BABYMETALの2018年ワールド・ツアーは波乱の幕開け | たろの超趣味的雑文日記〜本と映画と音楽とBABYMETALその他諸々

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趣味的なことを中心に,いろいろと思ったことを徒然なるままに語ります。映画/本/スポーツ/世の中/旅行/音楽(ヘヴィ・メタル)/BABYMETALなど。

2018年5月11日 Text by たろ a.k.a. TAROO-METAL

BABYMETAL待望の2018年ワールド・ツアーは大波乱の幕開けとなった。YUIMETALの不在,新衣装,まさかのダンサー登場,新曲連発……かつてこれほどまでにファンを混乱の極地に至らしめたBABYMETALのライブはあっただろうか。

サプライズが大好きで常にファンの予想のはるか斜め上を行くBABYMETALではあるが,さすがに今回は「やり過ぎた感」が否めない。Twitter上を飛び交う様々なツイートを目にしながら,私の思考も大混乱。「これはつまりYUIMETALはすでにBABYMETALを脱退しており,SU-METALとMOAMETALの2人体制では過去の曲をステージで再現できないためダンサーを大量投入して対応。それがThe Chosen Sevenということか?」などと思ったものの,ライブが終わらないと何とも言えないし,そもそも公式ステイトメントが何も発表されていないので,すべては推測と妄想の域を出ないのだ。いったい何が起こっているのか皆目見当がつかない状況のもと,これは確かに「ダークサイド」ではある――などと妙に納得する始末。

というわけで,良くも悪くも後世に語り継がれるであろう2018年ワールド・ツアーの1日目を,2つの視点からふり返ってみたい。 なお,本記事の内容は私がTwitterに投稿したツイートが元になっていることをあらかじめご了承いただきたい。

 

※画像=BABYMETALの公式Twitterより。


1.何が問題なのか

問題はYUIMETAL不在ではない。そのことについてBABYMETAL自身(あるいは運営)が何も説明しないという姿勢が問題なのだ。

主要メンバーの不在について何の説明もせず,むしろそんなことなどなかったかのように「新章の幕開け」的な演出でごまかそうとするなら,それはファンに対して失礼だと思う。演出だとしても,YUIMETALの体調を心配するファンの気持ちを逆手に取っているという点で,あまりにもタチが悪い。

理由はどうであれ,主要メンバー不在の理由説明を一切することなくライブを敢行するバンドはまれだと思う(考えてみたが,そのようなバンドは思い浮かばなかった)。サプライズはBABYMETALの得意技だが,今回は度が過ぎているというか悪質すぎるので・仮に後々YUIMETALが戻ってきたとしても素直に喜べない気がする。

たとえば,METALLICAのライブを見に行ったらいきなりカークがいないとかロバートがいないとか,そんな事態を誰が想像できるだろうか。そのような一大事に際してバンド側が「ノーコメントでスルー」はありえない。普通は事前説明があるものだ。百歩譲ったとしても事後説明が。それがプロとしての常識だし,ファン(顧客)に対する最低限のマナーだと思う。

メンバーの脱退や交代は可能性としては常にあり得るのは事実。BABYMETALも例外ではない。大切なのは,そのうような非常事態に陥った際に,何よりもまずファンに対して誠実な態度を取ることだ。

10月の「来日公演」で無事にYUIMETALが復活したとしても,ファンに対して説明責任を果たさなかったこの日の不誠実さは帳消しにはできないだろう。BABYMETALの新しい姿を目撃した多くのファンは,あまりにも複雑な感情や思いを心に刻み込んだのだから。この傷は永遠に残る。

事前の予告で今年のワールド・ツアーは「外典」という位置づけであることは明らかにされていた(それが具体的にどのような自体を意味するのかは不明だったが)。しかし,だからといって来年から「正典」に戻る保証はどこにもない。何よりファンの不安を煽るだけのやり方には不信感しか感じない。

