警視庁・特殊班。命に危険が及ぶ様な難事件を扱うこの部署の若きエース、川久保稜（松田翔太）は、同僚の黒木（奥田瑛二）とともに都内ヘリポートに呼び出されていた。一体、何のために？突然、激しい風圧とともに彼らの目の前にヘリが到着した。そして中から一人の謎めいた男（テミン）が降りてきた。彼の名は「ソン・シオン」。稜たちに与えられた任務は、このシオンを引き受け、警視庁に安全に移送することだった。シオンを車に載せ、都内へと車を走らせる二人。しかしその途中、日本国内ではありえないような凶悪事件が発生。シオンを狙い銃弾が降り注ぐ。「奴は一体何者？」突然の死闘に訝しがる稜だったが、実は特殊班に謎の特命が降りていた。「彼を捜査に使え、ただし、身の安全は保障しろ」と。さらに都内の工場で爆破事件が発生。班長である本田賢一（哀川翔）のもと、浅田拓人（戸次重幸）、叶理沙（野波麻帆）ら特殊班のメンバーが捜査を開始する。

稜には誰にも話したことのない秘密があった。実の弟をその手で埋めたのだ。20年前、母親（森口瑤子）のネグレクトで稜は弟を衰弱死させてしまった。そしてシオンにも想像を絶する過去があった。彼はもともとアメリカの医大生であったが、謎の教授から治験と偽って脳に特殊な手術を施されてしまったのだ。それによりシオンは一切の記憶を失ってしまう。愛する女性のことも。その女性は日本人の綾辻佳菜（瀧本美織）。佳菜は日本に帰国後、路上で犯罪に巻き込まれる。それを救ったのはなんと稜であった。今ここに三人を巡る数奇な運命が静かに動き始める。そして再び殺人事件が発生。シオンがその脳を使い解決の糸口を出していく。その目線は常人の発想をはるかに超えたもので本田や浅田もその異常な洞察力に驚きと疑念を持っていた。稜は先頭を切って犯人を追い、危険を顧みず追いつめていく。そして事件が解決したかに見えたその瞬間恐るべき展開が稜を襲う。

頭部を銃で狙撃されたシオンは病院に搬送された。手術は成功したが、執刀医から「シオンの脳が何者かにより手を加えられている」事が本田に告げられる。そしてシオンは病室の中でまで謎の敵により命を狙われる。稜はシオンを命からがら助け出すが、何故ここまでシオンが狙われるのか疑念は深まるばかり。さらに緊急事件が発生。シオンの執刀医をはじめ都内で名医たちが相次いで射殺された。いったい誰が何のために？まだ意識をとりもどさないシオンを病室に残し、稜たちは捜査を開始する。稜は激しい捜査のなか佳菜によって心を癒されるが、一方佳菜は大病院の院長で父親である綾辻秀樹（佐野史郎）からもう一度医師の道に戻るよう叱責されていた。佳菜は恋人ミンジュン（テミン）に「治験のバイト、ちゃんと行ってあげて」と友人との約束を守るよう勧めた。しかし、そのせいでミンジュンは死んだ。それがトラウマとなり、佳菜は医師の道を捨てたのだった。

稜のもとにシオンが目を覚ましたと連絡が入る。病院に駆けつけた稜は単刀直入に聞く。「お前、なんで狙われているんだ？」さらに防犯カメラに映った犯人の写真を見せた。それはマスクを被った怪しい男の姿。しかしシオンには見覚えなどなかった。稜は亡き弟シゲの記憶にさいなまれていた。20年前、母親が二人を捨てて出ていったあと水も電気も止められた不衛生な部屋で稜とシゲは過ごした。毎日同じ下着を着て、コンビニで廃棄された弁当を盗み二人でそれを貪り食った。捨てられたペットボトルに公園の水を入れ二人で飲んだ。そんな生活がたたりシゲは衰弱していく。そしてある日、とうとう命を落とした。悲嘆する稜はシゲの亡骸を河原に背負っていき、自ら土をかけて埋めた。埋まっていくシゲの顔。稜は一生忘れることはない。そしてシオンがとうとう殺された医師たちの死の原因のパズルを解き始める。稜はまるで自分の命を賭すように犯人へと向かっていく。

