02.あわだまフィーバー
03.ウ・キ・ウ・キ★ミッドナイト
04.META!メタ太郎
05.Sis.Anger
06.紅月-アカツキ-
07.メギツネ
08.ヘドバンギャー!!
09.イジメ、ダメ、ゼッタイ
 

写真=BABYMETAL公式ツイッターより

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