【人力検索かきつばた杯】

テーマ:『探偵』で『ファンタジー』な文章

創作文章(ショート・ストーリー)を募集します。
ルールははてなキーワード【人力検索かきつばた杯】を参照してください。
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%BF%CD%CE%CF%B8%A1%BA%F7%A4%AB%A4%AD%A4%C4%A4%D0%A4%BF%C7%D5

締切は2/7(火)の夜を21~22時くらいを予定しています。

回答の条件
  • 1人1回まで
  • 登録:
  • 終了:2012/02/07 22:20:15
※ 有料アンケート・ポイント付き質問機能は2023年2月28日に終了しました。

回答7件)

id:minoru-0413 No.1

回答回数179ベストアンサー獲得回数23

ポイント35pt

黒というのは、種類が沢山ある色だと私は思っていた。
空一つ見ても、赤みを帯びた夕暮れの黒、青みを帯びた日が昇る前の黒、雲を羽織り静かに微笑む黒、雪明りに下の方だけが白く泣いている黒…。
しかし、此処まで感情や意味を無くしてしまった黒があっただろうか。
明りが無いわけではない、しかし、明りとして機能していない色たち。
色ですらない赤を纏った、オカシナ色の月。
光を当ててもいないし、放ってもいないのに、色をくっきりと映す街。
影の無い黒、くろ、クロ。
(此処は一体何処なのだろうか。)
近くに看板が幾つか見られるが、文字の配色が狂っていて、直視することをまるで眼球が拒否しているかのように、眼を逸らしてしまった。
よくよく見れば、街全体の色使いが実に狂気に満ちている。
人がいるにはいるのだが、彼らもいたって普通の通行人な筈だ。
(見ているだけでは始まらない、動かなければ。)
足を持ち上げた時、足もとでからりと乾いた音がした。
足元は底なしの闇のように黒がしがみついており、何の音かは分からなかった。
すぐそこの街灯の下に居た、口紅のようにしつこいピンクのワンピースを着た少女が、視界の隅でニヤリと笑った。
(声を、かけてみようか。)
「御嬢ちゃん、ちょっと良いかい?」
「なぁに、真っ赤な探偵さん。」
指先に鼓動が伝わったように、血管がぴくぴくと動いた。
何故、私の職業を知っているのか。
一つの疑問を真っ二つに裂くように、もう一つの奇妙な言葉が目の前に浮かぶ。
真っ赤な…?
私は今は白いコートとジーンズ、革の靴を身につけているだけで、真っ赤な物は何も持っていない筈だ。
少女は一体何を見て赤という言葉を探偵の前に貼りつけたりしたのだろうか。
背筋に何かが走った気がした。
「此処は何処だい?新宿には、如何行けばいいのか知っているかい?」
「此処は何処でもないわ。そして何処でもあるの。だから此処が新宿よ。」
(おいおい、何を言っているんだこの子は。)
「私の事務所は知っているかい?」
「それも此処よ。全ての場所は此処であって、此処でないの。」
「そういう話をしているんじゃないんだよ…御嬢ちゃんは、何処から来たんだい?」
「此処よ。何処にも行ったことはないし、何処に行ったこともあるわ。」
「貴方も此処にずっといるのよ。私の隣で、足もとの乾いた音を転がして、ずっとずっと此処で歌って、踊って、年もとらずにずっとずっとずっと…」
「御嬢ちゃん?」
「…帰っちゃうの?」
「?…いいや、まだ帰るわけじゃ」
「そう。じゃぁ…」


「グッバイ!」


「御帰りなさい、新城さん。遅かったですね。」
驚いた私は、ドアノブからパッと手を離した。
(事務所じゃないか。いったいどうやって帰って来たんだ…?)
「如何したんですか?」
「いや、何でもない。それより、今何時だ?」
「六時ですよ。時計忘れて行っちゃうなんて珍しいですね。」
コンクリートの灰色と木材の茶色がようやく目に馴染んできた。
事務所の前に、私は立っていた。
自称助手の、金田が後ろに立っている。
今、普通に会話をしていた。
事務所の中は、いつものコーヒーと書類の紙の匂いがしている。
(何事も無かったのだ、きっとそうだ。)
私はそう自分に言い聞かせ、事務所に入って行った。


終電の中、一人の男が居眠りをしている。
白いコートのポケットから、携帯のライトが顔を出している。
バイブにも気付かず、男はぐっすりと寝ていた。
ふいに向かいの席に座っていた別の男が立ち上がる。
乗客の悲鳴で眼を覚ますことなく、彼の音は途切れた。


「真っ赤な、探偵さん。」

id:alpinix No.2

回答回数617ベストアンサー獲得回数98

ポイント25pt

予告という名の枠予約、という名目の自分への追い込み

"「『探偵』で『ファンタジー』な文章」は如何にして成立してきたかに関する一考察"
 
 
to be continued!  2012/02/05 12:08:37

_____________________________
本編投下  2012/02/07 00:38:00
加筆修正           06:45:00
_____________________________
 
古来、探偵的な文章とファンタジックな文章は対極にあるといって良く、水と油、海と山、ステマ業者とA楠ほどに相容れない存在であった。探偵でかつファンタジーな文章などという存在は本来奇跡の産物といってもよいだろう。
探偵の論理的で人間の内面に収斂していくエナジーは空想上の産物を寄せ付けなかったし、ファンタジーの壮大でエキセントリックな発展性は常識という名の鎖に縛られていては、あれほど羽ばたくことができなかったであろう。
それがついに現代に至って革新的な融合を果たし、耽美的なまでの発展を遂げたことは皆さんの認識するところである。
 
とはいえ、両者の長い歴史の中で、その融合が如何にして成立してきたのか? それを完全に解き明かした者は、いまだ私を除き皆無ではないだろうか。そう! 私のこれまでの『探偵』的な地道な調査活動と、幸運にも私自身に備わった『ファンタジ』ックな能力により、この考察が本日をもって完成するに至ったことをここに高らかに宣言する。
 
考察の結論をお伝えするのは簡単だが、その前にまずは私に備わったファンタジックな能力を皆さんに説明することが先決だと思われる。それ無しには結部に至った経緯を理解いただくことは、平凡なる人智のみ備えた皆さんには不可能に違いないからだ。
 
或る日、それは本当に或る日突然に、私の体に舞い降りた能力だった。
探偵的な地道な文献考証を数日間続けていた私の脳内に、輝く光輪が何重にもスパークし、私は意識を失った。時を忘れ、起き上がった私は、自分の身に舞い降りたその能力を誰に教わるともなく自然に理解した。それは、"過去のありとあらゆる文章内の、ありとあらゆる存在と意思の疎通が可能となる能力"だった。時代を遡り、過去の特定のキャラクターと会話し、その存在の真意を知ることができるのだ。現実世界でも有用な私の交渉能力も、この謎を解き明かす一助となってくれたこともここに付け加えておこう。
 