浅田は本田の言うことに言葉を失った。なんとシオンの脳から他人のDNAの成分が検出されたというのだ。しかもそれが相対性理論を発表したあのアインシュタインのものだという。本田はシオンの脳のサンプルを日本の脳科学の権威・御子柴教授（嶋田久作）へと送る。一方、東京で連続殺人が発生。現職の外務大臣の他に全く関連のない人間たちが殺害された。浅田は外交官たちのパーティーに潜入し情報を集めるが、「行方不明になっている韓国財閥の一人息子が日本に潜伏しているらしい」という韓国外交官の話を立ち聞きする。調べるとその顔はシオンに似ていた。稜はシオンに事実を尋ねるが、返ってきたのは驚くべき返事だった。「記憶がない」シオンは一切の記憶を失っていた。そして本田は御子柴教授から恐るべき事実を知らされる。実はアメリカで、アインシュタインの脳から人工的に複製した脳細胞を他人の脳に埋め込む構想をもった科学者がいた、というのだ。

稜は警察に入ってから常に「失踪者情報」を確認していた。それは自分たちを捨てて出ていった母親を探すためであった。ある日その中でかなり母親に近い情報を発見した稜。実際にその場所に行ってみるが、誰の気配もない。そんな稜に驚くべき情報が飛び込んできた。なんと殺害された外務大臣の体内から覚せい剤が発見されたというのだ。驚く特殊班のメンバーを尻目に、シオンはパソコンを叩きはじめた。そしてアメリカＣＩＡの極秘情報サイトにログインすることに成功し、外相の情報を集め始めた。なぜこんなことができるのか？謎が深まるシオン。そして稜は20年ぶりにとうとう母親の姿を発見する。男とともに落ちぶれた生活を送る母親の姿。稜は佳菜に「ついに母親を見つけた」と告げる。そんななか、特殊班の独房にひとりでいるシオンの目の前で電球がスパークする。シオンに異変が起こる。脳を撃たれ日本で手術した影響から、その記憶に変化が起こり始めた。

シオンを助けるため、たったひとつのガスマスクをシオンに渡した稜。結果、シオンは生き延び、そばにあった稜の携帯から佳菜の声をきいてしまう。記憶の底から何かが呼び起されるシオン。一方、稜は意識を失ったまま病室にいた。そのとなりには佳菜の姿が。二人は今の自分に本当に必要な存在としてして静かに結ばれていく。そして今度はシオンが失踪する。シオンは次第に記憶をとりもどしはじめているのだった。本田と浅田はシオンの正体を追い続けるが、時を同じくして都内で恐るべき大量殺人が発生する。逃げ惑う民衆の中で奇妙な仮面をつけた男が銃を乱射。数十人を殺害するという大事件だ。そのうちの一人は青い髪をした青年だった。まさにシオンそっくり。その青年を見て稜は思う。これは犯人がシオンをおびき寄せるためのメッセージであると。さらに犯人はわざと手掛かりを現場に残していた。そして、稜自身にも悲しい運命が待ち受けていた。

稜は、とうとう探し続けていた母親と再会することとなった。落ちぶれた母の姿に稜の心はすさむ。一方、シオンはついに記憶を取り戻した。「俺は・・・イ・ミンジュン」そして理沙によって発見され、特殊班に戻される。稜はシオンに犯人の写真を見せ、「お前に似た奴が襲われた」と告げる。しかし、シオンは答えることができない。ひとりになったシオンは、取り戻した記憶を頼りに自分の過去をＰＣで検索する。すると、自分の葬式の動画が発見され、そこには泣き崩れる佳菜が映っていた。どうしようもない悲しみに震えるシオン。そのとき、本田がやってきた。シオンに正体を問いただす。そして稜は、母と同居している自堕落な男から、母についての衝撃の事実を聞く。佳菜は稜の母のために、意を決して父親に助けを求める。そして連続殺人の犯人が手掛かりとして残した都内のクラブに特殊班が潜入することが決まった。