「YUIMETALはカクカクシカジカの理由により不在DEATH!ピンチをチャンスに変えるため,今までのBABYMETALとはひと味違う<もう一つのBABYMETAL>として,今年のツアーを行います。BABYMETALのダークサイド物語を,ぜひお楽しみに!」となぜ事前に言えなかったのだろう……。「言いたくても言えない事情がある」と訳知り顔で語る人を見かけるが,具体的で合理的な事情とはいったい何なのか。

BABYMETAL陣営は,今回ばかりはファン心理を読み誤ったのではないかという気がしてならない。

大混乱に陥っているファンたちの様子を見て「今のうちに混乱するがいい。YUIMETALを復活させて大喜びさせてやるから」とKOBAMETALがほくそ笑んでいるとしたら……そんなことは想像したくもないが,真相はわかるはずもない。

2.ファンの反応

悲喜こもごものファンの発言を目にして真っ先に思い出したのは,マーティ・フリードマンが2014年にNHKのTV番組で放った「聴いたら好きか嫌いかしかない。でも絶対に無視できない」という名言だ。カンザスシティ公演でのBABYMETALを好きになる人もいれば,嫌いになる人もいる。それでもBABYMETALの存在を無視できない――まさにマーティの言うとおり。デビュー当時に「アイドルなのか?それともメタルなのか?」と物議を醸したBABYMETALは,それから7年あまり後,ついに「これはBABYMETALなのか?」というアイデンティティー・クライシスとでも言うべき事態を自ら招くに至ってしまったのだ。

そのような分析はさておき,そもそもYUIMETAL不在の理由は一切不明であることは覚えておきたいポイントだ。勝手に「体調不良」と騒ぐのは,ある種の印象操作。そうかもしれないし,そうではないかもしれない。あるいは水野由結はYUIMETALであることにもう飽きたのかもしれないし,実は大学に進学していて勉強が大変なのかもしれない。公式声明が発表されていない以上,すべては謎のままなのだ。

妄想と憶測にかられて腹を立てたファンが「来日公演」の不参戦運動を展開するという,ある意味でのメタルレジスタンスが実行に移されてしまうのではないかと,冗談半分で心配してしまう。アリーナもスタンドもガラガラの幕張メッセ――。

感じ方や受け止め方は人それぞれ。100人のファンがいれば100通りの意見がある。大切なのは民主主義の基本,つまり「私はあなたの意見には反対だ。だがあなたがそれを主張する権利は命をかけて守る」という姿勢。

世の中善人や出来た人ばかりではないのだから,そりゃあ怒りまくって自分勝手な要求を突きつけたり,理不尽な意見をぶちまける人は続出するに決まってる。そのような人たちに対して「そんなに責めなくても」とか「当人たちを苦しめるだけ」と諭そうとしても無駄。両者は言わば水と油なのだから理解し合えないし,すれ違いばかりで議論にもならない。でも,いろんな人がいろんな立場からいろんな意見を述べるのは真っ当だし大切なこと。玉石混交かもしれないが,BABYMETALを愛するファンが様々な形で自分たちの思いを表現するという行為そのものが大切なのだ。その声は,必ずBABYMETALに届くはずだから。

最悪なのは「そんな言い方はないだろう」と怒ったファン同士が喧嘩っぽくなること。これほど醜いことはない。各自が自分の思いを自由に述べつつも,他人を叩くことだけは避けるべきだ。今こそTHE ONEの精神を思い出すべし。

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10月のライブには,私はもちろん参戦するつもりだ。しかし気持ちは今までとはまるで異なる。ポジティブな気持ち100%で臨めるわけもなく,ドキドキワクワク感はほぼ皆無。「新しいBABYMETALを好きになれるかどうか」という自分の気持ちを確かめることが最大の目的になるだろう。

アイドル側ではなくメタル側からBABYMETALが好きになった私の場合,YUIMETAL不在でも音楽性がメタルであるかぎり楽曲は聴く。しかし新しい演出が楽しめないようなら,当然ながらライブには行かなくなる可能性が高い。楽曲がメタルじゃなくなったら,見向きもしなくなるだろう。

はたしてBABYMETALのこれからはどうなるのか。半年先どころか明日すら見通せない現状に,ひたすら困惑するばかりである。

 

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