ではこの能力を使って、私が最初に交渉した舞台に皆さんを誘おうと思う。
 
19世紀Dの世界
私がその存在に語りかけると”彼”はそれまで燻らせていたパイプを右手に持ち替え、こうつぶやいた。
「待ちたまえ、口を開く必要はない。まず最初に断っておくと、キミは未来から私と会話しにやってきた存在だね。いや説明も不要だ。その右手小指の蛸、そして服の裾について時空汚れ、それが全てを語っている」
私は問いただした。あなたはファンタジーと如何にして融合していったのかを。
「そんなことはありえない。私の存在にファンタジックな要素など皆無だ。明快で筋道の通った論理とこの世の理に従った事実のみが、探偵のあるべき姿だ。それ以外にあろうはずがない」
私は理解した、”まだ”この世界は融合前であったことを。謝辞を述べ、次の世界へと転移することにした。
 
 
1950年代、Fの世界
私はその小さな存在に問いかけた。あなたは如何にしてその長く困難な旅路の中で『探偵』的な要素を取り込んでいったのかを。
「いや、僕はそんな大それたことを身につけてはいないよ。中つ国 を救った真の功労者は僕ではないし、旅の仲間の助けが無ければ僕の旅の終わりはとても悲惨な結果になっていただろう。何より、この世界に頭デッカチな推理や論理は不要だよ。そんなものは裂け谷の谷間に放り込んで蓋をしてしまえ!ってなもんさ」
 
私は理解した。まだこの世界も融合前であったことを。さらに次の世界に転移を続けることにした。

20世紀、米 Dの世界
初めて彼に出会った時、私は戸惑ったものだ。なぜに作者と探偵が同名なのか、と。そこには当初は強烈な自己顕示欲を、そして著者名が二人の人物の共著名であったことに気づくと、その壮大でメタなネーミングセンスに二重に驚かされた記憶がある。
「君の質問は実に興味深い。ただ、ここまでに記述された内容だけで宣言しよう。答えは既に読者の中にある、と。これは私の君への挑戦状だ。そして文字数の制限をもって即回答編に映るとしよう。答えは否、であり、ファンタジックな要素は私の世界には不純物でしかない」
 
私はここでも空振りに終わったことを理解した。ただ世界が古典から近代に移っていく過程でこれまでカテナチオだと思われた扉に、僅かながら合致する鍵のようなものを感じ取ってもいた。
 
20世紀後半 邦文のFの世界
私が"彼"の創造主に最初に出会ったのはTVメディアであった。そのこと一つをとっても『探偵』の世界の譲歩を感じるが、何より私が最も注目したのはその創造主が『探偵』と『ファンタジー』両方の世界に通用する作品を世に送りだしていた事実である。特に"彼"が主役の「ファンタジー」的な世界はこの国に確実に一つのブームを築いていたと言い切ってもいいだろう。その中心たる存在の人ならぬ面相をもつ"彼"に私は問いかけた。
「異世界から来た男よ。俺のような異形の物に、何を聞こうというのか。たしかに俺はヒロイックFとホラーを目指した存在ではあったし、外伝で『探偵』紛いのことはしていた"王子"もいるようだが、所詮本線ではない。なにより、この世界は未完なのだから『探偵』の世界から最も遠い存在なのではないかな、男よ」

私は確信した。この異形の者がこんなもったいぶった言い回しをする時は裏があるはずだ。世界の融合は近い。
 
20世紀後半 ???の世界
私はついにたどり着いたと感じた。この世界はこれまでとは明らかに肌に感じる空気が違う。
 
なんと表現すればいいのだろう? 
 
文字通り、行間にたゆたう隙間が明らかに広く濃く、
無駄に改行され、
これまでの転移世界とは同じ版型とは目を疑うほどに文字組も緩やかだ。
 
そして文字ページに対する絵柄ページの割合も高い。

この世界こそ目指してた融合の世界なのだろう。

「ファンタジーと探偵って、もうそんなジャンル分けの話をする必要あるの? 
超常現象だろうがUFOだろうが分けわかんないものがあったら何でもかんでもあたしんとこ持ってきなさい! 今はとにかく表紙に可愛い女のコの絵、あたしのことね! 
があればいいんだし謎解きだってファンタジックな要素だって読者に届けばなんだっていいの。
要は楽しくて読みやすい文章になってるかどうかが重要なんだから」
 
 
都内某所、冗句堂書店4F文庫本売り場
「店長~、ま~た来てるんですけど。"あ・の・人"」
女性書店員が頬を引き攣らせながらバックヤードの乱雑な事務所スペースで、店長と呼ばれた男に詰め寄っている。男も目尻をひくつかせながらため息をついた。
「・・・で、今日はどこに現れたんだ」
女性書店員は害虫を噛み潰したような口調で続ける。
「今日なんて、ラノベ棚ですよ、ラノベ棚。一週間前に海外ミステリ棚に現れてからこっち、毎日毎日、あの調子で書棚の前でブツブツブツブツ独り言呟いてるんですよ。店長は裏にいて気にならないかもしれないですけど、喋ってる中身だって”『探偵』で『ファンタジー』な世界のユウゴウ”とか日本語で喋れよな内容で気持ち悪いったらありゃしないんですから。
なんか身なりもミスボラシイし、目の死んでるし、引き篭りかなんかじゃないんですかね。立ち読みばっかで購入意思も微塵もなさそうですし、もう、今日という今日は、声掛けして追い出しちゃった方がいいと思うんですよ。
そろそろ他のお客さんも気味悪がってますし!」
 

 
fin
 

id:sokyo No.3

回答回数1377ベストアンサー獲得回数97

ポイント40pt

『落とし物』

気付いたらバイト控え室だった。机に突っ伏していた。僕は壁を眺めた。
壁に人影があるような気がする。まだぼんやりするな。いま何時だろう。

バイトを始めてそこそこ経つ。機械から出てくるシャリを整えるのはうまくなったし、タッパーからネタを取り出して、お皿に載せるところまで、なんとかコンベアの速度に合わせてできるようになった。廃棄も遅刻も少ないし、いまや我ながらまあ優秀なバイトだ。とか思いながらまたシャリを手に取る。
「…と、サバですね。毎度ッ!」
ところが、カウンターでひと世代上の板前さんが、威勢よく魚を取り出したのだ。板前さんは手際よくそれに包丁を入れた。ちょ…。
ふわっっ!!
やっぱダメだった。僕は気絶した。

