俳優、志尊 淳インタビュー「いい子をやめたら、仕事がもっとおもしろくなった」

志尊淳 インタビュー 俳優 トッキュウジャー 女子的生活 きみはペット 帝一の國 覆面系ノイズ 探偵はBARにいる3 トドメの接吻 フロムエーしよ!!

映画、ドラマ、CMなどで観ない日はないほど活躍中の俳優、志尊淳さん。この冬、ドラマで志尊さんにとって初となるトランスジェンダー女子を演じることになりました。役づくりにかける思いや役者としての仕事観などをうかがってみました。

初の女性役は原作を読み込み、考え方や生き方を理解した

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――志尊さんが主演のドラマ『女子的生活』では自身初となるトランスジェンダーの女性を演じますね。最初、話しがきたときの率直な感想は?

まず、原作を読み込んで僕が演じる、みきという女性の生き方や考え方、作品が抱えるメッセージ性などを理解することに努めました。トランスジェンダーを取り巻く環境というより、みきの生きる姿勢に惹かれて、この役を演じようと決めました。

――みきを演じるうえで気を付けたことはありますか?

女性を演じるにあたり、実際にトランスジェンダーの方に監修に入っていただいて、声の出し方や表情の作り方、立ち姿などを学びました。一概にトランスジェンダーといっても“かわいい系”“クール系”など女性像はさまざま。そこで、監督とも話し合いながら、クールでキレイ系のみきを作り上げていきました。

お金をもらう仕事で学ぶのは嫌。先に学んでから仕事にしたいと考えた

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――年々、演じる幅が広がっている印象ですが、志尊さんはそもそも役者志望だったのでしょうか。

役者どころか芸能界に入るなんて考えもしていなかったです。中学まで野球しかしてこなかったんですが、原宿でスカウトされたのをきっかけに興味を持ちました。でも、いきなり事務所に入るのは嫌だったので、養成所できちんと演技を学ぶことにしたんです。

――スカウトされてそのまま事務所に入る人が多い中、志尊さんはきちんと段階を踏むタイプなんですね!

ずっとスポーツをやってきたからなのか、礼儀や秩序を重んじる傾向がありまして(笑)。お金をいただいて仕事をするのに、仕事をしながら学ぶのは嫌だったんです。先に学んでから仕事をしてお金をいただくことが筋だと思うので。それに、経験がなさすぎて自信がない状態で仕事に取り組むのも嫌でした。

――なかなか硬派な考え方ですね。

僕、顔がカワイイ系なので、誤解されがちなんですけど、筋を通す男らしい性格なんですよ。と、自分で言ってみました(笑)。

役者とは自分が商品であるがゆえの責任感があると気が付いた

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――意外な一面が見られてうれしいです(笑)。それで芝居を学んで、15歳で舞台デビューしましたが、勉強した成果は出たのでしょうか。

デビューは大きな舞台でのミュージカルだったので、勉強したことも吹き飛ぶぐらいの大変さでした。演技だけでなく、ダンスあり、アクロバットありだったので稽古についていくのに必死で。そして、いざ舞台に立つと、想像以上に大きな舞台と多くのお客さまを目の当たりにして、責任を感じました。

――どのような責任ですか?

これだけ多くのお客さまを楽しませるためには、自分が本当に頑張らないといけない、という責任感です。このとき、初めて自分が“商品”の仕事だと分かりました。

――15歳で、そこまで考えていたんですね。

はい。その後、『烈車戦隊トッキュウジャー』で主演を務め、ますます責任が重くなったなと感じました。戦隊モノはドラマだけでなく、映画やイベントなどさまざまな経験を一気に積めるので責任感と同時に、自分がやれることの幅も広がったと思います。

――志尊さんは役者を「仕事」と考えるタイミングがとても早かったんですね。役者は求められる仕事だと思うのですが、そのために心掛けていることはありますか?

まずはいただいた仕事に対して真摯に向き合い表現すること。これが一番だと思っています。でも、20歳まではどこか“また仕事をいただくために、自分の色を消してでもいい子でいよう”という考えがすごく強かった。周りから何も言わないような優等生的な役者を目指していましたが、次第に疑問に思い始めて。役者として自分が表現したいものはきちんと伝えていかないと、逆に求められなくなると思ったんです。使い勝手はいいけれど、個性のない役者は淘汰されてしまう。そう気が付いたときに“いい子”から脱却して、自分の考えを、礼節をわきまえながら伝えるようにしています。

――“いい子”をやめてから、変わりましたか。

変わりましたね。演じることがより楽しくなりましたし、いただける役の幅が広がったと思います。

主観でなく俯瞰で自分を見れば、やりたいことが見えてくる

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――10代からお仕事をまっとうしている志尊さんですが、仕事を続けるコツがあったら教えてください。

僕は今、22歳で一般的に社会人1年目の年齢です。社会人の友人からいろいろ話を聞くのですが、やっぱり仕事が楽しくないと、忙しいときや、大変なときを乗り越えられない気がします。アルバイトでも仕事でも、選ぶときに家が近いとか給与がいいとかいろいろな理由があると思いますが、続くのは自分が楽しいと思える仕事なのではないでしょうか。

「楽しい仕事ってどうやって見つけるんだろう」と思うかもしれないですけど、自分が好きなものから探したり、趣味を追求してみたりすると見つかる気がします。どんな職業でも楽しいと思って就いている人がいるわけですから、いろいろチャレンジしてみることが大切。主観だけでなく俯瞰で自分を見て、何が向いているか、やってみたいかを考えてみたらいいのかなと思います。

 

■プロフィール
志尊 淳(しそん・じゅん)

2011年俳優デビュー。2014年、『烈車戦隊トッキュウジャー』で主演を務める。代表作にドラマ『きみはペット』、映画『帝一の國』、『覆面系ノイズ』『探偵はBARにいる3』など。2018年1月からドラマ『トドメの接吻』に出演。

取材・文:中屋麻依子 撮影:八木虎造

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