立憲民主党 山としひろ「パワフル日記」

立憲民主党 衆議院富山1区公認内定者
44歳 
人にやさしい政治

静岡市で講演しました

2013年02月23日 | Weblog

 昨日、市議会3月定例会が開会しました。本会議で議案が上程され、当局から提案理由の説明が行われました。新年度一般会計・特別会計予算案、地域主権一括法に関係した条例の制定・一部改正案など目白押しです。議案を精査し、疑問点があれば、議案質疑をしたいと思います。

 さて、昨日は本会議散会後、すぐに退庁し、静岡市へ向かいました。「静岡地域春闘交流会実行委員会」主催の「2013春闘交流会 2013春闘の情勢と課題」に講師として招かれ、自治体の非正規職員問題をテーマに講演させていただきました。議会で非正規職員問題の実態を明らかにし、わずかながらも待遇改善を勝ち取ってきたことをお話ししました。

 今後とも、議会の動きを広く外に発信し、労働組合や現場のみなさんとの交流を図っていきたいです。

 なお、以下、講演のレジュメを転載します。ご意見がありましたら、よろしくお願いします。


 

非正規職員問題について

 

 

 

 

自治体の非正規職員の実態

 

 

 

○  非正規職員が何人いるのか、誰も分からない。

 

・  正規職員の定数は条例で管理され、上限が決められている。総務省も調査を行っている。

 

・  一方で、非正規職員の定数は条例に定めがなく、人事担当の職員ですら把握できていない。

 

 

 

○  江南市の非正規職員数

 

・  2012年4月1日時点で、正規職員640人に対して、非正規職員667人で非正規化率51.0%。人工換算すると、事務事業の約37%を非正規職員が担っている。

 

・  非正規化率は2004年度の38.8%、2005年度の40.4%から大幅に上昇している。

 

・  市独自の行財政構造改革(2005年度から2009年度まで)を実施し、国が示した純減目標をかなり上回る正規職員(110人)を削減した。

 

・  正規職員削減分を非正規化と民間委託(間接雇用)でカバーした。

 

・  民間委託された事業で働く労働者を含めると、実態はこれよりもかなり多い。

 

 

 

○  不安定な身分で低賃金でも、責任・役割は重大

 

・  地方公務員法は、非正規職員の継続雇用を前提としておらず、身分を守る役割を果たしていない。むしろ、雇用主である自治体の立場を守っている。

 

・  パートタイム労働法や労働契約法などは、民間の非正規労働者に適用されるが、公務員の非正規職員には適用されない。

 

・  たとえ正規職員を削減しても、事務事業を廃止・完全民営化しない限り、人員を確保する必要があり、非正規化などで対応している。

 

・  「事務事業の合理化を進める中、正規職員の業務の一部を担える貴重な戦力として位置づけている。」(2008年9月定例会での答弁)

 

・  近年、行政サービスが多様化・専門化・高度化しており、非正規職員といえども補助的業務・ルーティンワークをこなしているだけではすまない。

 

・  非正規職員の賃金は総じて低く、「官製ワーキングプア」を生み出していると批判されている。

 

・  江南市の事務職正規職員と非正規職員の賃金格差(2008年度採用の事務職・大卒正規職員の初任給、地域手当、期末・勤勉手当を時間給に換算)

 

 

大卒正規職員

高卒正規職員

パート職員

臨時職員

1,457円

1,185円

970円

808円

 

 

 

 

 

 

 

非正規職員の処遇改善の取り組み

 

 

 

○  時間給(賃金)の引き上げ

 

・  自治労が目指す自治体最低賃金は970円(高卒初任給相当の時間給)。

 

・  江南市の事務職パート職員の時間給は現在980円。事務職正規職員の短大卒初任給を時間給に換算し、それに期末手当相当分を加味している。これをベースに他の職種の時間給を決定している。臨時職員の時間給はパート職員と比べて、約1割減じている。また、人事院勧告を次年度の時間給に反映させている。

 

 

 

○  手当制度

 

・  2010年度から通勤手当が支給されている。

 

 

 

○  パート職員の特別休暇制度

 

・  2011年6月30日付で要綱が改正され、年次有給休暇以外の特別休暇制度について明文化された。ただし、勤務しなかった期間に係る賃金は支払われない。

 

・  認められた休暇:①公民権の行使 ②裁判員などでの出頭 ③骨髄移植の登録と骨髄液の提供 ④産前産後 ⑤子の保育 ⑥子の看護 ⑦短期介護 ⑧忌引き ⑨災害時の出勤困難

 

・  夏季休暇は認められていない(法定休暇ではないが、正規職員は5日間)。

 