慣れれば血を見ても大丈夫になるとか嘘だなあ。やっぱり倒れちゃったなあ。また迷惑かけちゃったけどもうしばらく休まないとたぶんまた倒れるなあ。とか思いながら壁を見ていたら、人影のような何かは、本当に人物のかたちになった。胸元開き気味の服を着た女の人だった。
「はろー♪ キミが落としたのは金のシャリかな? それとも銀のシャリ?」
きらきらしたシルクのドレス。この人だれだろう。
「あら、私のこと知らなくって? 私はファンタジーの女神様。略してファンタの神様よん☆」
…古い。
「私ね、最近は神様の力を生かして副業で探偵業を営んでるの。シフト6時までだけど。キミ、落としたものがあるんでしょ?」
「あ、銀のシャリです」
「言うと思った。キミ、そんなバカ正直じゃこれからも彼女できないわよ」
「じゃ、バイトとしての信頼を落としました」
「うーん。60点かな」
「…あの、なんか用ですか」
「落としたもの、それ以外にもあるでしょ。私にはお見通しなのです」
女神様は僕に顔を寄せた。鼻が当たる。ち、近い。
「キミ最近、女の子からメールもらって、返してないのがあるでしょ。落としてますよ、恋のきっかけ♥」
いつの間にか少し遠ざかった女神様は、なぜか僕のケータイを手にしてた。
「メールボックスに残ってるんじゃなぁい…? あ、見つけた。ほらほら。“榎本さん”」
「ちょ。か、返してくださいよ」
僕は立ち上がって腕を伸ばした。とたんに頭に血が回らなくなって、またイスに戻ってしまう。
「ほぉら。ムリはしちゃだ・め・で・しょ♥ 安静になさい」
「なんで僕のケータイ持ってるんですか」
「探偵だから。それくらいお手の物よ」
「手段じゃなくて、動機を聞いてるんですけど」
「動悸といえばキミ、血がダメなんでしょ。カノジョと寄生虫博物館でも行ったら? 寄生虫ならだいじょぶだから! でさ、こわがるカノジョの手とかさ――」
「あの! ――榎本さんは、彼女じゃ、ないです」
「なら、手込めにしちゃえばいいん――」
「そういうこと、言わないでください」
「キミのことに興味あってメールくれるんじゃないの? そんなのも、」
「わーかーりーまーせーん! わかんないですよ。どうせ僕な」
「あーそうですか。それだからキミってばカノジョいない歴=年r……



 ……ねえ。私のこと止めないの? …怒らないの?」

「最後まで言ってください」
「…」
「最後まで言ってくださいよ。『それだから彼女いない歴=年齢』って言いたいんでしょう」
「…」
「どうせおっしゃる通りですよ」
「…。ごめん、なさい。からかいすぎた」
「女神様になんて謝られたくなんかないです。ケータイ返してください」
僕は今度は座ったまま、女神様からケータイを奪い返した。画面が光ってる。
「え? これ?」
電話発信中になっていた。
「しかも絶対つながる魔法をかけといたから♪」
「はぁ? マジ信じらんねぇ! これ女神のすることか?」
「てへぺろ☆(・ω<) カノジョによろしく」
トゥルルルルルル…。
従順なケータイは本当にコールを始めた。息を吸い込んだ。僕の意識はすっかり復活した。彼女じゃねぇし、って思った。まだ彼女じゃねぇし、って。
電話から、相手が出た。意識が復活して初めて、僕の喉が声を出した。
「もしもし、榎本さん?」

そのとき女神様が消えていったのに、僕は気付かなかった。

id:gm91 No.4

回答回数1091ベストアンサー獲得回数94

ポイント30pt

『第3種探偵』

「あの~、サガワ商会さんはこちらでよろしいでしょうか?」
 雑居ビルの3階の1室。小男が軽くノックの後ドアを開けると、そこには人相の悪い男たちが数名たむろしていた。

「お前、誰や?」
 中でも気の荒そうな強面の大男が来訪者を睨み付ける。

「これはご挨拶が遅れました。私、探偵を務めておりますイサクラと申します。」
「興信所がウチに何の用じゃい?」
 強面は突然の来訪者に対して、不信感を露にして凄む。
 しかし、イサクラの方と言えば、頭ひとつ違う相手に対してまったく動じず言葉を続けた。

「探偵免許:通産奉行認定:第03910007号。俗に言う第3種探偵でございます。以後、お見知りおきを。」
「だっ、第3種!?冗談も休み休み言……」
 強面の口を封ずるかのようにライセンスを男の鼻先へ示すイサクラ。

 男はライセンスの真偽については納得しきっていなかったが、自分に警戒させる間もなく懐からライセンスを取り出した早業を見逃すほど素人では無かった。今のが仮に得物なら今しがた死んでいてもおかしくないのである。何やら得体の知れない不気味さに嫌な汗が背中を伝う。臆した事を悟られないように一歩身を引くのが精一杯だった。


 ……説明しよう!
 第3種探偵とは幕府が認定した特殊探偵資格である。一般の私立探偵とは異なり、その業務遂行に至っては特別高等警護組(特高)を凌駕する捜査権限を有する。具体的には公共交通機関の任意占有、公的私的を問わず家屋事務所への強行立ち入り、必要とあらば殺人までもが許容される。当然ながら「業務遂行上」という縛りは存在するが、その業務の特殊性もあって遂行する本人により判定されるのが実情である。なぜそのような資格が存在するのか、についてはまたの機会に……。


「ワカヤマ!座れ!……若いもんの非礼はお詫びしよう。そんで公儀の探偵さんが何の御用やろか?ウチは公儀に睨まれるよな事に覚えは無いけどな」
 奥に座っていたスキンヘッドの中年男が苦々しげに口を開いた。

 イサクラは我が意を得たりと嬉々として応じる。
「いや、私の仕事は取り締まりではありません。ちょっと人探しをしておりまして。この人物に見覚えは?」
「……知らんな」
「そんなはずはないでしょう。これはあなたの親……もとい直属のご上司の息子さんではありませんか?」
「オヤジは知っとるが息子は知らん」
「そうですか、では質問を変えましょう。先月、この事務所から資金150両ほどが盗難にあっておりますね。何故か盗難届けは出されていないようですが、時を同じくして、この事務所職員のキヤマコウイチさんの行方が不明になっておりますね。ここまでは間違いないですか?」

 ……そんな事まで調べてやがるのか、と言いたげな表情でスキンヘッドは、ああ、と頷いた。
「そのキヤマさん、先日居場所がわかりましてね。名護屋で公儀に保護されました」
 なに?と強面のワカヤマが思わず腰を浮かすが、スキンヘッドに一瞥されると肩をすくめて椅子に座り込んだ。

