GDP改定値0・8%減→1%増の謎 推計精度で大きなぶれ 信認損なう恐れも

 速報値でマイナス成長だった7~9月期の実質GDPが一転、プラス成長となったのは、速報値における設備投資の推計方法の精度に問題がある。GDP速報値では、工作機械や発電機など、機械を作る企業を対象にした調査(資本財出荷)などに基づき、設備を供給する側の動きから設備投資額を推定している。

 このため、誰が設備を購入したかという特定がしにくい。民間が設備投資で購入したものが、一部公共投資に区分される可能性があり、精度に影響する。

 一方、GDP改定値に使う法人企業統計は、設備を導入する需要側の企業約2万7千社に、実際の設備投資額を聞いている。速報値で使う調査には含まれない建築やソフトウエアの投資も調査しており、より幅広い業種の投資状況が反映されている。

 ただ、法人企業統計でも、資本金1000万円を下回る中小企業などの実態は反映されていない。こうした要素を踏まえ、内閣府は「法人企業統計のほうが精度がある」としている。

 だがGDPの大きなぶれは、政策決定など判断にも影響するほか、日本経済に対する海外投資家の信認を損なう恐れもある。

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