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桜の木が・・・。農薬なんかについて

趣味その他|2008/08/22 posted.

 えっ。と驚いた。裏庭の桜の木が・・・。
20080820 やられました。7月末の梅雨明けの時に殺虫剤と殺菌剤に展着剤を混ぜて散布していたのに 。ほとんど丸裸にされてしまいました。かわいそうに。この葉っぱを食べて蝶になった毛虫の成長よりも桜の木の方が私にとっては心配。
しかも丸裸になった桜の木には鳥の巣の残骸が。鳥も迷惑したでしょうね。
この桜の木は「十月桜」といって、一年中、葉がどこかに残っていて、冬でも雪の中で花を咲かせます。
一ヶ月もたたないうちにここまで虫に食べられたのは初めて。木には最後の葉っぱまで食い尽くそうとする毛虫の大群がまだいます。
まあこの木はすぐに葉をつけるでしょう。それでも悔しい。
これが畑の野菜や木の実だったら、ましてやそれを生業としている方だったら大変なことです。もっとも生業としている人ならば私のような失敗はしないと思いますが。

 さて、私は10年以上前に有機栽培の「生産工程管理者」の講習会を受けたことがあるという話は以前、記事にも書きました。
JAS有機の認定のためにはいろいろな手続きと、経費がかかります。ここではそのことにに触れませんし、また、「認定費用が無駄なので認証はされていないが、私の生産物は無農薬・無化学肥料栽培である」と表示していることについての是非も触れません。
私がしてきた仕事の反省を含めて、この記事を書きたいと思います。
 
 農薬の使用、残留農薬の問題、国内産と輸入品の安全性、遺伝子組換え農産物・・・・。
こういう問題が語られる時にはそれなりの知識・見識・胆識が必要ですが、なぜか感情論とか精神論とか、そういうものが前面に出てきて、相手の意見を批判・自分の意見に固執することが多いと思っています。(あくまで「多い」ですよ)

一般の人の意見としては
●「飢えている時に食べるものがなかったらどうするのか」という極端な事例を出す。
●「環境や遺伝子への影響を考えると」というちよっと知識がある人の見えないものへの恐れ。
●「なんとなくイヤ」という思い込み。

専門家(と思われる人)の意見として多いのは
●良くわかっていない素人の発言は困る。
●理路整然と知識をご披露しているが結論は出せない。実行案も持たない(知識・見識ありながら胆識不足)

こんな感じでしょうか。
私みたいないいかげんなヤツに言われて怒る人もいないと思いますが、傷つけてしまったらごめんなさい。反論は受けません。なんせ私はいいかげんなヤツです。

 以下、体験談。
青果物のバイヤーをしていた私は毎朝、市場に行って、商品を調達し、産地へ行って情報を確認し、日々の商談をこなしていました。
だんだん知識がついてくると「見識」を披露したくなります。まだ、20代~30代前半の頃ですので、そりゃ生意気です。それは以前にも書きました。
自分の見識を披露するためには沢山の知識が必要です。
勉強は嫌いだけど必要な知識の収集は大好き(笑)。いろいろな本を読み漁り、多くの人と話をしました。
「土作りとは」「有機栽培とは」「自然農法」「永田農法」「ミネラル農法」「合鴨農法」「EM農法」その他多くの知識を収集。自分なりの「見識」らしきものもできました(正確には「できていると思っていた」です。念のため)
そこで、調達基準を作ることにしました。
「使用してはいけない農薬とその理由」「栽培管理表の提出」「現地確認」。
これは情報とある程度の知識・見識があれば出来ます。ところが壁にぶつかりました。
●栽培管理表の内容通りに栽培されているかという心配。
●残留農薬検査費用の負担。
●抜き打ち検査で本当に良いのか(全量検査は不可能)
●価格の高い青果物は売れない。ロスになっている。
1980年代中~後半の時期にきちんとした表示や管理をしている企業は少なく、有機JAS法も制定前で「有機肥料を使っていれば有機栽培」とかいろいろと表示も混乱していた時期でした。
ようやく、減農薬とか減化学肥料とかの表示の取り決めが始まった時代。
私には「知識」はあったとしても「見識・胆識」はありませんでした。
「売れないのは店の売り方が悪い。買わないのは消費者の知識が足りない」と思っていました。
自分は正しい商品を調達しているのに理解しない・できない他人が悪い
「じゃあどうすれば良いのか」「どうすべきか」いろいろやりましたが、失敗は自分自身の力不足よりも他人の所為にした方が納得しやすい。
一生懸命やればやるほどまわりから自分が浮いていく。自分が熱している時にはわからないもんです。

今思い出しても恥ずかしいことばかりです。反省。

  さて、その後、有機栽培の商品も多く増え、表示もしっかりとしてきて普通のスーパーでも販売されるようになり、オーガニックギルドのようなコーナー化するのに便利な商品群も出てきました。
今でも有機栽培コーナーを見るたびに当時の苦い思い出が蘇ります。
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 ということで、ほとんど裸の桜の木に群がる毛虫退治のため、かって私が使用禁止農薬として登録したキツイ農薬を買って来て、「敵討ち~」といいながら散布しました。(すみません。虫愛護の方)
桜の木が虫に食べられて全滅しても悔しいのに、自分の畑を守る有機栽培に取り組んでいる農家の方は大変だなあとほんのちょっとだけ再認識。
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ご参考
●「有機食品の認証制度の仕組みと認定取得の手順及び認定業者に求められること(農水省)」(PDF)
●「有機食品の検査認証制度」(農水省)
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育てた植物の写真

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