みどりの一期一会

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民法大法廷回付 見直しは時代の要請だ/民法の家族規定 多様性促す憲法判断を

2015-02-20 21:11:11 | ほん/新聞/ニュース
民法の夫婦の別姓を認めない」「女性は離婚後6カ月間は再婚できない」という規定が、
憲法違反ではないか、という裁判が、最高裁に回付され、
見直される見通しとなったというニュース。

朝日新聞の記事に、2012年の衆院選でわたしたちが実施した
「ジェンダー平等政策を求める」全政党アンケートの回答が使われていたので、
昨日のブログでも紹介したのですが、
今日の朝刊各紙の社説も、法改正を見直す趣旨。

 ●民法の岐路 別姓など最高裁初判断へ/記事で「ジェンダー平等政策を求める会」のデータを紹介

読売新聞は取り上げていなかったので、
中日新聞と、朝日新聞、毎日新聞の社説を紹介します。

  社説:民法大法廷回付 見直しは時代の要請だ 
2015年2月20日 中日新聞

 夫婦同姓などを求める民法規定が女性に差別的で憲法に反するとした訴訟で、最高裁が大法廷で審理を始めた。家族のありようや結婚観が多様化している。見直しは時代の要請である。

 夫婦が結婚の際「夫か妻のどちらかの姓を名乗る」と定めた規定や、離婚後の再婚を女性のみ六カ月間禁じた規定などが、法の下の平等を定めた憲法に反しないか。

 現在二件の訴訟が小法廷から大法廷に移され審理されている。夫婦別姓をめぐる訴訟は、東京や富山、京都の男女五人が「同姓の強要は男女平等に権利を保障した憲法に反する」と主張。再婚禁止規定をめぐる訴訟は岡山の女性が離婚後、規定のために再婚が遅れ、精神的苦痛を受けたと主張している。

 最高裁の審理は通常、三つある小法廷で行われるが、新たな憲法判断や過去の判例を変更する場合などは、十五人の裁判官全員で構成する大法廷に移す。初の憲法判断が出されそうだ。

 夫婦が結婚時にどちらかの姓を決める「夫婦同姓」は、家を重視した明治民法の規定が戦後も残された制度だ。「夫の姓でも妻の姓でもよい」と平等に見えても、現実は圧倒的に妻が姓を変えている。結婚前の姓を使いたい人に配慮し、旧姓を通称として認める職場などは増えているが、公式に認められていない。互いの姓を尊重したいカップルには苦痛となる。

 六カ月の再婚禁止期間は子の父親が誰かという推定が重ならないための規定だが、誰の子なのか医学的判断は簡易になった。女性のみに離婚後に制約を課すのは差別的だ。

 法相諮問機関の法制審議会はすでに一九九六年に出した民法改正案要綱で、選択的夫婦別姓導入や再婚禁止期間短縮、婚外子差別是正などをまとめている。

 このうち、子どもの人権にかかわる婚外子の相続については一昨年、違憲とする最高裁の判断で差別撤廃されたが、女性差別になる規定は放置されたまま。「家族の一体感が壊れる」と主張する保守派議員の反対が背景にある。

 家族のありようや結婚の価値観は大きく変わった。選択的夫婦別姓の導入は、自分らしく生きる選択肢を増やし、職業的にも必要だ。反対派の根拠だった世論も、若い世代では選択制別姓に賛成が多数派になった。

 最高裁は規定の違憲性や立法の不作為に真正面から応え、法改正を促してほしい。 


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  社説:夫婦別姓―多様な家族認めるとき
2015年2月20日 朝日新聞

 夫婦別姓を認めない民法の規定は、個人の尊厳や男女平等などの憲法の理念に沿うのか。最高裁が判断することになった。

 地裁、高裁で退けられた事実婚の夫婦ら5人の訴えが、最高裁で大法廷に回された。判決はまだ先だが、最高裁は、高裁の判断をそのまま追認するわけではない姿勢を示唆している。

 生き方や、家族の形が多様化するなか、例外なく夫婦の一方に姓を変えさせる民法は、もはや時代にそぐわず、柔軟さを欠いている。最高裁は現実をつぶさにみて、考えてほしい。

 結婚を機に同姓になりたいと思う夫婦もいれば、そうできない、望まない人たちもいる。

 仕事で使ってきた姓を変えるのは不便だし、それまでの実績、人脈が途絶えるリスクもある。姓を変えて、自分が自分でなくなってしまうと感じる人もいる。一人っ子同士の結婚が増え、どちらの姓とも決められない場合もあるだろう。

