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インタビュー

「マーケティングは死んだ」? マーケターは理性から感性へ

ケビン・ロバーツ(サーチ&サーチ・ワールドワイド)

世界70カ国に展開する広告会社サーチ&サーチのケビン・ロバーツCEOは、ブランドと消費者をつなぐ「ラブマーク」の概念を提唱したことで知られる。このほど来日したロバーツCEOは、開口一番「Marketing is dead.(マーケティングは死んだ)」と述べ、マーケターは理性から感性へ発想を転換すべきと説いた。(聞き手:宣伝会議編集室長・田中里沙)

Kevin Roberts
ジレット社、P&G社のマーケティング担当を経て、32歳でペプシコーラ社中東のCEO、カナダのペプシ社のCEO、ライオンネイサン社のCOOを経て、1997年からサーチ&サーチ・ワールドワイドのCEO。イングランド北部で生まれ、現在は米ニューヨークを本拠地としている。

ブランドを取り巻くパワーバランスが変化

ハーバードやスタンフォードといった名門大学のビジネススクールで教わるようなマーケティングの考え方は、すでに過去のものだとロバーツ氏は強調する。商品戦略や価格戦略、他社との差別化など、「理屈」に基づいた手法の積み上げでは、もはやブランドロイヤリティを獲得することはできない。価格や商品スペックといった「理屈」や「情報」に左右されない価値を追求することが必要だという。

「消費者は企業のマーケティングの対象にされることを嫌います。その一方で、何らかのムーブメントに参加したい、対話の中に入りたいとは思っています。コントロールはされたくないと思う半面、インスピレーションが与えられる場には積極的に関わりたいのです」。ロバーツ氏はこのように、理性偏重型のマーケティングのあり方に警鐘を鳴らす。広告や商品パッケージ、Webサイトをつくる際も、コンテンツを検討する前にインスピレーションを誘発するものであるか、すなわち感性を重視すべきだと考えている。

こうした変化の背景には、ブランド(広告主)と消費者、メディアなどを取り巻くパワーバランスが変化していることが挙げられる。数十年前は情報も価格決定権もブランドが握っていた。それが徐々に巨大メディアに移り、流通へと移っていく中で、マーケターは環境変化への対応を迫られた。

「今となってはその三者のどこにもパワーはありません。消費者こそが我々の…

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