prisoner's BLOG

私、小暮宏が見た映画のノートが主です。
時折、創作も載ります。

「甘い鞭」

2013年10月02日 | 映画
ナレーションの使い方が独特で、壇蜜が十七歳の時の自分(間宮夕貴)の体験をひとごとのように語り、さらにナレーション自体はエンドタイトルによると喜多嶋舞によるものといった具合に、十七歳の時の体験がトラウマになって三十二歳のヒロインの心身に影響を与えているといった一方的な関係ではなく、時間軸による因果関係をいったん解体してヒロインの別々の面が二人の女優によって過去と現在でそれぞれ平行して演じられるといった格好になっている。

ブニュエルが「欲望のあいまいな対象」でヒロインをまったく似ていない二人の女優にシーンによって替わりばんこに演じさせて声を第三の女優があてたのを思わせる。
それはヒロインが抱え込んでいる一種の離人感の表現でもあるし、被虐と加虐の二面がくるくる入れ替わる力学の表現にも見合っているだろう。母親がヒロインにとって生の方向を向いておらず、その逆というアイロニーもある。
昔でいう芸術映画的な表現に接近している。

設定とするとSMプレイなのだが、両方とも快楽を得るという点では合意ができているプレイではなく、完全にルールをはみ出てた暴力にまで踏み込んでいる。主演の女優さんは二人ともよく体がもったと思わせるハードさ。

鞭打ちをはじめとするハードな性表現は一般劇場で公開できるにはR18指定とはいえぎりぎりの線だろうが、「パッション」(メル・ギブソン監督によるキリスト受難劇ね)の皮が破れ肉が裂ける特殊メイクのリアリズムあたりからするとまだソフト。日本人の肉体の限界といったものは感じた。

レディース席というのを設けてあって結構女性客が見に来ていたが、好みの席でなかったら別の席も選べたのだろうか。全般に年配の客多し。
(☆☆☆★★★)

映画『甘い鞭』 - シネマトゥデイ

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