学習到達度調査「偏った尺度で測定」 学者らOECDに文書
経済協力開発機構(OECD)が15歳を対象に実施している学習到達度調査(PISA)のあり方について、米国を中心とした世界の教育学者らが「教育の伝統や文化が持つ多様性を、偏った尺度で測定している」と批判する文書をインターネット上に公開し、賛同者の署名が広がっていることが31日までに、関係者への取材で分かった。
署名した学者や教育関係者は、世界的に著名な米言語学者ノーム・チョムスキー氏ら1600人超。「知識を日常生活に応用して考える力を測る」として国・地域の成績や順位が注目されるPISAのあり方に一石を投じそうだ。
文書はOECDのアンドレアス・シュライヒャー教育局次長あて。参加国は順位を上げようと短期的施策に力を注いでいると指摘し「計測できる狭い面だけを強調して、道徳的、市民的、芸術的発達は測定していない」とPISAを批判。
また、OECDが学校の経済的役割を重要視していることに「公立学校にとって、もうかる仕事に就けるように備えることが唯一の役割ではない」と訴えた。次回の実施を延期してテスト形式を再検討し、順位付けをやめるよう求めている。
PISAは3年ごとに実施され、主に「読解力」「数学的応用力」「科学的応用力」の3分野で構成。65カ国・地域が参加した2012年調査で、日本の高校1年は読解力が4位となるなどトップレベルの結果だった。〔共同〕