アイドル・矢倉楓子さん(NMB48)インタビュー 「NMB48での経験は大きな強み。力に変えて新しい場所でも頑張っていきたい」

矢倉楓子

NMB48の中心メンバーとして活動してきた矢倉楓子さんが出演する「女々演」が公開されます。色白でふんわりしたイメージの矢倉さんが演じるのは、負けず嫌いなスポーツ少女、蒼生。作品の見どころと、この春をもってNMB48を卒業する現在の心境や仕事を通じて得たものを直撃してきました。

 

男勝りの女の子を演じるのに悪戦苦闘

矢倉楓子

――作品をさっそく拝見させていただきましたが、矢倉さんのビジュアルがいつもとあまりにも違うのでビックリしました。

細かく編み込んだあの髪型は毎回1時間ぐらいかかってたんですよ。インパクト大ですよね。鏡を見るたびに自分でも「ワッ!」ってなってました(笑)。

――ボーイッシュな蒼生に恋心が芽生え、変化していくサマが可愛かったです。

監督さんからは「男っぽく」と指示されていて、メイクもほぼすっぴんに近い感じでやっていたんですけど、普段NMB48ではキャピキャピってしたり、可愛らしく見えるようにとやっているので、どうやったら男勝りのサッカー少女に見えるんだろうって、その役作りが難しかったです。そんな蒼生がリップをぬって、女の子らしくなっていくところは私もお気に入りのシーンです。

――LINEグループのトーク内容は結構過激でしたよね。

演劇部の仲間でありながら、そこにいない子の悪口をみんなで言っていたり、近くにいるのにわざわざLINEで会話したり、今の時代ならではですよね。私が高校生の頃はガラケーでメールの世代なので、ちょっと恐ろしいなって思っちゃいました。

――沙彩(福原遥)と美紅(齋藤美咲)の乱闘シーンはキョーレツでした。

お互いにぶつけ合うワードもえげつないですからね(苦笑)。あのシーンはリハーサルから白熱していて、そのケンカを私が止めに入るんですけど、2人とも本気でやっていたから、私もその場に入りやすかったです。それこそ蒼生の気持ちそのもので、「やめて!」って叫んでました。

 

センターは誰にでもなれるものではない

矢倉楓子

――劇中劇で披露した“王子様スタイル”はカッコよかったですよ。

そう言ってもらえてよかった。ちゃんと衣装を着こなせているのか不安だったんですよ。演じている最中のシーンを何カットか撮ったんですけど、普段、アイドルとして歌って踊ってるせいか、私の動きは「違う。それはミュージカルやで」って皆さんからツッコまれてました(笑)。

――矢倉さんにも、演劇部員たちのようなヒロイン願望はありますか?

ヒロインというのはグループでいうとセンターですよね。女の子なら誰でも持っているものだと思います。私もNMB48に入った頃や、これまでも活動をしながら「目立ちたいな、一番になりたいな」という思いは抱えていました。

――“センター”という言葉にはやっぱり敏感?

誰でもなれるものではないですからね。みんな口には出さないけど「誰がなるんやろ?」っていうのはあると思います。

――「女々演」をどんな人たちに見てほしいですか?

ポスターには女の子5人しか写っていませんが、たった一人の男子部員も出てくるので、男の子が見ても面白いと思うし、私よりも上の世代の方は「最近の高校生ってこんなん!?」ってビックリするかもしれません。同世代の女の子は「もしかして、うちらも…」ってドキッとするだろうし、老若男女いろんな方に楽しんでほしいです。

 

最後の握手会で皆さんの愛を実感しました

矢倉楓子

――そして、3月21日に最後の全国握手会を行いましたが、どんな心境で終えたんですか?

NMB48に入ってから7年間、毎週のようにファンの皆さんとお会いする時間があって、それがもう今日で最後なんやって思ったら寂しかったです。だけど、達成感みたいなものもあって、握手会のたびにパワーをいただいたり、もっと頑張ろうっていう気持ちになったりして、そんな大切な場所を大切な皆さんと最後まで走りぬくことができて感謝しています。本当に幸せだなって思いました。

――“ふぅちゃんレーン”は長蛇の列だったと聞きましたよ。

久しぶりに来てくださった方もいて、「最後だから来たんかいっ!」って思わず言ってしまいました(笑)。私は14歳でこの世界に入ったんですけど、ずっと応援をしてきてくださった方と「これまでこんなことがあったね」とか思い出を振り返りながらお話できたことが嬉しかったです。ファンの皆さんがいてくれたから私は続けてこられたんだって、改めて実感しました。

 

卒業コンサートでは成長を感じさせたい

矢倉楓子

――4月4日の卒業コンサートでついにアイドルを卒業ですね。

セットリストも自分でやりたい曲を提案させてもらってスタッフさんと一緒に考えたので、ファンの皆さんには「ふぅちゃん、成長したな」と感じていただけるものになっているんじゃないかな。当日は“涙”というより、「矢倉楓子を応援してきてよかった。楽しかった」と思っていただけるような時間にしたいです。

――この7年間で印象的だったことは?

