prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「おかあさんの木」

2015年06月25日 | 映画
悪くはないけれども、どうも型通りといった印象の強い感動作。

七人もの息子たちを次々と徴兵され片端から戦死されてしまう母親というのは、もう想像するだに悲惨だけれども、いいかげん被害者側からだけ描く戦争像というのは限界が来ているし、70年以上経つとリアリティがどうしても出ない。
七本の木が育っていく光景とか、貧弱な作物しか植わっていないと畑といった植物絡みの難しそうな背景は良くできているのに。

「プライベート・ライアン」では兄弟全員が死んでしまうと国民の士気に関わると残った一人を助けようとするのだが、日本でも一応配属はばらばらにしておいて部隊が全滅しても兄弟がまとまって戦死することはない程度の配慮はしていたらしい。そういう配慮をしても死んでしまうといった綾を描いた方が悲劇がいや増したのではないか。

現代の語り手(奈良岡朋子)がいくら養老院にいるといっても、鈴木京香の年取った姿ではないだろうと思ったら、こういう具合につながるかと思わせる。ただ、戦争の悲惨さを「語り継ぐ」というのは昔話風に同じことを繰り返し語る以外にも、戦争とはこういうことが起こるのかという驚きや意外性がないと、なかなか畏れにまで結びつかない。
(☆☆☆)


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おかあさんの木@ぴあ映画生活

映画『おかあさんの木』 - シネマトゥデイ


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