「それで、金は?」
「保護された時、キヤマさんはほぼ文無しでして、公儀の尋問にも『金は兄貴に渡した』の一点張りのようです。この兄貴というのが先ほどの写真の方、サガワトキヤさんでして、実際名護屋でキヤマさんと一緒に居たという目撃情報も在りました。」

「……ボンは確かに先月名護屋に行くと言ったきり行方がわからん、本当や」
「余人はともかく私に隠し事はしない方が良いですよ」
「くどい!」
「……そうですか。失礼しました」

 事務所を後にしたイサクラは表に止めたモトラーダに跨り、お気に入りの玩具を見つけた子供のような笑みを浮かべると、帝都高速を東へ向かって駆け出した。

 続く



 * * * * * 



「陽雲社の荒岩です。先生、原稿ありがとうございます。
 早速ですが思うところを述べさせていただきます。

 ……そもそも、「探偵」ってなんなんですか? 
 人探しくらい、ちょっと魔力のある人間なら自分で簡単にできることでしょう?
 どうしてわざわざこんな特権振りかざして強引に聞き込みなんてしないといけないんですか?
 え?魔力が一切存在しない世界?
 いやいやいや、そんな世界で秩序が保たれてるってのはちょっと荒唐無稽すぎじゃないですか?
 ファンタジーも結構ですけど、もうちょっと真面目に推敲してくださいよ~。お願いしますね」

id:NazeNani No.5

回答回数1615ベストアンサー獲得回数276

ポイント20pt

シャーロック・ホームズ・ミュージアムのある
ベイカー・ストリートを、リージェント・パークの方から
オックスフォード・ストリート側に少し南下したところに、
家族経営の小さな「ワトスンズ秘密探偵社」
("Wastons' Detective Agency")はある。

グレードIIリステッドと称されるヴィクトリア朝時代の
歴史的建築の、美しい装飾の施された高天井のオフィスには
暖炉があり、今は単なる飾り棚として使われていた。
歴代ワトスン氏の写真と、輝かしい功績の数々が並んでいる。

この探偵社の業務の多くは、身元調査や身辺調査、
内偵や素行調査、そして、一番のお得意は、
「訳あって警察の手におえない行方不明者の調査」である。
訳あって警察の手におえない行方不明者とは何か…。
それは人間ではない、もしくはこの世のものではない
行方不明者なのだと言う。
そして、初代ワトスン氏の代から、現在までに
未解決の事件はなかったのだというから驚きである。


探偵ジョン・ワトスン氏は昼休みに軽くパブランチをした後、
腹ごなしに相棒のワトスン君とリージェント・パークを散歩していた。
今日は天気が良かったので、息子のジョナサン・ワトスンと
ジョニー・ワトスンに仕事を任せて、散歩を少し延長したところだが、
どうも先ほどからワトスン君が何かを言いたげな様子だ。

「どうしたんだね、ワトスン君。」

相棒のワトスン君は、いつもは寡黙だが、
何か言いたい時は主のジョン・ワトスン氏にだけは
吠え立ててでも、もの申すものなのだが…。
どうも今日のワトスン君は何かに気をとられては、
合間に何かを言いたげに、その青い瞳を向けてくる。

やがて、遠くからサイレンの音や騒ぎ声が聞こえ始めた。
ロンドン動物園にある研究室の方からではないだろうか。
また、猛獣でも逃げ出したのだろうか。

以前にも、似た様なことがあったのをよく覚えている。
まるでデジャヴか白昼夢、ファンタジーのようである。

拡声器を持った警備員が、何かを言いながら走ってくる。

「公園におられる皆さん!すみやかに公園から離れて下さい!」

ジョン・ワトスン氏はワトスン君に囁く。

「どうやら、また新たなエスケープ・アーティストが出た様だね、ワトスン君。」

ワトスン君は静かに頷き、空を見上げる。

何かが上空をものすごい速さで飛んで行ったようだが、
逆光でかすかなシルエットが一瞬見えただけである。

「公園におられる皆さん!すみやかに公園から離れて下さい!」

拡声器を持った警備員は、公園中を走り回るが、
ロンドンの人達は過去の経験からか、相変わらず動じないので、
ベンチに座ってポットに淹れた午後のお茶を楽しんでいた御婦人は、
「このお茶を飲んだら行きますけどね。何が起きたんですか。」と、
警備員にクロテッドクリームたっぷりのスコーンとお茶をすすめている。
警備員も警備員で、英国人らしくこの非常事態でもお茶のお礼は忘れない。
英国の空気は乾燥しているので、喉が渇いたのだろう。

少し前から英国中で流行っていた“Keep Calm and Carry On”
(「あわてずさわがず、今やってることを続けましょう」
※戦争中、街が爆撃されていた最中用に考えられたという英国の標語。)の
Tシャツを着た青年も、芝生でのんきに昼寝をしたままである。

ジョン・ワトスン氏とワトスン君も好奇心から、
ベンチで御婦人の横に座ってお茶をしている
警備員の方に歩み寄って行った。

「おや、これは立派なハスキー犬だな。飼い主はどこだい?」

警備員はワトスン君の頭を軽くなでると、
御婦人にお茶とスコーンのお礼を言ってベンチから立ち上がり、
ジョン・ワトスン氏の体を通り抜けて、
昼寝中の青年を起こしに行った。

id:takejin No.6

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ポイント40pt

「お題が困難に満ち溢れていて、限定されているかきつばたは、私には初めてだ。」
「おや、いつになく言葉がめんどくさいですねぇ、水野さん。」
「そうなのだよ、望月君。こんなお題の表現はかつてあっただろうか、いやない。」
「どれどれ、”『探偵』で『ファンタジー』な文章”ですね。普通ですよ。」
「いやいや、A楠氏が予告している様に、これは難解と言えよう。」
「なんだか、水野さんらしくないなあ、その言い方」
「言葉の厳密な運用を考えていたら、こうなってしまったのだ。」
「で?」
「大江健三郎の文章から切り出してきてしまった様な、まったくもって普通では使わない、それでいて心のどこかを刺激している、そんな奇妙なお題を出していることが、私には非常に気になるのだ。」
「うわ、何言ってるのかさっぱりわからない。大丈夫ですか?」
「大丈夫、大丈夫、森のようにどっしりと大丈夫だ。」
「大丈夫じゃない気がする…」
「『探偵』『ファンタジー』ではないのだよ、望月君。単に『探偵』『ファンタジー』の世界に登場するとか」
「それって、こういうのでしょうかね」