握手会でファンの皆さんとお話することでパワーをいただいたりして、人と人との絆を感じました。特にメンバーとは家族以上に長い時間を一緒に過ごしてきたので、特別な関係を築けましたし、それだけでもここに入ってよかったなって。ファンの皆さんは無条件に私のことを好きでいてくださって、いつも温かく応援してくれる――それって奇跡のようなことだと思うんですよ。ファンの皆さん、48グループのメンバー、スタッフさん、多くの方との出会いがたいせつな思い出です。

――そんななか、もちろん大変だったこともあったかと思いますが…。

私は歌とダンスがとても苦手だったんです。レッスンでも、きちんとできた人から出ていって、下手な人は最後まで残るんですが、私はいつも最後まで残っていました。歌って踊るのが仕事なのにそれができないことが悔しくて、一番大変だったことです。でも、練習を積み重ねるうちに徐々にできるようになっていって、自分でも成長を感じることができたので、そんなときは苦労が楽しさに変わりました。

――心が折れそうになったことはありましたか?

ほぼ毎日劇場公演があって、1公演につき16曲ぐらいやるんですが、NMB48とAKB48を兼任していた頃は1週間で2公演分の曲を覚えなきゃいけなかったりして、そのときは泣きながら毎晩寝ずに練習していました。挫折というわけではなかったけど、「ほんまに自分できるのかな?」って不安をいっぱい抱えていました。

――そんなときに支えてくれたものは?

公演は、出てしまえば絶対楽しくなるということを知っていたので、「これを乗り越えたら、やった分だけ私は成長できる」と考えるようになってからは状況を楽しめるようになりました。

 

どんなことがあっても根性で乗り越えていける

矢倉楓子

――7年間でご自身の変化もあったと思います。

こうやって自分の気持ちを話したりすることが、NMB48に入る前はできなかったんですよ。以前よりポジティブになり、内側から自分を変えてくれたので、精神的にも強くなったと思う。これからどんなことがあっても根性だけで乗り越えていける。これは私にとって大きな強みなので、卒業後は今まで以上に頑張りたいです。

――期待と不安はどちらが大きいですか?

芸能界には残らず、まったく違う場所で生きていくんですが、握手会などでコミュニケーション能力も上がったと自信をもって言えますし、今はとにかく楽しみです。これまで当たり前のようにお会いしていた方と会えなくなり、見ていただける場所もなくなりますが、私も皆さんと同じ空の下で生きているので、ファンの皆さんには時々私のことも思い出してもらえたら嬉しいですし、一緒に頑張っていきましょうと言いたい。私も皆さんからいただいたものを力に変えて、新しい場所で頑張ります。皆さんのことはずっと応援していますから。

――新生活や新学期を迎える人も多い季節です。矢倉さんと同じように新たなスタートをきる皆さんへメッセージをお願いします。

新しいことに挑戦するのは不安な気持ちのほうが大きいと思います。NMB48という世界しか知らない私ですが、これから新しい場所で違う自分を見つけようと今はワクワクしています。皆さんもまずは逃げないっていう強い気持ちをもって、走っていってほしいです。

 

■プロフィール
矢倉楓子(やぐら ふうこ)

1997年2月24日、大阪府生まれの21歳。2011年「NMB48第2期生オーディション」に合格し、「見逃した君たちへ~AKB48グループ全公演~」にてNMB48第2期研究生の一人としてお披露目。NMB48・2ndシングル「オーマイガー!」で初選抜入りし、2014~2015年にはAKB48と兼任で活動も。2017年10月に大阪城ホールで開催された「NMB48 ARENA TOUR 2017」で卒業を発表し、2018年4月4日に大阪・オリックス劇場で行われる卒業コンサートをもって、NMB48を卒業する。

◆矢倉楓子 OFFICIAL SITE:http://nmb48.com/member/yagura_fuuko/
◆NMB48 OFFICIAL BLOG:https://ameblo.jp/nmb48/
◆矢倉楓子 OFFICIAL Twitter:@ICECREAMFUKO
◆矢倉楓子 OFFICIAL Instagrm:https://www.instagram.com/fufu_ice/

 
編集:ぽっくんワールド企画
撮影:河井彩美
取材・文:荒垣信子

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