シオンが来日したときから執拗にシオンを狙っていた犯人がついに射殺された。その男の頭部を調べてみると、なんとシオンと同じく怪しい手術痕が発見された。この男に隠された秘密とは一体？浅田は大学の同期の外交官・岸本のルートからシオンの秘密を調べていく。一方、記憶を取り戻したシオンは、母の死を知った稜と佳菜が心を寄せ合う場面を偶然目撃してしまう。過去がフラッシュバックし、ひとり叫びをあげるシオン。そんなシオンを再び銃口が狙っていた！すんでのところでシオンを守る稜。犯人はもう殺害されたはずなのに、今度は一体誰が？再び大いなる謎が浮かび上がる。本田は常にシオンの居場所を正確に掴んでいる犯人に深い疑念を抱く。そして、稜は撃たれたシオンの介護を佳菜に頼んだ。佳菜のもとで目を覚ますシオン。ついに佳菜と運命の再会を果たす。複雑に絡み合う三人の運命・・・そしてシオンは、自らの運命を巻き戻すかのような行動に出る。

浅田と岸本は秘密裡に内閣調査室の水木（福澤朗）に接触、シオンとＣＩＡとの関係を探っていた。なんとＣＩＡは日本政府に国際テロ組織の情報を教える代わりに、あるひとりの諜報員を日本で預かることを要求していた。それがシオンなのか？その時、彼らを離れた場所から監視する謎の白人の男の姿があった。一方、シオンはついに稜に「佳菜を好きだ」と告げる。そして佳菜のバイト先に出向き、佳菜に自らの過去と今も変わらぬ想いを告げる。揺れる佳菜の心。そんな佳菜に父親である綾辻は密かに秘書の松柳を使って再び医学の道を目指すように仕向けていく。一方、本田はシオンの居場所を常に正確に掴んでいる犯人を追いつめるためにある作戦を思いつく。稜の協力のもと、本田は情報を巧にあやつり犯人を誘い出すことを画策。現れた犯人と、稜は生死を賭けた闘いを繰り広げることになる。

稜と待ち合わせをしていた佳菜を、突然シオンが連れ去った。シオンは佳菜にふたたび自分の気持ちを伝える。そして二年前、佳菜に言えなかった衝撃の真実を告げる。一方、浅田は水木からさらなるシオンの情報を得る。今までシオンを狙っていた人間全員がＣＩＡと関係があるというのだ。シオンを日本に預けたのはＣＩＡだったはずなのに・・・果たして彼らの真の狙いとは？一方、佳菜は稜にシオンから告げられた事実をうちあけた。佳菜の気持ち、そしてシオンの気持ちを誰よりも理解している稜。そんな稜の母親の身に、ついに悲しい事件が起こる。さらに今まで浅田に情報を提供してくれていた親友の岸本までもが事件に巻き込まれていく。動揺を隠せない本田と浅田。シオンによって、特殊班がかつてない混乱に巻き込まれていく。そして、再びシオンの命を狙う刺客が現れる。それはまさに想像だにしない敵であった。

稜はシオンを狙う刺客に引き金を引いた。それは理沙であった。ＣＩＡに内通していた理沙の遺体を悲しそうな目で見る本田。そしてシオンの脳はますます変調をきたす。記憶が混濁し御子柴教授の診察を受けるシオン。そこで再び驚愕の真実があきらかになる。ミンジュンのことを心配する佳菜。稜はそんな佳菜に「俺やミンジュンにはこれ以上かかわるな」と突き放す。佳菜の身を案じてのことだった。どこまでもＣＩＡに命を狙われるシオン。そして稜は母親の最終的な真実を知ることとなる。そんな折、特殊班に警視総監から命令が下った。「シオンをアメリカに即時返還する」というのだ。稜たちはアメリカがなぜそこまでしてシオンを狙うのか、その真実を知ることとなる。どう転んでも命が危ないシオン。その時、ついに稜が動いた！悲しい運命の絆で結ばれた三人。稜、シオン、そして佳菜の結末とは・・・？