 俺は、探偵だ。
 「犯人は、お前だ!」みんなを前にして、俺はビシッと、ハリーを指差した。
「お前は、おとといの晩、寮からドラゴンに乗って湖に行ったのだ。そこで、禁断の魔法を使い、湖の主である大ウナギを殺したんだ。」
ハリーはにやりと笑い、こう言った。
「どこにそんな証拠がある?ボクが禁断の魔法なんて使えないのは、みんな知ってる。」ハリーは折れた魔法の杖を、俺の目の前にぶら下げた。
「この杖で、どうやってあの呪文を唱えるんだ?そんなことをしたら、杖が吹っ飛んで、ボクもこの世にいなくなってしまう。なあ、そうだろう?」
周りの生徒が、うなずく。俺は、ハリーに向かって言う。
「その杖が、先週の金曜日に、皆の前で折れた杖だよな。だから、禁断の魔法はつかえないって。でもな、」
俺は自分の杖をハリーの杖に向けて叫んだ。
「ケバア、ヨエツ!」
ハリーの杖は、俺の手元に飛んできた。
「ハリー、お前の杖なのに、なぜ俺が魔法で取れるんだ?」ハリーの顔に、苦笑いが浮かぶ。
「杖は、魔法では奪えないはずだ。」
「そうだ、持ち主が本物ならな。」
ハリーはわからないくらいに小さく眉を上げると、たちまち、黒い羽根の生えた異形の物になった。羽根をはばたかせて、その物は窓から、アッという間に空に消えていく。
「ハリーの本物は、屋上のタイルにはめ込んである。その杖で叩くんだな。」
空が一瞬真っ黒になり、すぐに晴れ渡った。

「こんな感じで。」
「つまりは、探偵がファンタジーの世界にいるわけであろう。」
「だって、そうでしょ」
「そうではないのだ。探偵ファンタジーなのだ。これに関しては、”何”が”探偵でファンタジー”なのか、皆目見当がつかぬ。」
「また、語り口が…」
というのは、~であり、なおかつ~である、と言い換えることができるとしよう。」
「ふむふむ」
「探偵であり、なおかつファンタジーである物とはなんであろうか。若しくは、探偵であるのにファンタジーでもある物ということになる。そのような物は、この世に存在するのであろうか。」
「そうなの?」
「何か別の意見があると申すのか?」
「何だかなぁ。お題が「探偵」”で”「ファンタジー」な文章でいいんじゃないの?」
「もっともである。それは、こんな文章であろうか。」

俺は、探偵だ。
だが、もうやめようと思う。
剣と魔法の世界では、探偵には仕事がない。

「これのどこが、ファンタジーな文章なの?」
「頭が沸騰するほど考えて、とことん突き詰めると、恐ろしいほど短いが、このようになるのではないだろうか。」
「今日は疲れる。でも」
「でも?」
「ファンタジーな、という部分はどう考えるのさ」
「”剣と魔法が登場すれば、ファンタジーである。”という定義があるようだが、どうであろう。」
「安易だなぁ」
「では、これではいかがかな。」

俺は、探偵だ。
腕がいいと評判だ。今日ももうすぐ客が来ることになっている。
俺は、机の引き出しに調査結果の封筒を入れ、客を待った。
トントン
「はじめまして、こちら魔那探偵社でいらっしゃいますか?」
「いらっしゃいませ。お待ちしておりました。」
俺には調査内容が旦那の素行調査なのも、旦那が浮気していることもすでにわかっている。
だが、話を聞くことにしよう。依頼人が美人だしな。

俺は、剣と魔法の世界からやって来た。杖を振れば、この世界では探偵なんて簡単だ。
 
 
 
ん?
そうさ、
逃げてきたのさ。消えゆく世界から。

id:meefla No.7

回答回数997ベストアンサー獲得回数472

ポイント30pt

ウェルダン


「それにしても難しい事件ですね」
 島刑事の言葉に、石塚刑事はうなずいた。
「ガイシャが倒れていたのは、金庫室の中。死因は背中からの刺殺です。大富豪だったガイシャは、自宅に銀行なみの金庫を作っていました。金庫の鍵はガイシャのポケットの中にあった」
 島刑事は、ファイルを繰りながら言葉を続けた。
「金庫室に入る前室の鍵も内側からかけられていて、家そのものも厳重に戸締りされていたわけですよね。トイレの窓にまで警備会社のセンサーが取り付けられていて、死亡推定時刻前後にセンサーが動作した形跡はない」
「さらに、だ。当日は雪が降って、庭にも裏庭にも足跡がなかった。塀の高さは2メートルで、塀の上には高圧電流の流れる有刺鉄線。門は機械式のオートロックだ」
 石塚刑事は首を横に振りながら、太い声で言った。
「五重の密室、というわけですね。若い刑事がどれだけ走りまわっても吠えても、解決しそうにない」
 石塚刑事は再びうなずいた。
 その時、中年の男が部屋に入ってきた。彼は言った。
「話は全部聞いたよ」
「山さん!」
「この事件を解決できるのは、あの人しかいない。係長には許可を取ってきた」
「あの人って?」
 山村刑事は、他の二人を見ながら、ゆっくりと言った。
「霊能捜査官・有村さんだ」

 島刑事と山村刑事が待つ会議室。約束の時間になっても来客者はなかった。
 山村刑事が言った。
「霊感はある方か?」
「ある方なんじゃないですか。幽霊らしきものは何回か」
「驚くんじゃないぞ」
 ドアにノックの音がするやいなや、一人の女性が息を切らせながら入ってきた。
「ごめんなさーい。遅れちゃった。有村礼子です」
 年の頃なら20代前半だろうか。腰まである長い黒髪。ジャンケンに頼らずともセンターを取れそうな美貌。彼女はあわただしくコートを脱ぎながら、涼やかな声で続けた。
「早速ですが、はじめましょう。で、どんな事件なんですか?」
 山村刑事のブリーフィングを無言で聞いた有村は、山村に尋ねた。
「例のもの、用意していただいてますか?」
 山村刑事は、菓子折りを取り出した。
「大角玉屋の、いちご豆大福です」
「冬はいちご大福に限りますわね。憑依されるとエネルギーを消耗するのです。いちごのビタミンCも疲労回復にうってつけ」
 有村は微笑みながらそう言うと、いちご大福をほおばった。
 目を丸くしていた島刑事は、山村刑事の耳元にささやいた。
「何者なんです?」
「青森は恐山の出身。イタコの家系の末裔だ」
「ガイシャの霊でも呼び出そうと?」
「それができれば苦労はないんだが……。始まるぞ」
 食べ終えた有村は大きな目を閉じて、両手で印を結んだ。ふっくらとした紅い唇から、低い声で呪文が流れだした。
 島刑事の目の前で、有村を取り巻く空気が淡い光を放ち出した。オーラだ。オーラは様々に色を変えつつ、有村の体に実体化してゆき、ストレートの黒髪をモジャモジャのくせっ毛に変貌させていった。
 光が消えた時、そこにいるのは袴に下駄履きの男だった。男はボサボサの髪を掻きまわし、フケを飛び散らせながら言った。
「うーん。僕が事件を解決できるには、あと3人くらい殺されないと」
 金田一耕助は、首を横に振り、こう言い残して消えた。
「別の専門家に声をかけておきますね。じゃ」

