美しい日常と美少女を描く理由とは? 三月のパンタシアを描くイラストレーターloundrawインタビュー

美しい日常と美少女を描く理由とは? 三月のパンタシアを描くイラストレーターloundrawインタビュー
美しい日常と美少女を描く理由とは? 三月のパンタシアを描くイラストレーターloundrawインタビュー

三月のパンタシア『あのときの歌が聴こえる』/初回生産限定盤/loundraw

装画を担当した書籍の累計発行部数は150万部以上、4月放送のTVアニメ『月がきれい』のキャラクター原案、実写映画化も決まっているベストセラー小説『君の膵臓をたべたい』、「第23回電撃小説大賞」受賞作『君は月夜に光り輝く』の表紙を手がけるなど、若手最注目のイラストレーター・loundraw(らうんどろー)さん22歳。

現在放送中のTVアニメ『亜人ちゃんは語りたい』のエンディングテーマを担当するクリエイタープロジェクト・三月のパンタシアにも参加しており、3月8日にリリースされる同プロジェクトの1stアルバム『あのときの歌が聴こえる』では、ジャケットイラストを担当している。

その絶妙なピント調整やぼかしなど、独特の被写界深度から生まれる透明感や空気感、そして、年々目に見えて上達していくイラストは、時代に求められるかのように活躍の場を広げている。

今回のインタビューでは、そんなloundrawさんに、絵を描くことへの想いや独自のスキルアップ方法、さらには、大学卒業を控える自身の境遇とも重なり、大きな転機になったという三月のパンタシアについてもお話をうかがった。

イラストのほか漫画やキャラクターデザインなど幅広い活動を通じて、次の時代を彩る才能の思考を読み解いていく。

取材/恩田雄多 編集/かたやまけん、吉田雄弥

どのようにイラストのスキルを磨くのか?

loundrawさんが18歳の時に描いたイラスト

──イラストレーターとしての商業デビューから4年が経ちますが、イラストを本格的に描き始めたのはいつ頃からですか?

loundraw 子どもの頃は絵を描くよりも、何かモノをつくることが好きだったみたいです。小学2年生くらいから描くようになって、中学生のときにタブレットを手に入れて以来、意識的に描くようになりました。

とはいえ、本当に最近まで仕事になるとは思ってなかったんです。でも、ありがたいことにいろいろな方面からお声がけいただいて、絵を描く以外のプロジェクトにも参加できるようになってきて。

loundraw それこそ、リーガルコンサル※1を担当していただいているストレートエッジ※2さんとの縁で、漫画『あおぞらとくもりぞら』(原作:三秋縋)を描いたり、三月のパンタシアのミュージックビデオ(MV)では自分のキャラクターが動いたり、そういう機会が増えてきたのがここ1年くらい。

もともと表現の場を広げていきたかったので、チャンスがあるなら頑張ってみようと。
三月のパンタシア 『はじまりの速度』-Short Ver.-
loundrawさんは、三月のパンタシアの1stシングル『はじまりの速度』でジャケットイラストを担当。表題曲のMVでは、loundrawさんが描いたキャラクターたちがアニメーションで表現されている

──4年という期間からみると、多くの仕事をこなしている印象があります。正直、仕事以外で絵を練習する時間が確保できないような気がしますが、どのようにスキルを磨いていったんでしょうか?

loundraw 正直、“磨いた”とか“練習した”という意識はないんです。

「今」を象徴するイラストレーター150名が集結する図録『ILLUSTRATION 2017』/loundrawさんは2014年から毎年選ばれており、同書をきっかけに増えた仕事もあるという

loundraw 継続的に仕事をいただく中で、そのひとつひとつに対して、何かしら新しい構図を入れようと心がけています。必然的に、今の技量では描けない表現が出てくる。その壁を試行錯誤で乗り越えると、「この技術はこっち(別の仕事)だとこうやって使えそうだな」とか応用が効くようになりますね。

自分の技量・適正的に選びたい工程があったとしても、あえて自分の適性を意識的に曲げるというか、つくりたいもの、伝えたいものに応じて判断するように意識しています。

『僕の小規模な自殺』(2013)/loundrawさん初期の作品/表紙や挿絵を担当している

──仮に現時点で技量として難しいものであったとしても?

loundraw そうですね。僕の場合、描く前の段階で「今の技術だとここまで、ここからは新しい技術が必要、その作業にかかる時間は〜」と、具体的にイメージできるんです。その積み重ねで、結果的に上達したんじゃないかと。

ただし、上達したからといって、すべてがうまくいくわけではありません。当然なんですけど、僕が一番いいと思ってつくったものでも、相手からすると改善点があるというのが、この仕事の難しさかなと。

プライベートワーク

loundraw 基本的にすべて結果論なので、本当にそのコンテンツが終わるまでは、コンテンツにとって何が良かったのかわからない。現時点でヒットしているものであっても、“あのときもっとアーティスティックな方向に振っていたら、今とは異なるヒットのかたちがあったのかもしれない”とか。

たくさんの選択肢から、局面ごとにひとつしか選べないという意味で、そのときの何を価値観としてブラッシュアップすればいいのか──それを考えていくことは、僕自身、今後の課題かもしれません。

※1 リーガルコンサル:知的財産のライセンス管理及びライツマネジメント業務のアドバイスを行う。
※2 ストレートエッジ:『とある魔術の禁書目録』や『ソードアート・オンライン』などのヒットタイトルを手がけてきた編集者・三木一馬による作家のエージェント会社。

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