東電が柏崎刈羽再稼働申請の意向表明、新潟知事は猛反発

東電、柏崎刈羽原発の再稼働申請の意向表明
7月2日、東京電力は、柏崎刈羽原発6、7号機の再稼働を原子力規制委員会・原子力規制庁に申請する意向を表明した。写真は東電のロゴ。都内の東電本店で2011年5月撮影(2013年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)
[東京 2日 ロイター] - 東京電力<9501.T>は2日、柏崎刈羽原発6、7号機の再稼働を原子力規制委員会・原子力規制庁に早期に申請する意向を表明した。これに対し地元新潟県の泉田裕彦知事は「立地地域との信頼関係を構築する意思がないものと受け取らざるを得ない」などとコメントし、強い不快感を示した。
東電は、規制委が定めた新規制基準が今月8日施行された後に、安全審査の申請を速やかに行いたいとしている。広瀬直己社長は記者会見で「地元に説明した上で、速やかに申請したいというのが私たちの考え」と述べた。再稼働の申請方針はこの日の取締役会で決定した。
新潟県など地元への説明時期については未定だという。ただ、今回の方針発表により、従来から東電への厳しい姿勢を示してきた泉田知事が態度を一段と硬化させる可能性が強く、再稼働の行方は予断を許さない状況だ。
広瀬社長は今回の決定について「地元軽視では」との質問に対して「地元を軽視するつもりは全くない」と弁明。泉田知事ら地元関係者を説得できなかった場合の対応について同社長は「最初から、できなかったらこうしますというのは私のスタイルではない」と述べた。
同社の再建案である「総合特別事業計画」では柏崎刈羽原発を2013年4月から順次再稼働する方向を打ち出してるが、再稼働が進まない場合について広瀬社長は、「原子力が全く動かなければいまの電気料金では無理」と述べ、料金再値上げも避けられないとの認識を示した。
<地元反発、再稼働は予断許さず>
新潟県の泉田知事は、柏崎刈羽の再稼働の是非について「福島第1原発事故の検証・総括が必要」との考えを繰り返し指摘しており、東電から再稼働申請の動きがあった場合は「信頼関係を破壊する」(6月12日の記者会見)と、強い口調で警告していた。また、規制委が策定した新規制基準についても「福島事故の検証・総括なくしてなぜ安全基準が作れるのか」と否定的な見解を示してきた。
新規制基準によると、柏崎刈羽原発など「沸騰水型軽水炉」では、緊急時に原子炉格納容器の圧力を下げるために蒸気を外に放出する際に放射性物質を取り除く「フィルター付きベント設備」の設置が再稼働時点で必要となる。
広瀬社長は会見で、「(フィルターベントは)設計が固まり準備ができた」と説明。一方、泉田知事は、同設備の設置は、東電が新潟県や柏崎市など立地自治体と結んでいる安全協定上、「事前了解が必要な設備」との認識を示している。同社長は、同設備の設置について、「地元としっかり話し合いをさせていただきたい」と話した。
(ロイターニュース 浜田健太郎)
*内容を追加して再送します。

私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」, opens new tab