 女性の姿に戻った有村は、再びいちご大福に手を伸ばした。島刑事はたまらず声をかけた。
「次は誰が憑依するんですか?明智小五郎?」
 有村は言った。
「明智さんはガイシュツです」
「外出?どこかに出かけてるんですか?」
「専門用語です。説明するには時間と文字数が足りません。ちなみにシャーロック・ホームズもガイシュツです。締め切り時間も迫っているので、急ぎましょう」
「は?」
 島刑事にかまわず、有村は大福を食べ、印を結んだ。
 今回はオーラが大きくふくれあがり、有村の体をでっぷりと太った老人に変えた。サンタクロースのような風貌に口ひげ。男は楽しそうに言った。
「ほう。密室じゃな。わしの得意とするところじゃ。例の『三つの棺』事件で講義したのをご存知かな?」
 ギデオン・フェル博士はしばらく沈思黙考した。
「うーむ、難しい問題じゃな。ちょっと考えさせてくれんか……」
 フェル博士の体がゆらめき、ぼやけた。二重写しのように、別の人物の姿が浮かび上がった。
「『ユダの窓』事件よりも難問じゃな。このヘンリー・メリヴェール、全知全霊をかけて……」
 H.M. の体がぼやけ、フェル博士の体になったかと思うと、再度 H.M. の体になった。二人の体がめまぐるしく交代していく。
 山村刑事の顔色が変わった。
「いかん。不安定になっている」
 点滅するストロボのようになったオーラがついに爆発して消えた。息も絶え絶えになった有村の体が残っていた。

「今日はもう止めましょう」
 山村刑事の言葉に、有村は無言で首を横に振った。
「でも、あなたの体が心配です」
「だい……じょうぶ……です。まだ事件は解決してませんもの」
 二人の刑事が不安そうに見守る中、有村はいちご大福を食べた。印を結び、呪文を唱える。
 今回のオーラには色がなかった。黒の中の黒。全ての光を吸収するブラックホールの色だ。島刑事の鼻腔に硫黄の匂いがした。
「なーにやってんだか」
 その顔は、無数の老若男女の顔だった。右手に持った書物を軽く振りながら、しわがれているともカン高いとも言える声でそれは言った。
「俺様が解決してやるよ。犯人は悪魔さ。人間に五重の密室での犯行なんかできるわけねーだろーが」
 ダンタリオンは唇に冷笑を浮かべた。
「地獄の大公爵たる俺様が言うんだから間違いない。……どーでもいいが、このいちご大福、美味いじゃないか。情報提供料としてもらっておくぜ。魂を取られなかっただけラッキーだったな」
 ダンタリオンの姿は消え、有村は気を失って机に倒れこんだ。

 こうして、七曲署の事件ファイルに、未解決事件が一つ追加されたのである。

(了)



追記です。
「またマイナーなネタを」と言われそうですが、タイトルとかは ミディアム 霊能者アリソン・デュボア が元ネタだったりします。
微妙にA楠さんとネタかぶりしてて投稿するかどうか迷いましたが、せっかく書いたので。

  • id:sokyo
    こんにちはー。
    今回も楽しかったです♪
    ほかのヒトがなんと言おうと、私は今回
    最後の1文まできっちりうまく書けたって思ってます☆ いえーい。

    この3連戦?で弥演琉さんとかGM91さんとかなぜなにさんとかが
    どんどん私のツボを刺激するおもしろい作品を寄せてきて、
    私は読みながらなんどもおぉーっ!って思ったり、
    思うだけじゃなくて実際に口にしてしまったりしました←
    あるぴにっくすさんやたけじんさんやmeeflaさんみたいな
    手練のみなさんの作品は、もう言わずもがな。
    私はからあげのやつもすごくスキです♪

    これからも参加できそうな回には引き続き参加しそうな私なので、
    今後ともよろしくお願いします!

    で、見てるだけのみんなは試しに一回書いてみたらいいのに。
    てへぺろ☆
  • id:minoru-0413
    minoru-0413 2012/02/09 16:17:38
    今日は。
    今回は書きたいように書いてしまったので、話がぼんやりしてしまった感があります。
    ただ書きたい事は書けたので良かったかなと思いますが。

    今回もレベルが高くてビビりました。
    あれですね、私が低すぎて何というか…変に目立ってしまうのが恥ずかしい。
    何なんでしょうかね、皆さんの作品読んでるとすっごいわくわくするのに、私のは読めば読むほど何かがこう抜け落ちていく感じがしてしまって後味が悪い。

    あ、少女の居た世界に見覚えというか、何か引っかかった人はたぶんスーファミからゲームボーイアドバンス世代かと存じますが、まあ私の力では表現しきれていませんね。
    なんせ「RPG史上最狂の場所」ですからね、私未プレイですからね。
  • id:takejin
    水野氏はぼそぼそと、望月君に語っている。
    「【ファンタジー】って「異世界」の物語。
    【探偵】って「現実世界」を濃縮したもの。
    これを同時に扱うっていうのは、難しい。
    特に、ファンタジーは世界の構築に時間がかかる。
    読者の納得のいく世界と、そこへの道のりの【説明】が必要なのだ。
    だから、ショートショートにファンタジーを持ち込むには、
    連作とか、アンソロジストとかパイロットが必要で、単発だと、2000字では納まらない。
    少なくとも、読者の納得のいく内容にならないと思うんだ。」
    「でも、探偵物にしろ、ファンタジーににしろ、お約束をくすぐればいいんでは?」
    「読者の読書歴に依存するのは、フェアじゃないだろう?」
    「普遍的な所で、”名探偵、皆を集めてサテと言い”とか、
    ”ファンタジーには魔法と剣とドラゴンが登場する”とかならいいってことでしょう?」
    「そのへんまでだなぁ。それ以上を要求すると、読者層を限定してしまって、敬遠されることになる。ただ、」
    「ただ?」
    「知識のかけらや香りを漂わせると、マニアックな扉が見えて、マニアもマニアじゃない人も何かをくすぐられることになる。ただ、」
    「ただ?」
    「ここんとこは、さじ加減が難しい。」
    「ふむふむ。確かに。両方とも、学校では扱わない種類の文学だし。
    東野圭吾が売れてても、誰もが読んでるわけじゃない…ドラマは見てるんだろうけどねぇ」
    「ファンタジーはさらに層が限られるからねぇ。
    ゲーム世代にはポピュラーだけど、おばさん達には向こう岸だな。」
    「欧米だと、指輪物語・アーサー王宮廷のヤンキー・果てしなき物語・ハリーポッターは定番として扱えるし、
    ホームズ・ルパン・ポアロ・クィーン(ロックじゃないよ)・マーロゥも定番だな。
    知らない奴は無視していい感じ。」
    「活字文化の違いですかねぇ?」
    「この国って、読んでる人と読んでない奴の間の溝が深いんだよ。」
    「じゃあ、これ読んでる人も、溝のこっち側なんでしょ?」
    「そうだなぁ」
    「じゃあ、説明なしでくすぐって、いいんでないの?」
    「をを、そうだったかも。」
     
