福島3号機、窒素注入できず 補佐官「一番心配」
東京電力福島第1原子力発電所では3号機が最も不安定な状況が続いている。5月に入り圧力容器の温度が急上昇。注水量を大幅に増やし、ようやく下降傾向にあるが、1、2号機に比べるとまだ高い。18日には爆発後初めて作業員が原子炉建屋内に入ったが放射線量が高く、再爆発を防ぐ窒素注入がすぐに実施できないこともわかった。
政府と東電の統合対策室が19日に開いた記者会見で、細野豪志首相補佐官は「3号機が一番心配な炉である」と強調した。
3号機は圧力容器への応急的な注水がうまくいかず、15日には容器の一部で275度を記録した。当初毎時6トンだった注水量を段階的に引き上げ17日から毎時18トンにした。1、2号機のほぼ3倍の注水量で19日午前には158度まで下がった。
原子力安全委員会の班目春樹委員長は「3号機も炉心溶融(メルトダウン)は起きているだろう。1号機のようにすべての核燃料が容器の底に溶け落ちている状態ではなく、一部は炉心の支持板に残っており水につかっていない」との見方を示す。
容器内の水位が下がれば再び温度上昇する可能性は高い。当面、現在の注水量を維持する見通しだが、放射性物質を含む汚染水の量も増える。17日から汚染水の集中廃棄物処理施設への移送を始めた。
3号機の原子炉建屋には18日夕に作業員2人が入った。窒素注入を予定している配管が使えるかどうかを確認しようとしたが、放射線量が毎時160~170ミリシーベルトと高く、約10分で調査を打ち切った。東電はこの事実を19日に初めて公表した。経済産業省原子力安全・保安院にも同日に知らせたという。
窒素は格納容器内にたまる水素が爆発しないようにするために注入する。1号機ではすでに4月7日に開始、3号機でも早い段階から検討してきた。東電は19日の会見で「遮蔽対策で予定の配管を使えるか、それとも別のところから注入するかを考えたい」とし、再検討する方針を明らかにした。
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