ぼくは行かない どこへも
ボヘミアンのようには…
気仙沼在住の千田基嗣の詩とエッセイ、読書の記録を随時掲載します。

曼珠沙華 霧笛128号から

2019-01-24 22:47:07 | 2015年4月以降の詩

(写真:藤野茂康氏)


花の美しさなどというものはない

あるのは

 

あるのは

美しい花

 

真っ赤な毒入りの曼珠沙華

家のそばのがけの草むらのなかに

ちょうど彼岸時に花をつける

この世とあの世の境い目を区切るように

真っ赤な毒入りの曼珠沙華

 

口に含むと恐ろしく甘い

に違いない

見かけは

燃えるように赤いのに

能面のように端正で

しかし

いったん

口に含むと恐ろしく甘い

すべてがとろけて

意識を失ってしまうように

肉体も溶け合って合一するかのように

彼岸と此岸を橋懸けて



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