    みなさんの作品、背景となるファンタジーの折り込み方がうまいなぁ。
    ・ゲームの世界から、色を持って来たり。
    ・ヒロイックファンタジーも探偵物も書いてる人を持って来たり(うう、合掌)
     (ついでに読書量が垣間見える)
    ・さりげなく定番の女神が登場したり
    ・お、江戸物かと思いきや、どんでん返しだったり
    ・定番ホームズかと思えば…だったり
    ・オカルトで探偵を呼び出すなんて
    私の方は、考えすぎでしたよ。たまたま、大江健三郎マイブームだったから、表現にこだわり過ぎただけだったりして。

  • id:meefla
    質問者と回答者との会話

    回答者ミーフラ「うーん。やっぱり、妖精の世界で起こった事件をコロポックルが解決する話のほうが良かったかなー」
    質問者ミーフラ「妖精が殺されるのを『殺人事件』と言っていいか、で引っかかって挫折したくせに。前作に引き続いて出来が悪いな。スランプか?」
    回答者「前作の事は言ってくれるな。実質1時間で書いた作品だから、練り込み不足も仕方ないだろ。今回は少しはマシな筈だ」
    質問者「最初の構想ではポアロとか法水麟太郎とかも出すつもりだったんだろ?リアルの仕事が忙しい、ってのはわかるが、遊んでないでもっと回答してくれなくちゃ。ポイント稼いでくれないと、俺の出番がないじゃないか」
    回答者「第16回を主催して講評をちょっとほめられたからって、また『かきつばた杯』やろうとか思ってないか?俺に無断で700ポイントも使ったのは、どういう了見だ?俺がどんだけ苦労して稼いだと……」
    質問者「堅いこと言うなよ。お前と俺の仲じゃないか。お前のものは俺のもの。俺のものは俺のものだ」
    回答者「なっ」
    質問者「思うんだが、『かきつばた杯』に参加するってのがそもそも間違いじゃないか?アイディア練ってる時間で他の質問に回答してれば、ポイントももっと入るし、ベストアンサーも付きやすいだろ?」
    回答者「『馬鹿じゃできない、利口はやらぬ』さ。チャーチルも言ってるだろ。『かきつばた杯のベストアンサーになることは、一国の宰相になるより難しい』」
    質問者「Wikipedia 読んでみろ。その名言はJRA職員の作り話だ」
  • id:alpinix
    質問者がコメント欄に降臨を自粛しているようなのがちょっと寂しいけど、かきつばたの参加者としての楽しみはこのセルフライナーノーツのパートにあると思っている。
    実はこう思っていたというのを吐露したり、ほかの人のライナーノーツでの告白を見てそうだよねーとか同意したり、いやこっちの方が、とか想像を膨らませたり。
     
    ハイクやブクマってどうしても一次情報に対する二次批判の枠から出られない(と僕は思っている)から、かきつばたみたいな「自分のケツを自分で持つ」責任感みたいな潔い文章って他にない楽しみ方だと思っている。そういう意味で白S響の呟き「で、見てるだけのみんなは試しに一回書いてみたらいいのに。」は僕も薦める。
    そして同じ理由で弥演琉氏の「何なんでしょうかね、皆さんの作品読んでるとすっごいわくわくするのに、私のは読めば読むほど何かがこう抜け落ちていく感じがしてしまって後味が悪い。」という感想もそれはそれでいいのだと思う。だってここがお仕舞いじゃないんだから。
     
    さて、今回の自分の作品の出来ですが・・・・はっきり言ってある意味"自信作"でした。
    かんっぜんっに対S響、対G娘を意識して話の構成から投稿のタイミングから図って、モトイ、謀っていました。(やりすぎたのが良くなかったと自省中)
     
    前回の「りょうり」お題の全作品及び、G娘の講評やコメント欄に書かれた好みの展開、などを加味して「結部はホラー、それもメタ!」「S響と同じタイミングで投稿して直接勝負!」「時間ギリ投稿が常連のM羅、T神はこの際無視(探偵はともかくファンタジーは苦手と踏んだ上での戦略)G娘の感想を見るに、「もっと素直にメタ展開無しのネオファンタジー系に探偵を絡める程度のコンセプトで作った方がよかったのではないか?」と気づきました。
    惨敗、のようです。
     
    ま、たしかに今回「ファンタジーと探偵を合わせるのは難しいんだよ!」をコンセプトに置いた作品が連投されてしまったのも質問者的には面白くなかったのかもしれませんが、まさに『かきつばた杯のベストアンサーになることは、一国の宰相になるより難しい』ですね!
    (ネタ被りを避けるたけのタイトル予告でもあったのですが、逆に引っ張っちゃった感も無きにしも非ず) 
     
    メタ展開ではないパターンも考えていたのですが、探偵は比較的類型的なイジクリができるのですが、「ファンタジー」の方が難しかったですね。2000文字の中で世界設定をするにはやはり「ファンタジー」というくくりは壮大すぎるんですね。真っ先に思いついたのは「探偵:犯人はコイツだ」「いやファンタジーの世界ではこういうのもありまして」「探偵:密室だ」「いや○○は壁抜けの技術が」てな探偵不要論。これこそ被りそうなので却下。
    次が火曜サスペの世界にファンタジーを取り込んでみる、とか・・・思考段階で破綻。

     
     
    BAとれなかったのは悔しいですが、まあ「覚えていろ、今に第二、第三のalpinixが必ずや・・・」ということで。
     
     
    ※今みたらアドセンスが全部「探偵」ものになってて笑えた。

     
  • id:grankoyama
    グラ娘。 2012/02/11 00:30:28

    こうり~~ん!!

    sokyoさん>
    最後の一文まで巧く書けたと思いますよ。私も。
    他の方からの刺激も受けて満足していただけたなら本望です。
    みんなそれぞれでよかったですよね。みんなちがってそれでいい。
    ねえ、みんな試しに書いたらいいのに。てへぺろとは言いませんが。


