ビールを飲みながら考えてみた…

日常の中でふっと感じたことを、テーマもなく、つれづれなるままに断片を切り取っていく作業です。

「パブリック」と「シェア」の時代

2012年01月19日 | 読書
WIREDに初めて触れた時に感じた衝動。ネットという新大陸が発見されたんだという興奮。そうした想いも、もはやネットへの接続が当たり前になるなかで、忘れかけていたのかもしれない。

でもそうではない。新しい世界は「これから」始まるのだ。そんな予感を感じさせたくれる2つのキーワード「パブリック」と「シェア」。新しい社会のルールが変わろうとしている。それを見極めねばならない。何か正しいのか。僕らはどう在るべきなのか


パブリック―開かれたネットの価値を最大化せよ / ジェフ・ジャービス、小林 弘人

この本を読んで、何かを見極められたわけではないのだけれど、考えていかなければならない観点が整理できた気がする。それが以下の3点だ。

1)「パブリック」「オープン」という生き方
2)「シェアリング・エコノミー」と「コミュニティ」の関係
3)「パブリック化・オープン化・ソーシャル化する組織体」


1)「パブリック」「オープン」という生き方という問題は、これまでの僕らの権利意識や社会への接し方を考えるということだ。Facebookを使ってみればわかるように、FBを楽しむ・活用する・可能性を高めていくためには、mixiのように「匿名性」を担保していては成り立たない。ここでは社会に対して自身を「オープン」にする、パブリック化することが必要となる。

それは僕らの「プライバシー意識」と反目することもある。あるいは全てをさらけ出せばいいわけでもない。結果として他人の情報も世界に晒してしまうことだってある。それでも自分自身をシェアすることで、広がっていく可能性がある以上、僕らはそれを避けることはできないのだろう。

では、そのためのルールは何なのか。「個人」でも「公共」でもない「私たち」という公共圏。そしてそれを成立させるために、国家に対して、企業に対して何を要求すべきなのか。


2)「シェアリング・エコノミー」と「コミュニティ」の関係という問題。

「シェアリング・エコノミー」というのは、モノやサービスなどを交換・共有することで成り立つ経済のこと。先進国を中心としたこれまでの消費社会では個々人がモノやサービスを購入することで成り立っていたが、しかし状況は変わった。誰もが一定水準以上に裕福となり、環境への負荷が叫ばれ、人口減少社会となり、世界経済の主役は先進国から中国やインドへと移り変わろうとしている。皆がめったに使わないモノ―バーベキューセットやエスプレッソ・メーカーを購入する必要はないだろう。

インターネットやソーシャルネットがそうしたそれぞれが持っている余剰なモノを周囲の人々と共有させることを可能にした。あるいは旅行者が旅先で他人の家に泊めてもらう、使っていない自動車を借りる、レンタル自転車を活用する…様々なシェア型のビジネスが成り立つ可能性がある。それは企業体が提供する場合もあるだろうし、個々人のボランタリーで提供する場合もあるだろう。

そしてそうしたサービスはコミュニティに閉じた形で提供するものも多くなるはずだ。これまでの大企業が全国に提供するいうモデルから、個人や小さな企業の連合体がコミュニティ単位で提供するモデルへ。新しい経済はきっともっとコンパクトで無理のない社会を生み出してくれるだろう。


3)「パブリック化・オープン化・ソーシャル化する組織体」という問題。

書店をのぞけば、「これからの企業はソーシャル化する」といった切り口で、TwiiterやFBをどう使いこなすかを指南する本が溢れている。でも企業がソーシャル化すること、オープン化・パブリック化するということは、きっとそんなに単純なことではない。

ソーシャルな時代では、「隠しごと」をする企業は顧客に信用されなくなり、信用される企業こそが勝ち組となる。

例えば中古車買取の「ガリバー」という企業がある。中古車市場というのは、かってはいくらの値がつくのかは全くわからなかった。中古車買取業者というのは、相場感を知らないお客さんから「安く」買い取り、「高く」売ることで儲けるというもの。そこにガリバーは下取り価格の内訳を明確にした。全国の車種の情報を共有し、販売手数料を一律化する。そうした「透明性」「公開性」がガリバーを中古車業界の雄とした。

この方針はまさにソーシャルな時代に適したものだ。

果たして企業や教育機関、政府や公共機関がこのように「透明」で「公開」の原則に基づき、ユーザーとのコ・クリエイション(共創)を実現できるだろうか。あるいは企業がソーシャ化するというのはどこまでが必要なのだろうか。


時間があれば、「シェア」と「パブリック」についても、ちゃんとしたレビューを書きたいと思います。

パブリック―開かれたネットの価値を最大化せよ / ジェフ・ジャービス、小林 弘人


シェア <共有>からビジネスを生みだす新戦略 / レイチェル・ボッツマン、ルー・ロジャース (著), 小林 弘人


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