・  この他、病気休暇、介護休暇、育児休暇(いずれも無給)が認められている。

 

 

 

○  任用区分の整理

 

・  地方公務員法22条の「臨時職員」は、緊急の場合、臨時の職に関する場合などに臨時的任用を認めた規定。雇用期間は6カ月以内、更新も1回のみで都合1年まで。

 

・  実態としては、1年後に一定の「空白期間」「休止期間」を設けて、新たな任用として更新を繰り返していた。江南市において、臨時職員の平均勤続年数は約3年6カ月であり、最長勤続年数が29年に及ぶ者がいた(2010年9月定例会の答弁)。

 

・  17条で「一般職非常勤(パート職員)」についての詳細は定められていないが、自治省(当時)の行政解釈によって、これを雇うことができるとされた。

 

・  パート職員も契約期間が決められている場合が多い。江南市は要綱で1年間としているが、勤務状況に問題がなければ契約が更新される。パート職員の平均勤続年数は約5年8カ月であり、最長勤続年数が26年に及ぶ者がいた(2010年9月定例会の答弁)。

 

・  契約期間を1年間とする合理的理由は見いだせない。労働基準法では原則3年まで(専門職については5年まで)の範囲で契約期間が決められる。

 

・  保育園でクラス担任を受け持つ「臨時」職員

 

  • 保育園は通年で開所している。子どもがいる限り、クラスがなくなることはない。つまり、「臨時」「緊急」でない仕事に「臨時」職員を充てていた。また臨時職員については、雇用の継続にあたって空白期間を置いていたので、サービスの継続的提供に支障をきたすおそれがあった。
  • そこで、職場の実態に合わせて任用区分を整理し、臨時職員からパート職員に切り替えることを提案した(2010年9月定例会)。
  • 2011年度から実施され、臨時職員が大幅に減少した。なお、区分の変更にあたって、面接が実施された。

 

     2010年4月1日時点 計650人

 

      パート職員417人 臨時職員178人 嘱託職員35人 再任用職員20人

 

     2012年4月1日時点 計667人

 

      パート職員528人 臨時職員91人 嘱託職員37人 再任用職員11人

 

・  「空白期間」をなくすための武器(根拠)

 

  • 2009年10月9日 自治労の総務省交渉での回答:「新たな職に改めて任用されるという再度任用の考え方からして、制度的にそういった期間(空白期間)を必ず置かなくてはならないということではない。」

 

 

 

○  非正規職員の給与支給根拠の明確化

 

・  江南市職員の給与に関する条例24条の市長への委任規定に基づき作られた要綱では、支給根拠が薄い。給与条例主義の観点から、条例で支給根拠を明確化することを提案した(2010年9月定例会)。2010年12月定例会で、人事院勧告に基づく給与条例の改正に合わせて、新たな条文が設けられた。

 

(非常勤職員の給与)

第21条の3 常勤を要しない職員(再任用短時間勤務職員を除く。)については、常勤の職員の給与との権衡を考慮し、予算の範囲内で給与を支給するものとする。

2 前項の常勤を要しない職員には、他の条例に別段の定めがない限り、前項の給与のほか、他のいかなる給与も支給しない。

 

 

 

 ○  指定管理者制度と情報公開

 

・  指定管理者制度の導入によって、直営であれば明らかにできた賃金などの労働条件が分からなくなっている。指定管理者だけが持っている情報については、なおさら分からない。

 

・  行政が民間事業者の経済活動や労使関係にどこまで介入できるか、という問題がある。しかし、原資は税金であり、公共サービスに従事する者が不安定な立場に置かれることは、市民にとっても不幸である。以下、今後の課題を列挙する。

 

・  指定管理者との協定書、仕様書、実績報告書などに、情報公開に関する規定を明記する。

 

・  情報公開条例を改正し、指定管理者を情報公開の実施機関とする、市から指定管理者への文書提出要求規定を設ける

 

・  指定管理者に対して、社会保険労務士が労務監査(モニタリング)を実施する。

 

・  総合評価方式の入札を実施する。

 

・  公契約条例を制定する。

 

 

 

 

 

 

 

おわりに

 

 

 

○  税金で「官製ワーキングプア」を生み出さない。格差や貧困をなくす。

 

○  非正規職員問題は、実は正規職員問題であって、コインの表と裏の関係にある。

 

○  非正規職員も正規職員も安心して働ける職場を作ることによって、公共サービスの継続的提供を図るとともに、質を向上させる=市民生活の安定と向上に資する。

 

○  「公務員 vs 市民」の二項対立でとらえられることがないよう、全体の奉仕者の立場で、広範な市民を巻き込み、社会の共感を得られる運動を作る。

 


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