Control vs. Management

うちではティシュペーパーの購入は「定量発注点方式」で行っている。「発注点」は2箱であり、「安全在庫」は1箱である。つまり、残り1箱になってから購入すれば間に合うのだが、万一のことを考えて残り2箱の時点で5箱入りパックを追加購入しておく。いま在庫管理などを学習中なのだ。

在庫管理の英語はInventory Controlだと思っていたが、どうも誰の視点でみるかによって意味/表現は異なるようだ。在庫品を適切な環境で効率的に過不足ない状態に保つことを「在庫品管理(Stock Control)」といい、原材料、仕掛品、完成品などの棚卸資産の配置と数量について責任を持って最適化することを「棚卸資産管理(Inventory Management/Control)」というようだ。また、実際に在庫を管理する場合に、どこに品物があるのかひと目でわかるように品物と保管場所(どの棚・列・段にあるか)を関連付けて整理することを「現品管理」という。

話はすこし方向がずれる。Controlというべきか、Managementというべきか悩むことがある。ソフトウェアの設計ではクラスやモジュール名に「管理(manage / manager)」とか「制御(control / controller)」というsuffixを付けて命名することが多い。この場合、上記の在庫管理の例のように管理や制御といったものには2つの視点からの2つの意味があることに留意すべきだろう。

「管理」にはまず「物や場所・環境をいつも良い状態に保つこと」という意味がある。監視・制御によって状態を維持させるのである。「管理人」というときの管理である。また「仕事や活動を責任持ってうまく進めていくこと」という意味もある。これはプロセス(人などのリソース、作業、成果物)を管理することであり、取り仕切る/取り締まるといってもよい。「管理職」というときの管理である。英語では前者は monitor and control に近く、後者はmanageに近い。

「制御」にもまず「対象の身勝手なふるまいを抑えて、こちらの意図で扱う」という意味がある。統制に等しい。また「対象が適切な状態でふるまうように調節する」という意味もある。前者は外部から強制的に制御すること、後者はオブジェクト指向的であり、対象自身が持っている制御機能を外部から刺激/指図してやるニュアンスがある。前者はcontrolで、後者はsuperviseに近いかもしれない。

個人的には「管理(manage)」は監視と制御をバランスよく行う行為で、「制御(control)」は管理の一部または、監視よりも強制的な制御が強調された管理と考える。似たような単語をピックアップし、ニュアンスの違いを挙げてみた。

manage/manager              監視・制御をバランスよく行う
control/controller          強制的に制御する=統制する
regulate/regulator          規約をもとに取り締まる
organize/organizer          一丸となるように管理する
administer/administrator    管理する対象の範囲が広い    
supervise/superviser        監督する/大雑把に指図する
caretaker                   世話をする人

※direct/directorも管理的な意味がある (追記)

業務管理はbusiness administration、品質管理はquality control、生産管理はproduction managementなどだ。