 近年、職場で旧姓を使い続けるケースは浸透してきたが、それでも、文書の署名や銀行口座を開くような肝心の場面で、戸籍上の姓を使わざるをえない現実は今もある。

 婚姻届を出さずに事実婚を選ぶ場合、法律婚にある税制上の優遇はあきらめるしかない。

 女性だけに離婚後6カ月間、再婚を禁じる民法の規定についても、最高裁大法廷が判断することになった。こうした人生や個人のアイデンティティーに直結する問題を放置してきた国会の責任は重い。

 法制審議会は19年も前に「結婚しても姓を変えない利益を保護する必要がある」として、別姓を選べる民法改正要綱案を答申した。法務省が法案を準備し、是正の道筋をつけた。

 実現していないのは保守系議員が「家族の崩壊を招く」などと反対してきたからだ。必要な人に選択肢を与える改正なのに、それを許さない一部議員の姿勢は頑迷というほかない。

 12年の政府の世論調査では、「夫婦は同姓にすべきだ」と「希望すれば旧姓を名乗れるよう法改正していい」が拮抗(きっこう)するが、年代別では20~50代で「別姓許容」が上回る。今後の社会を担う世代の意識を重んじていくべきだろう。

 結婚で姓を変える96%は妻の側で、負担は女性に集中する。「女性の活躍を阻むあらゆる課題に挑戦する」と安倍政権は宣言している。ならばまず、選択的別姓を阻んできた自民党の姿勢を顧み、改めるべきだ。最高裁から言われる前に、国会自らが実行すべき問題である。 


  社説:民法の家族規定 多様性促す憲法判断を 
毎日新聞 2015年02月20日 

 家族をめぐる民法の二つの規定に初の憲法判断が示される。「夫婦の別姓を認めない」「女性は離婚後6カ月間は再婚できない」との規定だ。最高裁が大法廷で審理し、合憲か違憲かについて結論を出す。
 
 社会的に関心が高いにもかかわらず、長年法改正の動きにつながらなかったテーマだ。夫婦や家族について、それぞれの人が思いを巡らすきっかけになるだろう。

 晩婚化、離婚や再婚の増加など家族をめぐる環境は多様化している。明治時代の1898年にできた規定が、果たして社会の変化に対応できているのか。最高裁は現実を見据えて判断してもらいたい。

 二つの規定については過去に見直しの具体的な動きがあった。

 法制審議会が1996年、希望した夫婦がもとの姓を名乗れる選択的夫婦別姓制度の導入、再婚禁止期間の100日への短縮−−などを盛り込んだ民法改正案を答申した。

 だが、自民党などの保守系議員の反対が強く、法改正されずに今に至っている。原告は「現実に法律が追いついていない」と訴えた。いずれも1、2審は訴えを退けた。

 夫婦の姓のどちらかを選ぶ現行規定は一見中立的だが、実際にはほとんどの場合、女性が改姓する。

 個人の尊厳や両性の平等を保障する憲法に反するのではないか。社会進出する女性の増加に伴い、そんな疑問の声がふくらんだ。

 もちろん、夫の姓を名乗りたい女性や、改姓に抵抗のない女性は少なくないだろう。別姓を強制するのではなく、選びたい夫婦が選択できる道を開こうという制度だ。

 国際社会をみても、選択的別姓を認める国や、夫婦が結婚後も別姓を名乗る国がほとんどだ。

 世論調査では、選択的夫婦別姓制度への賛否は拮抗(きっこう)する。

 「伝統的な家族観が崩れる」「家族の一体感が損なわれる」といったところが反対意見の根拠だ。

 家族の絆をめぐる議論の答えは一つだけではない。事実婚やシングルマザーも増えている。多様性を認めるという観点から国民的な議論を深めたいところだ。

 再婚禁止期間についても、社会環境の変化に即して判断すべきだろう。生まれた子供の父子関係に絡む紛争を懸念する意見があるが、DNA型鑑定の進歩もある。婚姻の自由という憲法上の権利を制約する合理的な理由はどこまであるだろうか。

 最高裁は一昨年、婚外子の相続差別を違憲とした。やはり立法府が長年腰を上げなかった問題だ。国民の基本的人権を守るために、必要ならば積極的に違憲審査権を行使するのが最高裁の役割だ。



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