戦闘地域で自衛隊の後方支援認める 政府が4要件
政府は3日午前、国際協力を念頭に置いた物資補給や人員輸送を提供する自衛隊の後方支援活動の範囲を見直す方針を与党に提示した。判断のための4要件を示し、他国の武力行使と一体化しないと判断した場合は自衛隊の活動を認める。戦闘地域であっても後方支援が認められる可能性がある。有事でも平時でもない「グレーゾーン事態」への対処では治安維持や領域警備のため、自衛隊の出動手続きを簡素化する方針を示した。
集団的自衛権の行使容認などを議論する与党協議会で提示した。ある地域で侵略行為が発生し、国連や米国など各国から後方支援の要請があったケースを想定。集団的自衛権とは直接関係しない事例と位置付けている。
これまで政府は、自衛隊が他国の武力行使に密接にかかわる後方支援は憲法の禁じる「武力行使との一体化」にあたるとしてきた。テロ対策特別措置法やイラク特措法は「非戦闘地域」で給油や輸送を認めていた。
新たな判断基準は(1)現に戦闘を行っている他国部隊への支援か(2)戦闘行為に直接用いられる物品・役務か(3)現に戦闘を行っている現場か(4)他国部隊の個々の戦闘行為と密接な関係があるか――の4要件。
4つすべてを満たせば「武力行使との一体化」と判断して認めないが、そうでなければ認める。従来の「非戦闘地域」以外の地域でも水や食料の供給、負傷者への医療などの後方支援ができる。
公明党幹部は協議会後、記者団に「戦闘地域での戦闘行為以外、何でも支援できる」と強い警戒感を示した。週内に改めて協議する。
政府はグレーゾーン事態への対処で、警察や海上保安庁が対応しきれない場合に自衛隊が出動する「治安出動」「海上警備行動」の発令を迅速にする考え方を示した。出動の可否の判断をあらかじめ閣議決定して緊急時に首相に一任する制度などを検討する。与党協議で結論は出なかった。