    弥演琉さん>
    書きたいように書くってのも大事ですよ。
    ベストは書きたいように書いたらそれが万人とか質問者に受けるっていう。
    でも、大事なのは書きたいように書くことだと思うのです。
    ポイント見てもらえばわかると思いますが、私はあなたを買ってます。
    妙にすきなのです。他の人と比べても遜色無いどころか結構好きです。
    今回はちょっとネタを拾い損ねているようですが、基本的に書きたいことを
    どんどん書いてくださいね。応援しています。


    たけじんさん>
    悩ませてしまったようで。というのも前回のある略くすさんのリクエストが
    いけなかったんですよ。それで今回しばりをきつくしてみたんです。
    マイブームなんで知る由もないですし、大江健三郎に対する知識皆無ですが。
    たけじんさんのも、巧く丸め込まれた感じで楽しんだのですよ。


    meeflaさん>
    凝ったライナーノーツありがとうございます。
    お時間をかけるのが氏の芸風であれば、前回も今回もきつかったのではと
    内心いたく心に案じております。
    が、それでも参加くださりありがとうございました。
    さっさと暇をみつけてまた開催してください。
    BA取れそうで取れない作品を多々投稿させていただきたく。


    略くすさん>
    セルフライナーノーツ論ですか。
    それだけでかきつばたが3回くらい開催できそうですね。
    「だってここがお仕舞いじゃない」には賛成の反対!
    一週間も無い時間でも責任を持って回答するということを
    私は最近とんとご無沙汰なため、回答終了をもって後悔しない作品を
    仕上げたという満足感は必要。
    でも、次に繋げるという意欲も必要。そういうわけで賛成の反対。
    ありますよね、自信作。でもG娘。はミーハーな推理モノしか読んでなかったりします。残念。


    いや、これは講評ではないですよ。みなさんのあとがきに対する、フォローです。
    あとがきでまで楽しませてくださった皆さん、ほんとサービス精神旺盛で、まあ
    自分自身も楽しいっていうのは経験済みですが、感謝感謝の至りです。
    まだまだポイントあるので続けて開催したいところですが、書き手としての私が
    それを拒んでいるのでちょっと様子をみてみます。
    だれか開催してんか~。
  • id:gm91
    実は私は、探偵+ファンタジーということに縛りはあまり感じなかったんですよね。
    「ファンタジー」な世界であっても、探偵が存在できるような設定にすればいいのかなと思っていたので。

    例えば、「魔法は普通に存在するけどそんな都合のいい物ばっかりじゃない」とか「行使の代償が色々ある」とか。もっと極端な話、SFの小道具を単に指輪とかお守りとかにしちゃえばすむ話でしょ、くらいにしか考えてなかったです。
    ちなみに、一番最初に思いついたタイトルは、
    「探偵!騎士スクープ!」と「タイムスクープ探偵」(失笑)
    いっそ両方融合してしまうか?とも思ったのですが2000字規模にまとめられず挫折。設定で飽和しちゃうのは、たけじん氏コメントの通り。

    閑話休題。
    まあそんな極端な内容でなくても、探偵が非日常的な状況に陥るということで成立しちゃうでしょくらいの自由度なのかなと軽く考えていました。
    実際、弥演琉氏がさくっと書いちゃってそれは確信に変わったのですが、「ああいう作品は、逆立ちしても俺には書けねーなー」と思いつつも、「今回のは探偵である必然性ないよな」という不満も感じたので(失礼)、よーしそこを何とかしてやろう、と思案しだした訳です。

    ただ、「探偵」でSS書くってのが私には敷居が高くて…。oTL
    変に活躍させちゃうと、探偵というより密偵とか凄腕捜査官になってしまうし、「探偵」ってどうやったら面白い話にできるのかな~と悩んでいました。
    実は日曜はたまたま出張で札幌に居たのですが、雪まつりリハの見物もそこそこにそんな事に気を取られていたという……。(出店のジンギ丼が美味しかったです。)

    で、いろいろ考えているうちに飽和して……というのは皆さんと同じパターンなのですが、行き着いたのが「非合法丁稚」のパクリでお茶を濁すというしょもない結果に。(^^;

    それでも書き出すと悪ノリしちゃって延々と続けてしまうのですが、SSだし、なんかオチがないと止まらないぞ!と焦り出して、結局「名探偵が難事件を見事に解決!」ってのがそもそもファンタジーやんか!と思い直し、ああいうオチへ強引に持って行った次第です。

    まあ、講評を楽しみに待つとします。(^^;
  • id:minoru-0413
    minoru-0413 2012/02/11 21:29:12
    私只今大変興奮しております。
    氏付けて呼んでもらえるようになるとは!進歩進歩!
    このような新参者(?)は弾かれて終わりかと思っていたので凄く嬉しいです。
    というのもあるのですが、ぐらむす。さんに気に入って頂けたようなので珍しくテンションが高いです!

    ちょっと喋っていきます、華麗にスルーして下さい。
    皆さんじっくり考えていらっしゃると思うのですが、私だいたい打ち込みながら話が出来上がっていくタイプでして、殆ど加筆修正しておりません。
    一話だいたい20分~40分で出来ます、だからクオリティが低いんですね。
    もう少しじっくり考えるというのもチャレンジしてみたいところですが、このスタイルがやはり性に合っているのかもなという感じです。

    そして例のゲームの入手を考えているわけですが、今頃になってゲームボーイアドバンスは難しいかなぁ…。
    何方か譲って下されば良いのになぁ…。
  • id:meefla
    @GM91 さん。

    > まあ、講評を楽しみに待つとします。(^^;

    質問者さんのダイアリー
    http://d.hatena.ne.jp/grankoyama/
    を読むと、幸せになれるかも知れませんし、なれないかも知れません。
  • id:grankoyama
    グラ娘。 2012/02/13 21:23:23
    >質問者さんのダイアリー
    小遣い稼ぎやアクセスアップを兼ねてジャンク、トラップ記事が多数存在する私のブログを訪れて路頭に迷われても
    アレなんで、トラックバックつけときましたよ。本ページ下部のトラックバックへGO!
    もっとアレな人はカテゴリーの『かきつば』へGO!

    幸せになれる可能性は……    ひ・み・つ・(てへぺろ)
  • id:gm91
    褒められた、と思っておこう(声:アナゴさん)
  • id:minoru-0413
    minoru-0413 2012/02/15 17:25:14
    >幸せになれる可能性
    だいぶ幸せにさせて頂きました…!!
    良いんでしょうか私みたいなのが幸せになっちゃって;
    あ、本当に中学3年生ですよ。
    受験勉強から逃げてばかりです。

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